第21問
いま、企業A が個人B に対して負の外部性を発生させる財を生産している。下 図は、企業A の私的限界費用の上方に個人B への影響を考慮した社会的限界費用 が描かれており、線分E の長さは限界的な外部性の大きさを表している。当該財 の価格がP で一定であるとすれば、自由放任の状況下で外部性を考慮しない場合 の企業A が選択する合理的な生産量はQ 2、外部性を考慮して社会的余剰を最大に する場合の生産量がQ 1 となる。なお、図中のC とD は線で囲まれた範囲の三角 形の面積を表すものとする。 この図に関する説明として、最も不適切なものを下記の解答群から選べ。
- ア 現状で生産量Q 2 が選択されているとき、コースの定理によれば、企業A と 個人B の自発的な交渉が可能であれば生産量Q 1 が選択される。
- イ 自由放任の状況下で外部性を考慮しない場合の企業A が選択する生産量Q 2 は、つの三角形の面積の合計(C 袷D)に相当する死重損失を生む。
- ウ 数量規制によって生産量がQ 2 からQ 1 へ減少する場合、企業A は、面積C に相当する分だけ余剰が減少する。
- エ 生産量がQ 2 からQ 1 へ減少する場合、個人B は、つの三角形の面積の合 計(C 袷D)に相当する分の外部不経済を被らずに済む。 DKJC-1A
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正解:イ
解答:イ
〔リード〕負の外部性があると、私的限界費用PMCに基づく企業の生産量Q2は、社会的限界費用SMCに基づく最適量Q1を上回り過剰生産となる。価格Pは一定。図で、Q1がSMC=価格、Q2がPMC=価格で決まる。三角形CはQ1〜Q2でPMCより上・価格より下の部分、三角形DはQ1〜Q2でSMCと価格(PMC)に囲まれた部分。過剰生産による死重損失(厚生の純損失)は、SMCが価格(限界便益)を上回って生産される部分、すなわち三角形Dのみである(本問は「最も不適切」を選ぶ)。
- ア(○・適切):コースの定理によれば、当事者間の自発的交渉が可能で取引費用が小さければ、権利の初期配分に関わらず効率的な生産量Q1が実現する。正しい。
- イ(×・最も不適切):過剰生産Q2が生む死重損失(死荷重)は三角形Dのみである。C+Dとするのは誤り(Cは過剰生産部分における生産者・需要側の便益にあたり、純損失には含まれない)。これが解答。
- ウ(○・適切):数量規制で生産量がQ2からQ1へ減ると、企業(生産者)はその減産分の私的余剰を失う。その大きさが面積Cに相当する、という説明は図と整合し正しい。
- エ(○・適切):生産量がQ2からQ1へ減ると、個人Bが被っていた外部不経済(外部費用)が減少する。Q1〜Q2区間での外部費用の軽減分がC+Dの面積に相当するという説明は妥当。正しい。
最も不適切なものは イ。