第15問
下図は、ある国の立場から、 つの財の市場のみに注目した部分均衡分析の枠組 みを用いて、自由貿易協定の経済効果を示している。当該財の価格がP 1 である第 Ⅰ国からの輸入に、この国では関税を賦課しており、関税賦課後の価格はP 2 とな っていた。それが、第Ⅱ国と自由貿易協定を結ぶことによって、第Ⅱ国から価格 P 3 で当該財を輸入できることになった。なお、図中のa 〜i は線で囲まれた範囲 の面積を表すものとする。 第Ⅱ国と自由貿易協定を結ぶ場合、協定締結後のこの国の経済厚生は、締結前と 比較して、どれだけ変化したか、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
- ア c 袷d 袷e 袷f
- イ c 袷d 袷f 安h
- ウ d 袷e 袷f
- エ d 袷f 安h DKJC-1A
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正解:エ
解答:エ
〔リード〕関税賦課時は価格P2、FTA締結後は第Ⅱ国から価格P3で輸入(価格はP2→P3へ下落)。各余剰の変化を、面積記号a〜iで計算する。
- 消費者余剰の増加:価格がP2からP3に下がることで増える消費者余剰=c+d+e+f(P2とP3の間で需要曲線の下にあたる台形)。
- 生産者余剰の減少:国内供給者は価格下落で c の分だけ余剰が減少。
- 関税収入の喪失:関税時に得ていた政府の関税収入(輸入量×関税)が、FTAでゼロになる。この失われる関税収入は e+h に相当する。
ネットの厚生変化=(c+d+e+f)-c-(e+h)=d+f-h。
ここで d+f は貿易創出効果(消費・生産の効率改善による利益)、h は貿易転換効果による損失(より高コストの第Ⅱ国へ輸入先が転換したことで失う関税収入分)を表す。
- ア(×):c+d+e+f は消費者余剰の増加分そのものであり、生産者余剰減少・関税収入喪失を差し引いていないため誤り。
- イ(×):c+d+f-h は、生産者余剰の減少 c を差し引いていない(cが残っている)点が誤り。
- ウ(×):d+e+f は関税収入喪失と転換損失の調整(-h)がなく、eが過大に含まれており誤り。
- エ(○):d+f-h。消費者余剰増加から生産者余剰減少と関税収入喪失を差し引いた純厚生変化に一致する。正しい。
よって エ。