企業経営理論 H23年度 第8問

第8問

完成品メーカーと部品供給メーカーとの企業間の取引には、常に競争と協調の両 面が存在する。そのような企業間の取引で発生する事態についての記述として、最 も不適切なものはどれか。

  1. 過剰な生産能力を持つ業界の部品メーカーA 社は、過小な生産能力の業界の 部品メーカーB 社に比べて、高い利益率を獲得できる可能性は低くなる。
  2. 部品メーカーC 社は、社の完成品メーカー各社に同じ量の部品を独占的に 供給しているが、その部品の生産ラインにトラブルが発生したため、生産量を長 期にわたって減らさざるを得なくなったにもかかわらず、利益率はむしろ増加傾 向に転じた。
  3. 部品メーカーD 社は、供給先の完成品メーカーE 社との取引契約に、E 社が 他の部品メーカーに乗り換える場合D 社に打診するという条項を結んでいるの で、値引き要求や競合他社との受注争奪で有利になる可能性が高くなった。
  4. 部品メーカーF 社は、自社のみが生産できるある部品について取引の大きな 完成品メーカーG 社と最も有利な条件を自動的に適用するという契約書を結ん でいるが、このことが他の完成品メーカーにも知られた結果、各社の値引き要求 に屈して利益が激減してしまった。 ― 10― ◇M3(688―55)
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正解:

解答:エ

完成品メーカーと部品メーカー間の取引における交渉力(バーゲニング・パワー)に関する出題。供給者の交渉力は希少性・代替不能性・情報の対称性などに左右される。

  • ア(○):過剰な生産能力を持つ部品メーカーA社は、稼働率維持のため価格競争に陥りやすく、過小な生産能力のB社に比べて高い利益率を得にくい。妥当。
  • イ(○):複数の完成品メーカーに独占的に供給するC社が、生産トラブルで供給量を減らさざるを得なくなった場合でも、希少性が高まり交渉力が増すため利益率が増加に転じることはありうる。妥当。
  • ウ(○):E社が他社に乗り換える際にD社へ打診する条項があれば、D社は値引き要求や受注争奪で有利になる可能性が高まる。妥当。
  • エ(×):自社のみが生産できる部品で、最有利条件を自動適用する契約(最恵待遇条項)を結んでいるF社。本来は独占的供給で交渉力が強いはずであり、「他社に知られた結果、各社の値引き要求に屈して利益が激減」という帰結は、独占的地位の交渉力を踏まえると論理的に不自然。最も不適切。

よって最も不適切なものは

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