経済学・経済政策 H22年度 第14問

第14問

BOP(Base of Pyramid あるいはBottom of Pyramid)と呼ばれる社会の底辺に位 置する人々に対するビジネスが注目を浴びている。その中で、バングラデシュのグ ラミン銀行に代表されるマイクロクレジットという手法は大きな注目を集めた。マ イクロクレジットは、通常は銀行からの融資を受けられない人々を対象に、ごく少 額の融資を行うものである。融資された人々が事業を行うことが可能になり、収入 を得て、貧困から脱することができる。 マイクロクレジットの手法の特徴として、グループに対するごく少額の金額の貸 し付け、定期的な返済、返済が滞るとグループ全体が連帯責任を負うことの義務付 け、などが挙げられる。これらの特徴をゲームの理論から見た場合、最も適切なも のはどれか。

  1. 逆選択を発生させず、回のゲームの中で囚人のジレンマを避ける仕組み。
  2. 逆選択を発生させず、繰り返しゲームの中で囚人のジレンマを避ける仕組 み。
  3. モラルハザードを発生させず、回のゲームの中で囚人のジレンマを避ける 仕組み。
  4. モラルハザードを発生させず、繰り返しゲームの中で囚人のジレンマを避け る仕組み。 ― 18― ◇M1(295―20)
▼ 解答・解説を見る

正解:

解答:エ

〔リード〕マイクロクレジットのグループ貸付・連帯責任・定期返済という仕組みは、借り手相互の監視(ピア・モニタリング)を働かせる。これにより融資後の借り手の行動を規律づけてモラルハザード(融資後に努力を怠る、返済しない等の事後的な機会主義)を抑える。また定期的・継続的な取引は繰り返しゲームを形成し、裏切れば将来の融資機会を失うため、貸し手・借り手間の囚人のジレンマ(協力=返済が崩れる状態)を回避できる。

  • ア(×):抑えられるのは「逆選択」よりも事後的なモラルハザードであり、また「1回のゲーム」ではなく繰り返しゲームによって機能する。二点とも不適切。
  • イ(×):「繰り返しゲーム」は正しいが、対象を「逆選択」とする点が中心的説明として不適切。モラルハザード抑制が要点。
  • ウ(×):「モラルハザード」は正しいが、「1回のゲーム」では囚人のジレンマは回避できない。誤り。
  • エ(○):モラルハザードを発生させず、繰り返しゲームの中で囚人のジレンマを避ける仕組み。連帯責任・継続的取引という特徴に最も整合する。

よって

#不完全競争・ゲーム理論#情報の経済学・行動経済学

← 経済学・経済政策の一覧へ戻る