第3問
業界の競争や取引関係は、限られた市場の争奪という側面ばかりではない。逆に 市場を奪い合わずに自社の売り上げや利益を増やす関係になることもある。そのよ うな状況に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- ア 新しい駅ビルに、これまで以上に多様な小売業者の入店を図るとともに、映画 館やアスレチック施設、さらに大学のサテライト教室なども入れて来客数を増や す。
- イ ゲーム業界ではゲーム機器メーカーがゲームソフトを買い取ると同時にゲーム の開発指導を行うため、ゲームソフト開発メーカーの起業が活発になり、業界の 発展を促している。
- ウ ストダウンは自動車部品供給業者の利益を圧迫するが、それが自動車会社の 販売力に結びつくと、自動車生産量を増加させることになるので、長期的に見れ ば供給業者に有利に働く。
- エ 新製品の市場規模がまだ小さい場合、ライバル企業の参入によって当該製品を めぐって市場での競争が起こり、その結果その製品の市場は拡大する可能性をも つ。
- オ 宅配業者がコンビニエンスストアを取次店とする集配を始めたので、コンビニ
- ンスストア間の荷物発注客の増加をめざした競争は、宅配市場を掘り起こす効 果をもたらした。 ― 7― ◇M3(557―55)
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正解:イ
解答:イ
〔市場を奪い合わずに自社の売上・利益を増やす関係(協調・市場創造)として最も不適切なもの〕 本問は、パイの奪い合い(ゼロサム)ではなく、補完や市場全体の拡大(ポジティブサム・協調)の例を問い、その趣旨に合わないものを選ぶ。
- ア(×=適切):駅ビルに多様な小売・映画館・大学サテライト等を集積し来客数全体を増やすのは、補完による市場拡大の例。妥当。
- イ(○=最も不適切):「ゲーム機メーカーがソフトを買い取ると同時に開発指導を行う」という記述は、機器メーカーがソフト開発を支配・取り込む垂直的な統制関係であり、独立メーカーの起業を活発化させ業界を発展させるという因果と整合しない。市場を奪い合わずに共存・拡大する関係の例として不適切。よって正解。
- ウ(×=適切):コストダウンは部品供給業者の利益を圧迫するが、完成車の販売力向上→生産量増加につながれば、長期的には供給業者にも有利に働く。補完的・長期的共存の例。妥当。
- エ(×=適切):市場規模が小さい段階でのライバル参入はかえって市場を拡大しうる(市場創造)。妥当。
- オ(×=適切):宅配業者がコンビニを取次店にしたことで、コンビニ間の集荷客獲得競争が宅配市場全体を掘り起こした。市場拡大の例。妥当。
よって イ。