第10問
下図は、ケインズ派モデルにおける総需要曲線(AD)と総供給曲線(AS)を描い たものである。ここで、供給サイドにおいては、物価は上下に伸縮的であるが、名 目賃金は硬直的であると考える。下記の設問に答えよ。 (
設問1
) 総需要曲線の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選 べ。 a 経済が「流動性のわな」の状態にあるとき、総需要曲線は垂直に描かれる。 b 増税は総需要曲線を右方にシフトさせる。 c 投資の利子弾力性が大きいほど、総需要曲線はより急勾配に描かれる。 d 物価の下落は、実質貨幣供給の増加を通じて利子率を低下させ、投資の拡大 と総需要の増加をもたらす。
- ア aとb
- イ aとd
- ウ bとc
- エ bとd
- オ cとd ― 12― ◇M1(743―14) (
設問2
) 総供給曲線の説明として最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選 べ。 a エネルギーなどの原材料費の上昇は、総供給曲線を左方にシフトさせる。 b 技術進歩は生産性の上昇を通じて総供給曲線を右方にシフトさせる。 c 人口構成の少子化・高齢化に伴う労働市場の変化は、総供給曲線を右方にシ フトさせる。 d 物価の上昇は、実質賃金の上昇を通じて労働需要を増加させ、生産量の拡大 を生じさせる。
- ア aとb
- イ aとc
- ウ aとd
- エ bとc
- オ bとd ― 13― ◇M1(743―15)
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正解: 設問1 イ 設問2 ア
解答:設問1=イ、設問2=ア
〔リード〕AD-ASモデル。物価伸縮的・名目賃金硬直のケインズ派モデルにおける総需要曲線・総供給曲線の性質を問う。
設問1(総需要曲線)
- a(○):「流動性のわな」ではLM曲線が水平で、物価が変化しても実質貨幣供給増の利子率低下効果が働かず総需要が動かないため、総需要曲線は垂直に描かれる。
- b(×):増税は可処分所得・消費を減らし総需要を縮小させるので、総需要曲線は「左方」にシフトする。右方シフトとするのは誤り。
- c(×):投資の利子弾力性が大きいほど、物価変化に対する総需要の反応が大きくなり総需要曲線は「より緩やか(水平に近い)」になる。急勾配とするのは逆。
- d(○):物価下落→実質貨幣供給増→利子率低下→投資拡大→総需要増、という右下がりAD曲線の標準的メカニズムを正しく説明している。
正しいのは a と d →イ。
設問2(総供給曲線)
- a(○):原材料費(コスト)の上昇は供給を縮小させ、総供給曲線を「左方」にシフトさせる(コストプッシュ)。正しい。
- b(○):技術進歩は生産性を高め、同じ物価水準でより多く供給できるため総供給曲線を「右方」にシフトさせる。正しい。
- c(×):少子高齢化による労働力人口の減少は供給能力を低下させ、総供給曲線を「左方」にシフトさせる。右方シフトとするのは逆で誤り。
- d(×):物価上昇による実質賃金低下→労働需要増→生産拡大は、右上がりAS曲線「上の動き」であって曲線のシフト要因ではない。総供給曲線のシフトの説明としては不適切。
正しいのは a と b →ア。
よって 設問1=イ、設問2=ア。