第7問
中小企業診断士のあなたは、いくつかの顧問先より、平成19年月日からそ の登録が認められるようになった小売等役務商標について、質問を受けた。 各質問に対する回答として、最も不適切なものはどれか。
- ア 質問「うちがこの『◯◯屋』という屋号で商標登録を受けた場合、この屋号を 独占排他的に使用できるのでしょうか。」 回答「もし同業者が、この『◯◯屋』という屋号を平成19年月31日以前か ら使用していた場合でも、周知でない限り、貴店の屋号と区別できるよ うに何らかの記号を付け加えるように求めることはできます。」
- イ 質問「うちの店と同じ屋号で同業者が商標権を取得してしまった場合、うち の屋号を使用することが制限されるのでしょうか。」 回答「貴店は、この屋号を平成19年月31日以前から使用しているのです から、たとえ同業者に同じ屋号で商標権を取得されてしまっても、その 使用につき一切制限を受けないはずですよ。」
- ウ 質問「うちの店は私で代目であり、古くから続いている雑貨屋ですが、う ちの店の屋号である『鈴木商店』という名前でも商標登録が受けられるの でしょうか。」 回答「この『鈴木商店』という屋号はありふれており、日本全国で多くの小売 業者が使用している可能性があるので、そのままでは商標登録を受ける のは難しいでしょう。」
- エ 質問「うちはスーパーなのですが、うちで扱っている商品についてすでにい くつか商品商標を取得しています。さらに小売等役務商標を取得するメ リットがあるのでしょうか。」 回答「貴店のように多種類の商品を取り扱うお店にあっては、つの小売等 役務商標で商標権を取得すれば貴店のすべての取扱商品をカバーできる 場合があるので、経済的であり、メリットがありますよ。」 ― 8― ◇M5(743―124)
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正解:イ
解答:イ
〔リード〕平成19年4月1日から登録が認められた小売等役務商標について、顧問先への回答の正誤を問う。最も不適切なものを選ぶ。先使用権・識別力・小売等役務商標の趣旨が論点。
- ア(×=適切):同業者が登録前から同じ屋号を使用していても、それが周知でない限り先使用権(商標法32条1項)は生じない。商標権者は、先使用者に対し混同防止のための表示を付すよう請求できる(同条2項の混同防止表示請求)。回答内容は妥当。
- イ(○=最も不適切=正解):「先に使用していたのだから、同業者に商標権を取られても使用につき一切制限を受けないはず」という回答は誤り。先使用権が認められるには、他人の出願時点で自己の商標が需要者の間に広く認識されている(周知)ことが要件であり(商標法32条1項)、単に以前から使用していたというだけでは足りない。また先使用権が認められても、その効力は従来の業務範囲に限られ「一切制限を受けない」わけではない。最も不適切でこれが正解。
- ウ(×=適切):「鈴木商店」のようなありふれた屋号は識別力を欠き、そのままでは登録が難しい(商標法3条1項各号)。妥当な回答。
- エ(×=適切):小売等役務商標は、小売・卸売の業務において行う総合的なサービスに対する商標であり、多種類の商品を扱う総合小売業では、1つの小売等役務商標で取扱商品全般をカバーでき、商品ごとに商標を取得するより経済的という説明は、制度趣旨に沿い妥当。
よって イ。