第14問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 下表は、A国とB 国が、農業製品または工業製品を単位生産するのに必要な生 産要素量を示している。ここで、簡単化のために、A国とB 国の国のみを想定 し、それぞれの国は、農業製品ならびに工業製品のみを生産すると考える。さら に、生産要素として労働力のみを考え、両国間で労働力の移動はないものとする。 農業製品 工業製品 A 国 B 国 (
設問1
) A国とB 国の比較優位、絶対優位に関する説明として、最も適切なものはどれ か。
- ア A国は、工業製品に比較優位を持っているが、絶対優位は持っていない。
- イ A国は、農業製品に比較優位を持っているが、どちらの製品に関しても絶対 優位は持っていない。
- ウ B 国は、工業製品に比較優位を持っているが、どちらの製品に関しても絶対 優位は持っていない。
- エ B 国は、農業製品に比較優位を持っており、かつ、どちらの製品に関しても 絶対優位を持っている。 ― 14― ◇M1(023―16) (
設問2
) A国とB 国が比較優位の原理にしたがって貿易を行おうとするとき、両国間で の貿易のパターンとして、最も適切なものはどれか。
- ア A国は、工業製品も農業製品も輸出できない。
- イ A国は、両国間で貿易が行われるとすれば、農業製品を輸出する。
- ウ B 国は、A国に比べ同程度の生産要素の賦存量を持つとすると、農業製品を 輸出するが、A国に比べ賦存量が大きいと、工業製品を輸出する。
- エ B 国は、両国間で貿易が行われるとすれば、農業製品を輸出する。 (
設問3
) 産業発展を目指すA国に関して、最も不適切なものはどれか。
- ア 教育の充実により、比較優位を変えることで、貿易のパターンを変えること ができる。
- イ 産業政策により、比較優位を変えることで、貿易のパターンを変えることが できる。
- ウ 生産要素賦存量を変えても、比較優位を変えることはできない。
- エ 比較優位を変えなくても、工業製品を輸出することで、貿易の利益を得るこ とができる。 ― 15― ◇M1(023―17)
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正解: 設問1 イ 設問2 イ 設問3 エ
解答:設問1=イ、設問2=イ、設問3=エ
リカードの比較生産費説の問題。問題表は、各製品を1単位生産するのに必要な労働投入量を示す。公式正解(設問1=イ、設問2=イ)から、本問の数値は「B国が農業製品・工業製品の両方で必要労働量が少なく両財に絶対優位を持つ一方、A国は農業製品に比較優位を持つ」関係になっている。以下、この前提で各選択肢を判定する。
設問1(正解:イ)
絶対優位は必要労働量が少ない国にあり、比較優位は相対的な機会費用が小さい財にある。本問ではB国が両財に絶対優位を持ち、A国は農業製品に比較優位を持つ。
- ア(×):A国の比較優位は農業製品にあり、工業製品ではない。誤り。
- イ(○):A国は農業製品に比較優位を持つが、両財ともB国より必要労働量が多く絶対優位は持たない。正しい。
- ウ(×):B国の比較優位は工業製品にあるが、B国は両財に絶対優位を「持つ」。「どちらの製品に関しても絶対優位を持っていない」は誤り。
- エ(×):B国の比較優位は工業製品であり農業製品ではない。絶対優位を両財に持つ点は正しいが比較優位の財が誤り。
よって イ。
設問2(正解:イ)
比較優位の原理に従えば、各国は比較優位を持つ財を輸出する。A国は農業製品、B国は工業製品を輸出する。
- ア(×):A国は比較優位を持つ農業製品を輸出できる。「何も輸出できない」は誤り。
- イ(○):A国は比較優位を持つ農業製品を輸出する。正しい。
- ウ(×):比較優位は要素賦存量の大小ではなく相対的な生産費(機会費用)で決まる。賦存量の規模で輸出財が入れ替わるとする記述は比較優位の原理に反し誤り。
- エ(×):B国が輸出するのは比較優位を持つ工業製品。「農業製品を輸出する」は誤り。
よって イ。
設問3(正解:エ=最も不適切)
産業発展を目指すA国に関し、最も不適切なものを選ぶ。
- ア(○・適切):教育の充実は人的資本を高め生産性を変え、比較優位を変化させて貿易パターンを変えうる。妥当。
- イ(○・適切):産業政策により特定産業の生産性を高めれば比較優位を変え、貿易パターンを変えうる。妥当。
- ウ(○・適切):比較優位は相対的な生産費構造で決まり、生産要素賦存量を変えても各財の相対的な必要労働量(機会費用)の関係が変わらなければ比較優位は変わらない。リカード・モデルの考え方として妥当。
- エ(×・不適切=正解):A国の比較優位は農業製品にある。比較優位を変えないまま比較劣位の工業製品を輸出しても、比較優位の原理に基づく貿易の利益は得られない。「比較優位を変えなくても工業製品を輸出することで貿易の利益を得られる」は誤りで、最も不適切。
よって エ。