第9問
金利平価説によれば、国際的に金融資産への投資を行うことにより、次式が成り 立つところで為替レートが決まると考えられている。 r =r*+ee-e e ここで、r:日本の利子率、r*:アメリカの利子率、ee:円建てで示した予想為 替レート、e:円建てで示した現実の為替レートとする。 この式の意味するものとして、最も適切な記述はどれか。
- ア メリカの利子率が日本の利子率より高いとしても、現実の為替レートが円 高・ドル安の方向に動けば、日本の金融資産に投資することが有利になる。
- イ 左辺は日本の金融資産への投資に伴う収益率、右辺はアメリカの金融資産への 投資に伴う収益率であり、左辺が右辺より大きければ、日本への投資が増加し、 為替レートは円安・ドル高になる。
- ウ 日本の金融緩和は、国内利子率を低下させて為替レートを円高・ドル安の方向 に変動させる。
- エ 予想為替レートが円高・ドル安の方向に動けば、現実の為替レートも円高・ド ル安の方向へと動き、予想の自己実現が見られる。 ― 10― ◇M1(023―12)
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正解:エ
解答:エ
〔リード〕金利平価説(アンカバー)の式 r = r*+(eᵉ-e)/e の意味を問う。eは円建て為替レート(1ドル=e円、eの上昇=円安・ドル高)。右辺第2項(eᵉ-e)/eは予想為替変化率(ドルの予想増価率)で、ドル建て資産を円換算した予想収益率の構成要素となる。
- ア(×):アメリカの利子率が日本より高くても、現実の為替レートが円高・ドル安(e低下)に動くと、円換算でのドル資産収益が目減りする。むしろ円高方向の動きはドル建て投資(日本から見たアメリカ投資)を不利にする方向であり、また「日本の金融資産への投資が有利」かどうかは式の均衡条件で判断すべきで、記述の論理が整合しない。誤り。
- イ(×):左辺rは日本(自国)資産の収益率、右辺はアメリカ資産を円換算した予想収益率。左辺>右辺なら日本資産が有利となり日本への投資(資金流入)が増え、為替は円高・ドル安に向かう。「円安・ドル高になる」は逆で誤り。
- ウ(×):日本の金融緩和は国内利子率rを低下させる。金利平価式が成立するためにはeᵉ一定の下で現実のeが上昇(円安・ドル安方向ではなく円安・ドル高)する必要がある。「円高・ドル安の方向に変動させる」は逆で誤り。
- エ(○):予想為替レートeᵉが円高・ドル安方向(eᵉ低下)に動くと右辺が低下し均衡が崩れる。これを回復するには現実のeも低下(円高・ドル安)する必要があり、予想が現実の為替を同方向へ動かす「予想の自己実現」が起こる。正しい。
よって エ。