第1章 市場と需要・供給
この章のねらい ミクロ経済学の"入り口"であり、経済学・経済政策のなかでもっとも安定して得点できる分野です。 需要曲線と供給曲線という2本の線から出発し、「値段はどう決まるか(均衡)」「値段が動くと量はどれくらい動くか(弾力性)」 「取引で社会はどれだけ得をするか(余剰)」「規制や税を入れると何が起きるか(死荷重・帰着)」まで、 1枚のグラフの読み方を身につければ連鎖的に解けるようになります。
過去問での出方:この分野は毎年3〜5問出ます。図を見て正しい説明を選ぶ問題(H28第14問・R03第13問)、 弾力性の正誤組み合わせ(R06第13問・R07第13問)、余剰の三角形・台形を答える問題(R02第12問・H22第10問)、 税の帰着や死荷重(H24第14問・H27第18問)が定番です。計算は軽く、グラフの向きと領域を押さえれば取れます。 難問化しにくく、まず落とせない得点源です。
1-0 この章の地図
この章は「2本の線を引く(1-1)」→「線の傾き=弾力性を測る(1-2)」→「線で囲まれた面積=余剰を測る(1-3)」 →「線を動かす/ずらす=規制・課税(1-4)」という順に、同じグラフを4段階で深掘りしていきます。
1-1 需要曲線・供給曲線と市場均衡 … 右下がり/右上がり・交点E・シフト
│ (2本の線を引き、交点を読む)
1-2 弾力性 … 傾きの"きつさ"を数字にする(★頻出)
│ (線の傾きを測る)
1-3 余剰分析 … 消費者余剰・生産者余剰・総余剰・死荷重
│ (線で囲まれた三角形・台形の面積を読む)
1-4 価格規制と課税 … 価格の上限/下限・従量税/従価税・帰着・死荷重
(線を動かす/ずらすと余剰がどう変わるか)
まずは「縦軸が価格P、横軸が数量Q」という約束を頭に固定してください。この章のグラフはすべてこの座標で描きます。
1-1 需要曲線・供給曲線と市場均衡
いちばん短い定義
- 需要曲線(D):買い手の行動を表す線。値段が下がるほどたくさん買いたいので、右下がり。
- 供給曲線(S):売り手の行動を表す線。値段が上がるほどたくさん売りたいので、右上がり。
- 市場均衡:この2本の線の交点E。ここで決まる価格を均衡価格、数量を均衡数量といいます。
価格P
│\D(需要:右下がり) S(供給:右上がり)/
│ \ /
│ \ /
P0┤ ‥‥‥\‥‥‥‥E‥‥‥‥/‥‥‥ ← 交点Eで価格P0・数量Q0に落ち着く
│ \ /
│ \ /
│ \ /
└───────────┼────────── 数量Q
Q0
なぜ交点Eに落ち着くのか(価格の自動調整)
交点Eからズレると、市場には「元に戻す力」が働きます。ここはH28第14問でそのまま問われました。
- 価格が均衡より高いとき → 買いたい量(需要量)<売りたい量(供給量)=超過供給(売れ残り)。 売り手が値下げするので価格は下がり、Eへ戻る。
- 価格が均衡より低いとき → 需要量>供給量=超過需要(品不足)。 買い手が競り上げるので価格は上がり、Eへ戻る。
💡 調整の2つの見方(名前だけ押さえる) - ワルラス的調整=価格を動かして均衡に近づける(超過需要なら値上がり/超過供給なら値下がり)。 - マーシャル的調整=数量を動かして均衡に近づける(需要価格>供給価格なら数量が増える)。 ふつうの「右下がりD・右上がりS」の図では、どちらの調整でも均衡Eは安定します。
📝 過去問はこう出る(H28 第14問) 通常型(緩い右下がりD・急な右上がりS)の図で、調整メカニズムを問う問題。 正解は「交点より価格が高いとき、需要量よりも供給量が多い(超過供給)ため、価格調整を通じて点Eへ収束する力が働く」。 「供給曲線が右下がり」「収束力は働かない」といった、図の右上がりを誤読した選択肢はバツ。 → H28 第14問
「曲線上の移動」と「曲線のシフト」は別物 ★超重要
つまずきの最大ポイントがここです。価格が変わったのか、価格以外が変わったのかで、起きることが違います。
| 何が変わった? | グラフの動き | 呼び方 | |
|---|---|---|---|
| 需要量の変化 | その財の価格が変わった | 同じ曲線の上を移動 | 需要曲線上の移動 |
| 需要の変化 | 価格以外(所得・好み・他財の価格など)が変わった | 曲線そのものが左右にシフト | 需要曲線のシフト |
- 所得が増える(正常財)/好みが強まる → 需要曲線は右へシフト(同じ値段でももっと買う)。
- 好みが弱まる・節約の説得 → 需要曲線は左へシフト。
📝 過去問はこう出る(H28 第12問) 正常財(医療)で、点A→C(同一曲線上)と点A→B(内側の別曲線へ)の違いを問う問題。 正解は「医療費抑制を需要者に説得できれば、価格が変わらなくても需要はA→B(左方シフト)へ動く」。 「価格引き上げでA→B」「所得増でA→C」は、移動とシフトの取り違えでバツ。所得増(正常財)は右方シフトです。 → H28 第12問
シフト方向と均衡価格("必ず上がる/下がる"の判定)
供給と需要が同時に動くと、均衡価格が上がるか下がるかを方向の足し算で判定できます。
| 動き | 価格への効果 |
|---|---|
| 供給の右シフト(供給増):技術進歩・原材料費下落 | 価格を下げる |
| 供給の左シフト(供給減):原材料費上昇 | 価格を上げる |
| 需要の右シフト(需要増):所得増(正常財)・好み強まる | 価格を上げる |
| 需要の左シフト(需要減):好み弱まる | 価格を下げる |
- 両方が同じ方向(ともに上げる/ともに下げる)なら、均衡価格は必ずその方向に動く。
- 逆方向(片方が上げ・片方が下げ)だと効果が打ち消し合い、価格の変化は確定しない(=「必ず〜」と言えない)。
📝 過去問はこう出る(R03 第13問) シフト要因と均衡価格の変化を組み合わせる問題。 正解は「原材料費の上昇で供給曲線が左方シフト(価格↑)し、所得の増加で需要曲線が右方シフト(価格↑)すれば、均衡価格は必ず上昇する」。 「技術進歩で供給が左シフト」「原材料費下落で供給が左シフト」はシフト方向が逆でバツ。 上げと下げが混じる選択肢は「必ず上昇(下落)」と言い切れないのでバツ。 → R03 第13問
1-2 弾力性 ― 需要の価格弾力性・所得弾力性・供給の弾力性
いちばん短い定義
弾力性とは、「あるもの(価格・所得)が1%変わったとき、数量が何%変わるか」という反応の敏感さを表す数字です。
需要の価格弾力性(絶対値)= |需要量の変化率(%)| ÷ |価格の変化率(%)|
- この値が大きいほど、値段の変化に数量が敏感(=弾力的)。
- 小さいほど、値段が変わっても数量があまり動かない(=非弾力的)。
かみくだき:分母と分子のどちらが大きいか
「価格が10%上がったら需要量が20%減った」なら、弾力性=20÷10=2(弾力的)。 「価格が10%上がっても需要量は5%しか減らない」なら、弾力性=5÷10=0.5(非弾力的)。
⚠️ つまずきポイント:価格の変化率(分母)が大きいほど弾力性は"小さく"なる。 「価格の変化率が大きいほど弾力性も大きい」は、分母・分子を取り違えた典型的な誤り(R06第13問のa)。
弾力性を決めるもの・グラフでの見え方
| 弾力性の値 | 呼び方 | 需要曲線の形 |
|---|---|---|
| 0(ゼロ) | 完全非弾力的 | 垂直(価格が変わっても数量不変) |
| 0〜1 | 非弾力的 | 急な傾き(生活必需品・医療・農産物) |
| 1 | 単位弾力的 | ― |
| 1より大 | 弾力的 | 緩い傾き(ぜいたく品・代替品が多い財) |
| 無限大(∞) | 完全弾力的 | 水平 |
- 代替品が多い財ほど弾力的(値上げされたら他へ乗り換えられる)。
- 長期のほうが短期より弾力的になりやすい(時間をかければ代替・調整が進む)。
- 直線の需要曲線でも、弾力性は点ごとに違う(価格が高い上のほうほど弾力的)。「直線だから一定」は誤り。
垂直D(弾力性0) 急なD(非弾力的) 緩いD(弾力的) 水平D(弾力性∞)
価格│ 価格│\ 価格│ \ 価格│
│ │ │ \ │ \ ├────── P一定
│ │ │ \ │ \ │
└─┴──量 └──────量 └────────量 └───────量
弾力性と「売り手の総収入」
弾力性は価格を上げ下げしたとき収入がどうなるかの判定にも使います(R07第13問)。
- 弾力的(>1):値下げすると数量が大きく増え、総収入は増える(逆に値上げは総収入を減らす)。
- 非弾力的(<1):値下げしても数量があまり増えず、総収入は減る(値上げなら総収入は増える)。
- 弾力性ゼロ:数量が動かないので、値上げ=総収入(P×Q)は増える(「変化しない」は誤り)。
📝 過去問はこう出る(豊作貧乏:H28 第13問) 需要が非弾力的(急な傾き)な農産物で、好天により供給曲線が右シフトしたケース。 正解は「価格低下で需要量は増えるものの、需要が非弾力的なため生産者の総収入は減少する」=いわゆる「豊作貧乏」。 価格の下落率が数量の増加率を上回るため、豊作なのに農家は貧しくなる、という有名な現象です。 → H28 第13問
📝 過去問はこう出る(弾力性の正誤:R06 第13問/R07 第13問) どちらも正誤の組み合わせを選ぶ定番形式。押さえるべき"急所"は次の通り。 - 水平な需要曲線=弾力性は無限大(×ゼロ)。垂直がゼロ。(R06のc/R07のd) - 代替品が豊富な財ほど弾力的(R06のb=正)。 - 直線の需要曲線でも弾力性は価格水準によって変わる(R06のd=誤)。 - 長期の弾力性は短期より高くなりやすい(R07のc「低くなりやすい」は誤り)。 - 弾力性ゼロなら価格上昇で支出総額は増える(R07のa「変化しない」は誤り)。 → R06 第13問 / R07 第13問
供給の弾力性・所得弾力性(軽く)
- 供給の価格弾力性:価格1%の変化に供給量が何%反応するか。供給曲線が急なら非弾力的、緩いなら弾力的(考え方は需要と同じ)。
- 需要の所得弾力性:所得1%の変化に需要が何%反応するか。正常財(上級財)はプラス、下級財(劣等財)はマイナス(所得が増えると需要が減る財)。
1-3 余剰分析 ― 消費者余剰・生産者余剰・総余剰・死荷重
いちばん短い定義
余剰(サープラス)とは、取引によって得られる「もうけ(満足の得)」を金額で表したものです。グラフでは面積(三角形・台形)として読み取ります。
| 種類 | 意味 | グラフでの位置 |
|---|---|---|
| 消費者余剰(CS) | 「払ってもよい額」-「実際に払った額」=買い手の得 | 需要曲線と価格線の間(価格より上・D線より下) |
| 生産者余剰(PS) | 「実際に受け取った額」-「最低限ほしかった額」=売り手の得 | 価格線と供給曲線の間(価格より下・S線より上) |
| 総余剰(社会的余剰) | 消費者余剰+生産者余剰=社会全体の得 | 需要曲線と供給曲線に囲まれた三角形 |
価格P
│\D S/
│ \ ← 消費者余剰CS /
│ \(Dと価格線の間) /
P0┤‥‥‥\‥‥‥‥E‥‥‥/‥‥
│ / \
│ / ← 生産者余剰PS \(価格線とSの間)
│ / \
└──┴──────────────┴─── 数量Q
Q0
いちばん大事な結論:均衡Eで総余剰は最大
完全競争市場の均衡E(=需要と供給の交点)では、総余剰が最大になります。これを「資源配分が効率的(パレート最適)」といいます。 Eより数量が少なくても多くても、総余剰は減ります。この減った分=死荷重(デッドウェイト・ロス)です。
- 過少生産(Q0より少ない):本来なら「買い手の評価>売り手の費用」で取引できたはずの機会を逃す → 死荷重が発生。
- 過剰生産(Q0より多い):「売り手の費用>買い手の評価」の無駄な生産をしている → 死荷重が発生。
- 死荷重は、需要曲線と供給曲線に挟まれた"三角形"として現れます。
📝 過去問はこう出る(R02 第12問) 交点Eの数量Q0で総余剰が最大=効率的、という前提で領域を答える問題。 正解は「生産量がQ2(過剰生産)のとき、消費者余剰は四角形の分だけ増えるが、総余剰では三角形EHIの分だけ減少し、資源配分は非効率的になる」。 過剰生産では供給(限界費用)が需要(限界評価)を上回るため、超過分が死荷重になります。 → R02 第12問
生産者余剰を"1単位ずつ"で捉える
生産者余剰は「(市場価格-その企業の最低回収額)の合計」です。市場価格が自社の最低回収額以上の企業だけが生産します。
📝 過去問はこう出る(H30 第10問) 5社(最低回収額 A=200/B=800/C=1,200/D=1,600/E=2,000円)の設定で生産者余剰を計算する問題。 正解は「市場価格1,400円のとき生産するのはA・B・Cで、生産者余剰=(1,400−200)+(1,400−800)+(1,400−1,200)=1,800円」。 「価格が400円を上回れば5社すべて生産」(実際はAのみ)などは、最低回収額の読み違いでバツ。 → H30 第10問
📝 過去問はこう出る(消費者余剰:H29 第10問) 消費者余剰の定義を問う問題。正解は「価格が低く、需要曲線上でより多くの数量を選ぶほど、消費者余剰は大きくなる」。 「消費者余剰が支払意思額より大きくなる」(実際は支払意思額から支払額を引くので必ず小さい)はバツ。 → H29 第10問
1-4 価格規制と課税(従量税・従価税)の帰着・死荷重
価格規制:上限と下限
政府が均衡価格と違う値段を強制すると、取引量が均衡Q0より減り、死荷重が発生します。
| 規制 | 内容 | 例 | 起きること |
|---|---|---|---|
| 価格の上限規制 | 「これ以上高くするな」(均衡より低い上限) | 家賃統制 | 超過需要(品不足)・死荷重 |
| 価格の下限規制 | 「これ以下に下げるな」(均衡より高い下限) | 最低賃金・農産物価格支持 | 超過供給(売れ残り)・死荷重 |
【価格の下限規制】
価格P
│\D S/
│ \ /
P1┤‥‥G‥‥‥‥F‥‥‥ ← 下限P1(均衡P0より高い)で強制
│ \ 死荷重△EFG /
P0┤‥‥‥‥\‥E‥/‥‥ ← 本来の均衡E
│ \/
└────┴──┴──────── 数量Q
Q1 Q0 取引量はQ1に減少(<Q0)
📝 過去問はこう出る(H22 第10問・下限規制) 「最も不適切なもの」を選ぶ問題(設問の指示に注意)。 正解(=不適切)は「価格の下限が規制された場合でもパレート最適が実現する」。 下限規制で取引量がQ1に減り死荷重(三角形EFG)が生じるため、パレート最適は実現しない。 「経済余剰の損失は三角形EFG」「消費者余剰が減る」「生産者余剰は台形」は適切な記述です。 → H22 第10問
課税:従量税と従価税
| 税の種類 | かけ方 | グラフでの動き |
|---|---|---|
| 従量税 | 1単位あたり定額(例:1個100円) | 供給曲線が税額分だけ真上に平行シフト |
| 従価税 | 価格の一定割合(例:価格の10%) | 供給曲線が上に回転するように傾きを変えてシフト |
どちらも、課税後は買い手の支払価格が上がり、売り手の受取価格が下がって取引量が減り、死荷重(三角形)が発生します。
税の"帰着":誰がどれだけ負担するか ★頻出
税を「企業に課す」と決めても、実際の負担は買い手と売り手で分け合います。これを税の帰着といいます。
弾力性が小さい(非弾力的な)側ほど、税を多く負担する。
理由は、非弾力的な側は「値段が変わっても逃げにくい(数量を減らしにくい)」から。 逃げやすい(弾力的な)側は税を押しつけられると取引を減らして逃げるため、負担が軽くなります。
【従量税の帰着】需要曲線が急(非弾力的)=買い手の負担が重い
価格P
│\D(急=非弾力的) S'(課税後=上へ平行シフト)/
A ┤‥‥‥\‥‥‥‥‥‥‥‥‥/ ← 課税後の買い手の支払価格
│ \ 買い手負担A-B / S(課税前)
B ┤‥‥‥‥‥\‥‥‥‥/‥/ ← 課税前の価格
│ \ / /
C ┤‥‥‥‥‥‥‥\/‥/ ← 課税後の売り手の受取価格
│ 売り手負担B-C
└──────────────────── 数量Q
(A-B > B-C :非弾力的な買い手の負担が重い)
📝 過去問はこう出る(H24 第14問・帰着) 従量税で、買い手の支払価格A・課税前価格B・売り手の受取価格Cが与えられる図の問題。 正解は「課税によって生じる負担は需要者(買い手)の方が重い」。図では需要曲線が供給曲線より急(弾力性が低い)ため、 弾力性の低い買い手に負担がより多く帰着します(A-B>B-C)。 「需要曲線のほうが弾力性が高い」は、急な傾き=低弾力性の読み違いでバツ。 → H24 第14問
特殊ケース:需要が垂直(弾力性ゼロ)なら死荷重ゼロ
死荷重は「課税で取引量が減る」ことから生じます。だから需要曲線が垂直(弾力性ゼロ)で数量が変わらないなら、死荷重は発生しません。 このとき税収は「税額×数量(一定)」なので、税の大きさに比例して直線的に増えるだけです。
📝 過去問はこう出る(H27 第18問・従量税と死荷重) 設問1:垂直な需要曲線に従量税を課すケース。正解は「税収と税の大きさは原点を通る右上がりの直線(図A)で、数量が変わらないため死荷重は発生しない」。 設問2:供給が水平(完全弾力的)で、必需品A(非弾力的)と嗜好品B(弾力的)に課税するケース。 押さえどころは、弾力的なBほど数量が大きく減るので死荷重は大きくなる(=非弾力的な必需品Aのほうが死荷重は小さい)という関係です。 → H27 第18問
⚠️ 混同注意:「弾力性が低い」と「傾きが急」 グラフでは傾きが急な線=弾力性が低い(非弾力的)、傾きが緩い線=弾力性が高い(弾力的)。 帰着の問題は「どちらの線が急か」を見て、急なほう(=逃げられないほう)が重く負担すると判断すれば解けます。
この章のまとめ(試験直前チェック)
- ☐ 需要曲線は右下がり、供給曲線は右上がり、交点Eで均衡価格・均衡数量が決まる
- ☐ 価格が均衡より高い→超過供給で値下がり/低い→超過需要で値上がり(ワルラス的調整)
- ☐ 価格が変わる=曲線上の移動、価格以外が変わる=曲線のシフト(取り違え注意)
- ☐ 所得増(正常財)は需要を右シフト。供給・需要が同じ方向なら均衡価格は必ずその方向に動く
- ☐ 弾力性=数量の変化率÷価格の変化率。大きいほど弾力的(緩い傾き)、小さいほど非弾力的(急な傾き)
- ☐ 水平=弾力性∞、垂直=弾力性0(逆に覚えない)。代替品が多い・長期ほど弾力的
- ☐ 直線の需要曲線でも弾力性は点ごとに違う(一定ではない)
- ☐ 豊作貧乏:非弾力的な農産物は、供給増で価格が大きく下がり総収入は減る
- ☐ 消費者余剰=Dと価格線の間、生産者余剰=価格線とSの間、総余剰は均衡Eで最大
- ☐ 均衡から外れると死荷重(三角形)が発生(過少生産でも過剰生産でも)
- ☐ 価格の上限規制→品不足、下限規制→売れ残り、どちらも死荷重・パレート最適は崩れる
- ☐ 従量税=供給曲線の平行上シフト、従価税=回転シフト。ともに死荷重が発生
- ☐ 税の帰着:弾力性が小さい(急な線の)側ほど重く負担する
- ☐ 需要が垂直(弾力性0)なら数量不変→死荷重ゼロ、税収は税額に比例して増える
この章に対応する主な過去問
| 年度・問 | 論点 | リンク |
|---|---|---|
| H28 第14問 | 市場均衡と価格調整メカニズム | 問題 |
| H28 第12問 | 需要曲線上の移動と需要曲線のシフト | 問題 |
| R03 第13問 | 需要・供給曲線のシフトと均衡価格 | 問題 |
| R06 第13問 | 需要の価格弾力性(正誤組み合わせ) | 問題 |
| R07 第13問 | 需要の価格弾力性と支出総額 | 問題 |
| H28 第13問 | 豊作貧乏(需要の弾力性と供給シフト) | 問題 |
| H29 第10問 | 消費者余剰 | 問題 |
| H30 第10問 | 生産者余剰の計算 | 問題 |
| R02 第12問 | 総余剰・資源配分の効率性・死荷重 | 問題 |
| H22 第10問 | 価格の下限規制と余剰 | 問題 |
| H24 第14問 | 従量税の転嫁と帰着 | 問題 |
| H27 第18問 | 従量税の税収と死荷重 | 問題 |
次章予告 ▶ 第2章「消費者行動と需要曲線」 本章では需要曲線を"あるもの"として使いましたが、次章ではその需要曲線がどこから生まれるのかを掘り下げます。 予算制約線と無差別曲線、効用最大化、そして頻出の代替効果と所得効果(値段が変わったときの反応の分解)を扱います。