川崎市の人口の推移(1980年〜2025年)

国勢調査10回分でたどる45年。増えつづけた街は、いま曲がり角にあります。

このページの要点

① 45年で52万人増えた。1980年に104万人だった川崎市の人口は、2025年に156万人。増加率は+50.0%で、全国の政令指定都市のなかでも際立った伸びです。

② ただし直近5年で急ブレーキ。2020年→2025年の増加率は+1.49%。その前の5年(+4.27%)の3分の1に落ちました。人口増の時代は終わりに近づいています。

③ 伸びたのは北部。1985年からの40年で、麻生区は+66.0%、高津区は+55.4%。いっぽう川崎区は+20.4%にとどまります。同じ市内で伸び方が3倍以上違います。

総人口の推移と、5年ごとの増減率

折れ線が総人口(左軸・人)、棒が前回調査からの増減率(右軸・%)です。

川崎市の総人口と増減率(1980年〜2025年)

各年10月1日現在/国勢調査(5年ごと)

読み方:折れ線はほぼ一貫して右肩上がりですが、注目すべきは棒グラフのほうです。1990年(+7.81%)と2010年(+7.42%)に大きな山があり、そこから段階的に低くなって、2025年は+1.49%。45年でいちばん低い伸びです。人口が「増えている」ことと「増え続ける」ことは別だと、この棒グラフが示しています。

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)A 人口・世帯」/2025年は総務省「令和7年国勢調査 速報集計」をもとに作成

7区でこんなに違う

川崎市は南北に細長く、区によって人口の増え方がまったく違います。

区別の人口推移(1985年〜2025年)

宮前区・麻生区は1982年の分区で誕生したため、1985年以降を表示しています

読み方:1985年の時点では、川崎区が19.4万人で最大、麻生区が10.8万人で最小でした。40年後の2025年は、中原区が26.9万人で最大、川崎区は23.4万人で4位に後退しています。武蔵小杉の再開発を抱える中原区が、市の「南の顔」だった川崎区を追い抜いた形です。

出典:総務省「社会・人口統計体系」/「令和7年国勢調査 速報集計」をもとに作成

区別の人口増加率(1985年→2025年の40年間)

1985年を100としたときの2025年の増減率(%)

読み方:もっとも伸びたのは麻生区の+66.0%。新百合ヶ丘を中心とした宅地開発が効いています。次いで高津区(+55.4%)、多摩区(+50.4%)と、小田急線・田園都市線沿いの北部が上位を占めます。最下位の川崎区(+20.4%)も決して減ってはいませんが、市平均の+43.4%には届きません。
ビジネスへの示唆:「川崎市の人口は増えている」を根拠に商圏を判断すると、区によって3倍の差を見落とします。出店・営業エリアの検討では、必ず区(できれば駅)単位まで下ろしてください。

出典:総務省「社会・人口統計体系」/「令和7年国勢調査 速報集計」をもとに作成

増えたけれど、若くはない

人口が増えるあいだに、年齢の構成は大きく入れ替わりました。

年齢3区分別の人口構成比(1980年〜2020年)

年齢不詳を除いた合計に対する割合(%)

読み方:65歳以上の割合は、1980年の5.6%から2020年の20.2%へ、約3.6倍になりました。逆に15歳未満は22.9%から12.7%へほぼ半減。人口が同じ期間に約50万人増えたにもかかわらず、支える側と支えられる側のバランスは着実に変わっています。
ただし全国平均(2020年で28.6%)と比べれば、川崎市の高齢化率20.2%はまだかなり低い水準です。「若い政令市」であることは、いまのところ変わりません。

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)A 人口・世帯」をもとに作成

世帯数と1世帯あたり人員(1980年〜2020年)

棒が世帯数(左軸・世帯)、折れ線が1世帯あたり人員(右軸・人)

読み方:世帯数は37.7万世帯から74.7万世帯へほぼ2倍になりました。人口の伸び(+47.8%)をはるかに上回るペースです。理由は1世帯あたり人員の縮小で、2.76人から2.06人まで下がっています。
ビジネスへの示唆:世帯数は、住宅・家電・保険・宅配・光熱などの「世帯単位で売れる商品」の需要そのものです。人口の伸びより世帯の伸びのほうが大きいという事実は、単身・少人数世帯向けの商品設計が有効であることを示しています。

出典:総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)A 人口・世帯」をもとに作成

解説:川崎市の45年を、どう読むか

104万人から156万人へ

1980年の川崎市の人口は104万802人でした。それが2025年には156万1,132人。45年間で52万330人、率にして50.0%増えています。日本全体の人口が2008年をピークに減少に転じたことを考えると、これは相当に例外的な伸びです。政令指定都市のなかでも、この規模で増え続けた都市は多くありません。

増加の背景は単純です。東京都心まで20〜30分という立地に、大規模な住宅供給が続いたこと。とくに1990年前後と2010年前後の2つの山は、それぞれバブル期の宅地開発と、武蔵小杉をはじめとする大規模再開発のタイミングと重なります。人口増加率のグラフでこの2つの山がはっきり見えるのは、そのためです。

2025年、はじめての「+1.5%」

しかし直近のデータは、これまでとは違う顔をしています。2020年から2025年の5年間の増加率は+1.49%。実数では2万2,870人の増加にとどまりました。直前の5年間が6万3,049人(+4.27%)だったことを考えると、増加ペースは3分の1に落ちています。45年間でもっとも低い伸びです。

これは川崎市に限った話ではなく、コロナ禍を経た都心回帰・郊外分散の揺り戻しや、そもそも日本全体の人口減少が本格化していることの反映でもあります。ただ、はっきり言えることが1つあります。「川崎は人口が増えているから大丈夫」という前提は、もう置けないということです。増えてはいる。しかし、増え方は明らかに変わりました。

同じ市内で、伸びが3倍違う

市全体の数字だけを見ていると見落とすのが、区ごとの差です。1985年から2025年までの40年間で、麻生区は+66.0%、高津区は+55.4%、多摩区は+50.4%と大きく伸びました。いっぽう川崎区は+20.4%です。同じ市内で、伸び方に3倍以上の開きがあります。

順位そのものも入れ替わりました。1985年に最大だったのは川崎区(19.4万人)でしたが、2025年には中原区(26.9万人)が最大となり、川崎区は4位です。武蔵小杉の再開発が中原区の人口をどれだけ動かしたか、この1点だけでも読み取れます。

中小企業の経営でこのデータをどう使うか。もっとも実務的なのは商圏の再確認です。「川崎市内」という単位で商圏を設定していると、実際には人口が2割しか増えていないエリアと、7割近く増えたエリアを同じものとして扱うことになります。出店、営業エリアの割り当て、チラシの配布範囲、採用の募集エリア——いずれも区、できれば駅の単位まで下ろして判断したほうが精度が上がります。

人口より速く増えたもの、世帯数

もう1つ見落とされやすいのが世帯数です。1980年に37万6,690世帯だったものが、2020年には74万7,452世帯。ほぼ2倍になっています。人口の伸び(同期間で+47.8%)を大きく上回るペースです。

理由は1世帯あたり人員の縮小で、2.76人から2.06人まで下がりました。単身世帯と2人世帯が増え、家族の人数が減った結果です。この違いは、商売の種類によっては人口以上に重要になります。住宅、家電、通信回線、保険、宅配、電気・ガス——これらは「人」ではなく「世帯」の単位で売れる商品だからです。人口が横ばいでも世帯数が増えていれば、これらの需要は伸びます。

「若い政令市」はいつまで続くか

年齢構成を見ると、65歳以上の割合は1980年の5.6%から2020年の20.2%へ、3.6倍になりました。15歳未満は22.9%から12.7%へほぼ半減しています。数字だけを見れば、確実に高齢化が進んでいます。

ただし水準としては、川崎市の高齢化率20.2%(2020年)は全国平均の28.6%を大きく下回ります。全国の市区町村のなかでも、かなり若いほうです。生産年齢人口(15〜64歳)の比率も67.1%と高く、働き手が豊富な街であることに変わりはありません。人手不足に悩む事業者にとって、この点は川崎の数少ない有利な条件です。

とはいえ、生産年齢人口の比率は1990年・1995年の75.5%をピークに下がり続けています。麻生区のように早くから開発された住宅地では、当時30代で入居した世帯がそのまま高齢化しており、区によって高齢化のスピードには大きな差があります。区別の年齢構成については、「高齢化率・年少人口比率」のページで詳しく扱っています。

まとめ:3つの数字を覚えておく

このページの内容を、経営判断に使える形で3つに絞ると次のようになります。

1. 156万人(2025年)——市場規模の基準値。ただし増加率は+1.49%まで落ちており、これ以上の大幅な伸びは期待しないほうが安全です。

2. 区ごとに3倍の差——商圏は市単位でなく区単位で見る。北部(麻生・高津・多摩・宮前)は伸び、南部(川崎区)は緩やか。

3. 世帯数は人口の2倍のペースで増えた——世帯単位で売れる商品は、人口統計だけを見ていると需要を過小評価します。

このページのデータについて

出典
総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)A 人口・世帯」(統計表ID 0000020101)
総務省「令和7年国勢調査 速報集計(男女別人口及び世帯総数)」(統計表ID 0004050397)

注意点

・2025年は速報値です。確定値の公表で数値が変わる場合があります。

・1980年の高津区・多摩区は範囲が違います。宮前区は1982年に高津区から、麻生区は同年に多摩区から分区して誕生しました。そのため1980年の高津区の数値には宮前区が、多摩区の数値には麻生区が含まれています。区別のグラフを1985年から始めているのはこのためです。

・年齢構成と世帯数は2020年までです。2025年国勢調査の該当集計はまだ公表されていません。公表され次第、更新します。

・国勢調査の人口です。住民基本台帳の人口とは定義(外国人の扱い、調査時点)が異なるため、市が毎月公表している人口とは一致しません。月次の動きは「住民基本台帳の人口・世帯数」のページで扱っています。

検算として、各年の7区の合計が市の総人口と一致することを確認しています(1985年以降、すべての年で差ゼロ)。