このページの要点
① 高齢化率は40年で3.6倍。1980年の5.6%から2020年の20.2%へ。いっぽう年少人口比率は22.9%から12.7%へほぼ半減しました。
② 2005年に「逆転」が起きた。老年化指数(65歳以上÷15歳未満)が111.4となり、はじめて100を超えました。高齢者の数が子どもの数を上回った年です。2020年には158.9まで上がっています。
③ それでも政令市20市で最も若い。高齢化率20.2%は20市で最低、全国平均28.6%を8.4ポイント下回ります。「若い」ことと「急速に高齢化している」ことは両立します。
40年間の年齢構成の変化
年齢3区分の構成比の推移(1980年〜2020年)
100%積み上げ/年齢不詳を除いた合計に対する割合
注目は真ん中の生産年齢人口です。1990年・1995年の75.5%をピークに、2020年は67.1%まで下がりました。働く世代の割合は、30年前から8.4ポイント減っています。
出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」(国勢調査)をもとに作成
老年化指数の推移
65歳以上人口 ÷ 15歳未満人口 × 100/100を超えると高齢者が子どもより多い状態
2020年は158.9。子ども10人に対して高齢者16人という比率になりました。40年で6.5倍です。
高齢化率(5.6%→20.2%、3.6倍)より、この指標のほうが変化を鮮明に映します。高齢者が増えただけでなく、子どもが減ったからです。
出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」をもとに作成
7区でどう違うか
区別の高齢化率と年少人口比率(2020年)
赤が65歳以上の割合、緑が15歳未満の割合
麻生区は1970〜80年代に開発された住宅地で、当時入居した世代がそのまま高齢期に入りました。中原区は武蔵小杉の再開発で子育て世代が流入した区です。街が開発された時期が、40年後の年齢構成を決めています。
年少人口比率は宮前区14.0%が最高、多摩区11.0%が最低。多摩区は大学が多く単身の若者が多いため、子どもの割合は低くなります。
出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」をもとに作成
解説:若いが、速い
3.6倍と6.5倍
川崎市の高齢化率は1980年の5.6%から2020年の20.2%へ、40年で3.6倍になりました。全国的に見れば珍しい話ではありません。日本中で同じことが起きています。
ただし老年化指数で見ると、変化はもっと急に見えます。1980年の24.4から2020年の158.9へ、6.5倍。高齢化率の伸び(3.6倍)を大きく上回ります。
この差はどこから来るのか。高齢化率は「全人口に占める高齢者の割合」ですが、老年化指数は「子どもに対する高齢者の比」です。高齢者が増えたことと、子どもが減ったことの両方を同時に反映します。川崎市では年少人口比率が22.9%から12.7%へほぼ半減しました。分子が増え、分母が減れば、比は急激に動きます。
2005年に100を超えたということは、その年に川崎市で高齢者の数が子どもの数を追い越したということです。街の風景を静かに変えた分岐点でした。
「若い政令市」であることは事実
いっぽうで、水準としては川崎市はまだ若い。「政令指定都市20市 データ比較」のページで見たとおり、高齢化率20.2%は20市でもっとも低い数字です。2位の福岡市(22.1%)に1.9ポイント差、最高の北九州市(31.8%)とは11.6ポイントの差があります。全国平均28.6%も大きく下回ります。
「若い」ことと「急速に高齢化している」ことは矛盾しません。出発点が若かったからこそ、変化率が大きく出るという面もあります。
ただし生産年齢人口の比率は、1990年・1995年の75.5%をピークに2020年は67.1%まで下がりました。8.4ポイントの低下です。「就業者数・失業率・女性就業」のページで見たとおり、この間に増えた就業者はすべて女性でした。働く世代の割合が減るなかで労働力を保ってきたのは、女性の就業拡大です。
区で1.6倍の差
市全体の平均を見ているだけでは、実態を取り違えます。高齢化率は麻生区24.1%から中原区15.3%まで、1.6倍の開きがあります。
麻生区が高いのは、新百合ヶ丘を中心とした住宅地が1970〜80年代に開発され、当時30代で入居した世代がそのまま高齢期に入ったためです。「人口ピラミッド」のページで見たとおり、麻生区は20〜39歳の割合も7区で最低(22.1%)。街が一斉に若く、一斉に歳を取る——計画的に開発された住宅地に共通する現象です。
逆に中原区は武蔵小杉の再開発によって20〜39歳が31.9%(7区最高)まで増えました。ただしこの層も歳を取ります。いまの中原区は、40年前の麻生区と同じ位置にいるのかもしれません。
中小企業への示唆
1. 「川崎は若い」で商品設計すると外す——市平均は20市最低でも、麻生区は24.1%です。区によって主要顧客層はまったく違います。シニア向けなら麻生区・川崎区、子育て向けなら中原区・宮前区。
2. 老年化指数158.9の意味——高齢者向け市場は、子ども向け市場の1.6倍の規模になったということです。「出生・死亡(自然増減)」のページで見たとおり、2021年には自然減にも転じました。この比はさらに開きます。
3. 変化の速さに合わせる——2005年に逆転してから15年で、老年化指数は111.4から158.9へ。15年で1.4倍です。10年単位の事業計画なら、いまの年齢構成をそのまま前提にはできません。
4. 労働力は女性と高齢者から——生産年齢人口の比率が下がり続けるなか、働き手を確保する道は限られます。女性の就業はすでに大きく進みました。次に来るのは高齢者の就業継続です。65歳以上の雇用を前提にした職場設計は、川崎でも近い将来の課題になります。
データの注意点
数値は国勢調査(5年ごと)によるもので、最新は2020年です。2025年国勢調査の年齢別集計はまだ公表されていないため、このページでは扱っていません。公表され次第、更新します。
比率は年齢不詳を除いた合計に対する割合です。国勢調査では年齢不詳が一定数あり(川崎市の2020年は約4.6万人)、これを含めるか除くかで数値がわずかに変わります。
老年化指数は自治体間の比較によく使われる指標ですが、単一の数字で高齢化の実態を表すものではありません。高齢化率とあわせて見るのが適切です。