日記調査(ダイアリー法)とは
日記調査(ダイアリー法)とは、対象者に一定期間(通常1〜4週間)、日常生活の中での行動、購買、利用体験、感情などを日記形式で記録してもらう調査手法です。時間の経過に伴う行動の変化や、特定の場面での体験をリアルタイムに近い形で捕捉できるため、回顧的なインタビューでは得られない生活文脈の中の行動データを収集できます。
日記調査の種類
①紙の日記式(記録用紙に手書きで記入)、②モバイルダイアリー(スマートフォンアプリで写真・テキスト・動画を投稿)、③フォトダイアリー(特定のシーンを写真で記録)、④ビデオダイアリー(対象者自身が映像で記録・語り)。近年はモバイルダイアリーが主流となり、位置情報やタイムスタンプと連動した高精度なデータ収集が可能になっています。
日記調査の活用場面
①メディア接触実態の把握(テレビ、スマホ、SNSの利用行動を時間帯別に記録)、②購買行動の追跡(日常の買い物行動の記録)、③製品使用実態の把握(新製品のHUTと組み合わせた使用日記)、④患者の症状・服薬記録(ヘルスケア領域)、⑤生活者の1日の過ごし方の可視化(タイムユーススタディ)。カスタマージャーニーの実態把握にも有効です。
日記調査の課題と成功のポイント
①記録の負担による脱落・記録漏れ(リマインド通知や簡便な入力フォームで対応)、②社会的望ましさバイアス(良く見せようとする傾向)、③記録のタイムラグ(後からまとめて記録すると正確性が低下)、④データ量の膨大さに対する効率的な分析。成功のポイントは、対象者の負担を最小限にしつつ、必要な情報を確実に収集できる記録フォーマットの設計です。
具体例・事例
日記調査は、対象者に一定期間、日常の行動や体験を記録してもらう手法です。
- 購買行動の記録:いつ・何を・なぜ買ったかを日々書き留めてもらいます。
- 利用体験の追跡:商品を使うたびに感想や場面を記録してもらいます。
- 感情の変化:その時々の気持ちを残してもらい、文脈を把握します。あるカフェの想定では、常連客に1週間「来店した日とその理由」をメモしてもらい、利用シーンの傾向をつかみました。
どんなときに使う?(活用シーン)
後から思い出して語るのとは違う、リアルタイムに近い生活の実態を捉えたいときに使われます。
- 生活文脈の理解:どんな場面で商品が使われるかを具体的に把握します。
- 変化の追跡:時間の経過に伴う行動や気持ちの移り変わりを見ます。
- 新たな利用シーンの発見:想定外の使われ方を見つけます。ある食品店では、購入客に数日間の食卓写真を送ってもらい、商品の意外な使い方を知り提案に活かしました。
よくある質問
Q. インタビューとの違いは何ですか?
A. インタビューは後から記憶をたどって語るため、忘れや美化が起きがちです。日記調査はその場で記録するため、思い出しにくい細かな行動や感情をより正確に捉えられます。両者を組み合わせると理解が深まります。
Q. 対象者に続けてもらう工夫はありますか?
A. 記録の負担を軽くすることが続けてもらう鍵です。項目を絞る、スマホで写真や短文を送れるようにする、こまめに声をかけるなどの工夫で、最後まで協力してもらいやすくなります。