アンカリング効果とは
アンカリング効果とは、最初に提示された数値や情報(アンカー)が、その後の判断や意思決定に無意識に影響を与える認知バイアスです。カーネマンとトヴェルスキーが実験で実証しました。船の錨(アンカー)のように、最初の情報に思考が固定される現象です。
アンカリング効果の実験
有名な実験では、ルーレットで65が出たグループと10が出たグループに「国連加盟国に占めるアフリカ諸国の割合は?」と尋ねました。65のグループは45%、10のグループは25%と回答し、全く無関係な数値がアンカーとして作用しました。
マーケティングでの活用
①価格表示:「通常価格10,000円→セール価格5,000円」(通常価格がアンカー)。②松竹梅の価格設定:高額商品を最初に見せて中間商品を妥当に感じさせる。③商品紹介:最初に高スペック商品を紹介してから標準モデルを提案。④年間費用を1日あたりに換算(「1日わずか33円」)。
アンカリング効果への注意
アンカリング効果は非常に強力で、専門家でも影響を受けます。マーケターとしては適切に活用する一方、自社の意思決定においてアンカリングに引きずられないよう注意が必要です。複数の参照点を設定する、客観的データに基づく判断を心がけるなどの対策が有効です。
具体例・事例
アンカリング効果は、最初に目にした数字が「基準(錨)」になって、その後の判断を引っ張る現象です。値段の見せ方ひとつで、同じ商品でも割安に感じたり高く感じたりします。
- 二重価格の表示:「通常1万円のところ本日7千円」と並べると、7千円が基準の1万円より安く感じられ、お得感が生まれます。
- 上位プランを先に見せる:見積もりで先に高額プランを提示すると、後に出す標準プランが手頃に映ります。
- ある町の整体院では、回数券のページで最初に12回券(割引率の高い案)を見せ、その下に6回券を置いたところ、6回券が無理のない選択として選ばれやすくなったといいます。
どんなときに使う?(活用シーン)
アンカリング効果は、価格表や提案書、メニューの「並べ方・見せる順番」を考えるときに活用できます。中小企業でも、印刷物や接客トークの工夫だけですぐ試せるのが利点です。
- 見積もりの順番:商談で先に上位プランを示し、判断の基準を作ってから本命プランを提案する。
- メニュー設計:いちばん上に少し高めの商品を置き、その下の主力商品を割安に感じてもらう。
- 割引の伝え方:割引前価格を併記して、値引き幅を分かりやすく示す。
- 注意点の共有:実態のない「通常価格」は景品表示法に触れる恐れがあるため、社内で表示ルールを決めておく。
よくある質問
Q. アンカリング効果は誇大表示になりませんか?
A. 実際には販売実績のない価格を「通常価格」として併記すると、二重価格表示として景品表示法に触れる恐れがあります。アンカーには実態のある正しい数値を使うことが大切です。
Q. どんな数字でもアンカーになりますか?
A. 一般に、判断の直前に提示された数値ほど影響が強いとされます。ただし明らかに無関係な数字や極端な数字は警戒されやすく、効果が薄れることもあります。文脈に合った提示が重要です。