この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。
第17問
論点:能力開発(OJT・Off-JT・自己啓発)
能力開発およびキャリア開発に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア OJTは日常業務を通じて上司や先輩が指導するものであり、実務に直結し低コストである反面、指導者の力量に左右されやすい。もっとも、体系性に欠けやすいという短所はなく、Off-JTよりも計画的・体系的な育成に適する。
- イ Off-JTは業務を離れて行う集合研修などをいい、業務に左右されず計画的・体系的に実施できる反面、実務との結びつきが弱くなりがちである。Off-JTのうち職能別教育とは、新入社員研修や管理職研修のように同じ立場の集団を対象とするものをいう。
- ウ 自己啓発は本人が自主的に行うものであり、企業が費用の一部を援助することもあるが、これを支援することは事業主の法律上の義務とされている。
- エ CDPは、本人の希望と会社の人材ニーズをすり合わせ、教育訓練と配置・評価・処遇を計画的に連動させる仕組みであり、経営戦略や事業計画とは独立に設計される。
- オ CDPの運用にあたっては、本人の適性や希望をよく知る直属の上司の関与も、全社的な人材ニーズを踏まえる人事スタッフの関与も、いずれも重要となる。
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正解:オ
解答:オ
能力開発の3本柱は、OJT(職場内訓練=日常業務を通じた指導。実務直結・低コストだが指導者の力量に左右され、体系性に欠けやすい)、Off-JT(職場外訓練=業務を離れた集合研修。計画的・体系的に実施できるが実務との結びつきが弱い)、自己啓発(本人が自主的に学ぶ。会社の関与は「支援」にとどまる)である。長所と短所がちょうど裏返しの関係にあることを押さえたい。
- ア(×):OJTの定義(日常業務を通じた指導)、長所(実務直結・低コスト)、短所の一つ(指導者の力量に左右されやすい)は、いずれも正しい。誤りは末尾で、OJTには体系性に欠けやすいという短所がある。業務に左右されず計画的・体系的に実施できるのは、むしろOff-JTの長所であり、OJTとOff-JTの長所を取り違えている。
- イ(×):Off-JTの定義と、その長所(計画的・体系的に実施できる)・短所(実務との結びつきが弱くなりがち)の説明は正しい。誤りは末尾で、新入社員研修や管理職研修のように「同じ立場の集団」を対象とするのは階層別教育である。職能別教育とは、営業・製造など「仕事の種類」別に行うものをいい、両者の説明が入れ替わっている。
- ウ(×):自己啓発が本人の自主性によるものであること、企業が費用の一部を援助することがあることは正しい。誤りは末尾の一点で、それは奨励・支援であって、法律上の義務ではない。
- エ(×):CDP(キャリア開発プログラム)の定義(本人の希望と会社の人材ニーズをすり合わせ、教育訓練と配置・評価・処遇を計画的に連動させる仕組み)は正しい。誤りは末尾の一点で、CDPは経営戦略・事業計画と連動して設計すべきものであり、これとは独立に設計するとするのは誤りである。
- オ(○):本問の正解。CDPの運用では、本人の適性や希望をよく知る直属の上司の関与と、全社の人材ニーズを踏まえる人事スタッフの関与が、どちらも重要となる。どちらか一方に限定する(たとえば公平性を理由に直属の上司を関与させない、あるいはラインの管理者だけの責任とする)という記述は誤りとなるが、本肢は両者がいずれも重要であると正しく述べている。記述は適切である。
よって オ。
なぜこの論点を予想したか
能力開発を正面から問う出題の直近はH26第26問で、H27以降12年連続で出題がない。人的資源管理は毎年2〜4問と出題が安定しているうえ、OJT・Off-JT・自己啓発は基本論点であり、周期的にそろそろ問われる可能性が高い。ただしH26第26問の正解肢(企業の自己啓発支援制度では業務に関連する知識・スキルが対象とされる)と、その誤答肢(OJTの計画的実施は非現実的/Off-JTは職能別教育では効果が乏しい)をそのまま繰り返しても復習にならないため、本問ではいずれも外し、3手法それぞれの長所と短所の対応関係、階層別教育と職能別教育の区別、およびCDPを軸に構成した。誤答肢はいずれも「言い過ぎ・断定」または「対応の取り違え」の形をとる。