予想問題 企業経営理論 令和8年度予想 第15問

この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。

第15問

論点:組織学習

組織学習とは、組織が経験を通じて知識やルール(ルーティン)を獲得・ 修正し、行動を変えていくプロセスをいう。組織学習に関する記述として、 最も不適切なものはどれか。

  1. 低次学習とは既存の枠組みの中での反復的・部分的な学習をいい、高次学習とは枠組みや前提そのものを変える学習をいう。これらは学習の質による区別であって、学習が行われる組織階層の上下による区別ではない。
  2. シングルループ学習とは、既存の目的や枠組みは変えず、その範囲内で行動を修正する学習をいう。
  3. ダブルループ学習とは、目的や前提となる枠組みそのものを問い直して見直す学習をいい、長期の成長・発展のためには、シングルループ学習を抑えてダブルループ学習に一本化していくことが必要とされる。
  4. 有能さの罠とは、これまでの学習で成果が出ているために、既存の有効なやり方に偏りすぎて新たな探索を怠り、環境変化への適応力を失うことをいう。
  5. 迷信的学習は、行動と環境への効果の因果関係が分かりにくいときに生じやすい。
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正解:

解答:ウ

組織学習は、アージリス&ショーンの「シングルループ/ダブルループ」と、それにほぼ対応する「低次学習/高次学習」という2つの対(ペア)を正確に区別できるかがすべてである。いずれも区別の基準は学習の「質」(枠組みを問い直すか、枠内で直すだけか)であって、回数でも組織階層でもない。そのうえで、どちらか一方だけが良いわけではない、という点が最後の関門となる。

  • ア(○):正しい。低次学習は既存の枠組みの中での反復的・部分的な学習、高次学習は枠組み・前提そのものを変える学習であり、両者を分けるのは学習の「質」である。「高次=上位階層で行う学習/低次=下位階層で行う学習」と組織階層の話に読み替えるのは定番の誤りであり、本肢はこれを正しく否定している。
  • イ(○):正しい。シングルループ学習とは、既存の目的・枠組みは変えず、その範囲内で行動(誤差)を修正する学習をいう。温度がずれたらサーモスタットが自動で調整する、というイメージである。
  • ウ(×):本問の正解。ダブルループ学習の定義(目的・前提・枠組みそのものを問い直して見直す学習)は正しく、誤りは末尾の一点にある。ダブルループ学習だけが良いわけではなく、長期の成長・発展に必要とされるのは、シングルループ学習とダブルループ学習を状況に応じて適切に切り替えていくことである。「シングルループを抑えてダブルループに一本化する」という方向づけは、この切り替えの発想を捨てるものであり誤り。低次学習にも効率改善という役割があるのと同様、シングルループ学習にも枠内で誤差を正すという固有の役割がある。
  • エ(○):正しい。有能さの罠(コンピテンシー・トラップ)とは、これまでの学習で高い能力を築き成果が出ているために、その既存の有効なやり方に偏りすぎて新しい探索を怠り、環境変化への適応力を失ってしまうことをいう。「学習をやめてしまうこと」と説明するのは不正確である。
  • オ(○):正しい。迷信的学習とは、組織の行動とそれが環境に与えた効果との因果関係が分かりにくいときに、たまたまの成功を「これが効いた」と誤って一般化してしまう低次学習をいう。

よって

なぜこの論点を予想したか

過去19年で7回出題の頻出論点。直近はR06でR07は未出題のため、そろそろ出題される可能性が高い。シングルループとダブルループの定義のすり替えや、有能さの罠の定義が繰り返し狙われている。ただし、高次・低次学習を組織階層の上下に読み替える誤りはR06第22問の誤答肢・R01第14問の誤答肢で二度使われているため、本問ではこれを正解肢(=誤り)には据えず、正しい記述として肢アに置いた。そのうえで、両ループのどちらか一方が優れているわけではないという、定義の一段先の理解を問う形に構成した。

#組織文化・組織学習

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