この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。
第14問
論点:期待理論と公平理論
ブルームの期待理論およびアダムスの公平理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 期待理論では、モチベーションの強さは、期待・用具性・誘意性の総和で決まるとされる。
- イ 期待理論の用具性とは、努力すれば成果をあげられるかどうかの見込みをいい、誘意性とは、その報酬が自分にとってどれだけ魅力的かをいう。
- ウ 期待理論において誘意性を高める働きかけとは、目標の実現で得られる報酬がいかに魅力的かを説得することであり、報酬を目標の達成度から切り離すことがその代表例とされる。
- エ 公平理論では、人は自分の報酬と投入の比率を他者のそれと比較しており、報酬の絶対額ではなく、他者と比較した公平さが動機づけを左右するとされる。
- オ 公平理論によれば、不公平を感じた人は、投入する努力を増減させたり報酬の変更を求めたりして解消を図るが、比較の対象そのものを変えることはないとされる。
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正解:エ
解答:エ
過程理論の急所は2つ。1つはブルームの期待理論が「期待×用具性×誘意性」という掛け算であること、もう1つは3要素の定義(期待=努力→成果/用具性=成果→報酬/誘意性=報酬の魅力)を取り違えないことである。アダムスの公平理論は「他者との比較」がキーワードで、期待理論とは区別される。
- ア(×):期待理論は、モチベーション=期待×用具性×誘意性という掛け算で表される。総和ではない。掛け算だからこそ、どれか1つでもゼロに近ければ全体もゼロになる、という含意が導かれる。「総和」に書き換えるのは定番の引っかけである。
- イ(×):後半の誘意性の説明は正しい。誤りは前半で、「努力すれば成果をあげられるかどうかの見込み」は期待(expectancy)の説明である。用具性(道具性・instrumentality)とは、成果をあげれば報酬につながるかどうかの見込みを指す。3要素の定義の入替えが最も狙われる。
- ウ(×):前半の誘意性を高める働きかけの説明は正しい。誤りは後半で、報酬を目標の達成度から切り離すと成果と報酬の結びつきが弱まるため、下がるのは用具性である。誘意性を高めるのではなく、用具性を弱める行為であって、代表例とするのは方向が逆である。
- エ(○):公平理論は、人が自分の「報酬÷投入」の比率を他者のそれと比較し、不公平を感じるとそれを解消しようとして行動を変える、と説明する。ポイントは報酬の絶対額ではなく「あの人と比べて公平か」という他者との比較であり、記述は適切。本問の正解。
- オ(×):前半の解消行動(投入の増減・報酬の変更を求める)は正しい。誤りは末尾で、比較対象を変える、認知を歪めるといった方法も、公平理論が想定する不公平の解消行動に含まれる。
よって エ。
なぜこの論点を予想したか
過去19年で3回出題。直近はR02で、R03以降5年連続で未出題とご無沙汰のため、そろそろ出題される可能性が高い。期待理論の3要素(期待・用具性・誘意性)の定義の取り違えと、公平理論の概念を期待理論の要素と誤認させる形が定番である。