この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。
第13問
論点:モチベーションの内容理論
モチベーション(動機づけ)理論は、何がやる気の源かを説明する内容理 論と、どのような心理プロセスを経てやる気が高まるのかを説明する過程 理論に大別される。このうち内容理論に関する記述として、最も適切なも のはどれか。
- ア マズローの欲求段階説では、人間の欲求は生理的欲求・安全の欲求・所属と愛の欲求・承認の欲求・自己実現の欲求の5段階に整理され、このうち上位に位置する欲求ほど、常に強く人の行動を動機づけるとされる。
- イ アルダファーのERG理論は、マズローの5段階を存在・関係・成長の3つに再構成したものであり、複数の欲求が同時に働くことは想定せず、低次から高次へ一段ずつ順に現れると考える点はマズローと変わらない。
- ウ ハーズバーグの二要因理論において、給与や作業条件など仕事の環境に関わる要因は衛生要因と呼ばれ、これを充足させると積極的な満足が生み出される。
- エ マクレランドの欲求理論では、達成欲求の高い人は挑戦的だが達成可能な課題を好むとされ、優れた管理職に必要とされるのは、達成欲求よりもむしろ社会的な権力欲求であるとされる。
- オ マグレガーのY理論は、人は条件次第で自律的に働くという人間観に立ち、部下を管理するにはアメとムチが有効であるとする。
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正解:エ
解答:エ
内容理論は、人の内側にある欲求や要因に注目して「これが満たされるとやる気が出る」と説明する理論群である。マズロー(欲求段階説)、アルダファー(ERG理論)、ハーズバーグ(二要因理論)、マクレランド(欲求理論)、マグレガー(X理論・Y理論)の人名と中身を一対一で結びつけられるかが勝負となる。誤答肢はいずれも、前半の説明は正典どおりで、末尾の一点だけが誤っている。
- ア(×):5段階(生理的・安全・所属と愛・承認・自己実現)の列挙は正しい。誤りは末尾で、マズローは「低次の欲求がある程度満たされて、はじめて次の高次の欲求が動機づけの力を持つ」という順次的・段階的な理論を示したのであって、「上位の欲求のほうが常に強く作用する」とは述べていない。段階の順序を「強さ」の順序にすり替えるのが定番の引っかけである。
- イ(×):アルダファーがマズローの5段階を存在(E)・関係(R)・成長(G)の3つに再構成したという前半は正しい。誤りは末尾で、ERG理論がマズローと決定的に違うのは、①複数の欲求が同時に働きうると考える点と、②高次の欲求が満たされないときに下位の欲求へ向かう退行を認める点にある。「一段ずつ順に現れる点はマズローと変わらない」とするのは、①を正面から否定するもので誤りである。
- ウ(×):衛生要因の中身(給与・作業条件など仕事の環境に関わる要因)の説明は正しい。誤りは末尾で、衛生要因は充足しても不満が消えるだけであり、積極的な満足・やる気は生まれにくい。積極的な満足を生むのは、達成感・承認・責任・成長など仕事そのものに関わる動機づけ要因である。両要因は独立しており、相関が高いわけでもない。
- エ(○):本問の正解。マクレランドは、後天的に学習される欲求を達成・権力・親和の3つに分け、達成欲求の高い人は適度に困難な(挑戦的だが達成可能な)課題を好むとした。そのうえで、優れた管理職に必要なのは達成欲求ではなく、他者に影響を与えたいという(社会的)権力欲求であるとしている。記述は適切である。
- オ(×):Y理論の人間観(人は条件次第で自律的に働く)の説明は正しい。誤りは末尾で、Y理論に立てば、部下を意思決定に参加させることで意欲が高まるとされる。人は本来なまけたがるのでアメとムチで管理するという人間観は、X理論のほうである。
よって エ。
なぜこの論点を予想したか
過去19年で8回出題の頻出論点。直近はR06でR07は未出題のため、そろそろ出題される可能性が高い。提唱者と説明の取り違え(マズローとマクレランドの入替えなど)や、理論の特徴の逆を書いた選択肢(衛生要因で積極的にやる気が出る、など)を見抜く形が定番である。なお、ERG理論の退行(成長欲求が満たされないとき関係欲求へ向かう)はR06第18問の正解肢で正面から問われたばかりであり、本問では正解肢に据えず、ERG理論のもう一つの特徴である欲求の同時併存を誤答肢の側で確認する形にした。