この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。
第12問
論点:賃金制度と人事評価
賃金制度および人事評価に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- ア 職務給とは、担当する職務の価値に応じて決まる賃金をいい、同一労働同一賃金の考え方になじみやすい反面、職務分析に手間がかかり、配置転換を行いにくいという短所がある。日本企業で伝統的に主流であったのは、この職務給である。
- イ 中心化傾向とは、差をつけるのを避けて評定が中央に集中する評定誤差をいう。一方、関連のありそうな評価項目を連動させる誤差は、対比誤差と呼ばれる。
- ウ 成果主義を機能させる鍵は評価の納得感にあり、報酬の配分が努力や成果という投入に見合っているかという分配的公正と、評価基準の明示や本人が参加する目標設定といった評価プロセスの公正さの両方が求められる。このうち後者の手続き的公正を理論的に基礎づけたのが、アダムスの公平理論である。
- エ 平均賃金とは、算定事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の所定労働日数で除した金額をいう。
- オ ベースアップとは、賃金水準そのものを底上げすることをいい、賃金表がある場合には表そのものを書き換えることになる。これに対して定期昇給は、年齢・勤続・査定に基づき、毎年定期的に個々人の賃金を引き上げることをいう。
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正解:オ
解答:オ
賃金制度と人事評価の急所は、①賃金の型が「何で決まるか」(年功給=年齢・勤続/職能給=人の能力/職務給=仕事の価値/役割給=役割の大きさ)、②評定誤差の名称と中身の一致、③定期昇給とベースアップの区別、④成果主義の納得感=分配的公正+手続き的公正、の4点である。誤答肢はいずれも記述の大部分が正しく、一点だけがずらされている。
- ア(×):職務給の定義(仕事の価値で決まる)、長所(同一労働同一賃金の考え方になじむ)、短所(職務分析の負担・配置転換のしにくさ)は、いずれも正しい。誤りは末尾の一点で、日本企業で伝統的に主流だったのは職務給ではなく職能給であり、これが年功的な運用と結びついてきた。職能給の「能」は人の能力、職務給の「務」はその仕事を指す、と漢字の意味で区別すれば取り違えない。
- イ(×):前半の中心化傾向(中央化傾向)の説明は正しい。誤りは後半で、関連がありそうな評価項目どうしを連動させてしまう評定誤差は論理的誤差である。対比誤差とは、評価者自身や他者と比べて評価が歪む誤差をいう。なお、一つの目立った特徴に引きずられて他の評価項目まで同じ方向に歪むのがハロー効果、全体的に甘くつけてしまうのが寛大化傾向である。
- ウ(×):分配的公正と手続き的公正の両方が求められるという点、およびそれぞれの中身の説明は正しい。誤りは末尾の一点で、アダムスの公平理論が理論的に基礎づけるのは、投入と報酬が見合っているかを問う分配的公正のほうである。手続き的公正は評価のプロセスそのものの公正さを問うものであり、公平理論の射程ではない。
- エ(×):平均賃金は、算定事由の発生した日以前3か月間の賃金総額を、その期間の総日数(暦日数)で除して算出するのが原則である。所定労働日数で除すとするのは定番の引っかけであり、この一点のみが誤り。
- オ(○):ベースアップ(ベア)と定期昇給の区別として、いずれも正しい。ベアは賃金水準そのものの底上げであり、賃金表があれば表そのものを書き換える。定期昇給は、賃金表や年齢・勤続・査定に基づく毎年の個々人の引上げである。本問の正解。
よって オ。
なぜこの論点を予想したか
過去19年で12回出題の組織パート最頻出論点。直近はR05で、R06・R07と2年連続で未出題のため、そろそろ出題される可能性が高い。賃金の型(年功給・職能給・職務給・役割給)が何で決まるか、評定誤差の名称と中身、定期昇給とベースアップの区別、成果主義の納得感の4点が繰り返し狙われている。