予想問題 企業経営理論 令和8年度予想 第9問

この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。

第9問

論点:CSRと代表的な論者

CSR(企業の社会的責任)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. キャロルのCSRピラミッドは、企業の社会的責任を4つの層に整理したものであり、最上部に経済的責任を、土台に社会貢献責任を置く。
  2. フリーマンのステークホルダー理論は、企業と、従業員・顧客・地域社会などの利害関係者との相互依存・協調の関係を重視する。
  3. フリードマンは、企業の社会的責任は利潤の最大化にあると論じたが、それは法や社会のルールの遵守を前提としない主張であった。
  4. ISO26000は、2010年に発行された社会的責任に関する国際規格であり、業種・規模・国を問わずあらゆる組織を対象とするが、その目的は第三者認証の取得にあるマネジメント・システム規格である。
  5. M. ポーターのCSVは、社会的価値の創造のために経済的価値を犠牲にする考え方である。
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正解:

解答:イ

CSRの論点は、①論者と主張の対応(フリードマン・キャロル・フリーマン)、②CSRとCSVの違い、③ISO26000の性格、の3つに整理できる。理論の細かい計算は不要で、用語の意味と「誰の視点か」を正しく押さえれば得点源にできる。

  • ア(×):前半は正しく、キャロルのCSRピラミッドは経済的責任・法的責任・倫理的責任・社会貢献責任の4つの層からなる。誤りは後半で、ピラミッドの上下が逆である。土台(一番下)に①経済的責任を置き、②法的責任、③倫理的責任、そして最上部に④社会貢献(フィランソロピー)責任を積み上げる。まず利益を出すことが土台であり、任意の善行が最上部にくる。
  • イ(○):フリーマンのステークホルダー理論は、企業を株主だけのものとみるのではなく、従業員・顧客・取引先・地域社会などの利害関係者との相互依存・協調の関係を築くことを重視する考え方である。記述は正しい。企業とステークホルダーを決定的な対立関係でとらえ、相互依存を危険視した、とするのが定番の引っかけである。
  • ウ(×):前半は正しく、フリードマンは企業の社会的責任を利潤の最大化とした。誤りは後半で、それは法律や社会の基本ルールを守った公正な自由競争を前提としたうえでの主張である。「遵守を前提としない」は前提を落としており誤り。
  • エ(×):前半は正しく、ISO26000は2010年に発行され、業種・規模・国を問わずあらゆる組織を対象とする。誤りは後半で、ISO26000は認証を目的としないガイダンス(手引)規格であり、ISO9001(品質)やISO14001(環境)のような第三者認証を取得するタイプのマネジメント・システム規格ではない。なお日本にはJIS Z 26000という対応規格が存在する。
  • オ(×):CSVの趣旨と正反対である。CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)は、M. ポーター(とクラマー)が提唱した、経済的価値(もうけ)と社会的価値(社会課題の解決)をトレードオフではなく同時に実現しようとするアプローチである。一方を犠牲にして他方を得るという発想こそ、CSVが乗り越えようとしたものである。

よって

なぜこの論点を予想したか

CSRはほぼ毎年1問が安定して出る分野で、H22第5問、H26第13問、R03第13問、R05第13問、R06第12問と出題が続いている。ただしESG投資の周辺用語(インパクト投資・統合報告書・ダイベストメント・グリーンウォッシュ)はR06第12問で一通り出尽くしており、ISO26000もR04第12問で問われた。残る定番の急所は論者と主張の対応であり、R05第13問ではフリードマンが正解肢、キャロルとフリーマンが誤答肢として扱われた。R08では同じ3論者が役割を入れ替えて問われる可能性があり、誰が何を主張したかを正確に押さえておきたい。

#企業統治・CSR

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