この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。
第6問
論点:イノベーションのジレンマ(破壊的技術)
C. クリステンセンは『イノベーションのジレンマ』において、なぜ優 れた大企業が新しい技術の登場によって敗れるのかを、持続的技術と破壊 的技術の対比によって説明した。この理論に関する記述として、最も不適 切なものはどれか。
- ア 破壊的技術による製品は登場当初は単純で低価格であるが、その分マージンが大きく利益率も高いため、優良企業も参入しやすい。
- イ 持続的技術は、既存顧客が求める性能を従来の延長線上で高めていく技術であり、優良企業が得意とする領域である。
- ウ 破壊的技術は、登場時には、主流市場が求める性能の水準を下回ることが多い。
- エ 破壊的技術が当初に対象とする市場はニッチやローエンドであり、その規模は既存の主流市場よりも小さい。
- オ 優良企業が既存顧客の声を聞き、儲かる持続的技術に資源を集中するという合理的な判断をすること自体が、破壊的技術への対応の遅れを生む。
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正解:ア
解答:ア
破壊的技術の初期段階の特徴は「性能が低い・対象市場が小さい・利益率が低い」の3点セットである。だからこそ、優良企業ほど今の優良顧客の声を聞き、儲かる持続的技術に集中するという合理的な判断をした結果、破壊的技術を見送ってしまう。これがジレンマの核心である。
- ア(×):破壊的技術による製品が、登場時に単純・低価格であるという前半は正しい。誤りは後半で、単純・低価格であるがゆえにマージンは小さく、利益率はむしろ低い。利益率が低く市場も小さいからこそ、まともな優良企業ほど参入をためらうのであり、この点にジレンマの核心がある。「マージンが大きく利益率も高いため参入しやすい」は、破壊的技術の特徴とジレンマの論理をともに逆転させた誤りであり、本問の正解。
- イ(○):持続的技術は、既存顧客が求める性能をこれまでの延長線上で高めていく技術であり、優良企業が得意とする。定義どおりで適切。
- ウ(○):破壊的技術は登場時には性能が低く、主流市場が求める水準では持続的技術の製品を下回る。適切である。
- エ(○):破壊的技術が当初対象とするのはニッチ・ローエンドの市場であり、既存の主流市場より規模は小さい。適切である。
- オ(○):優良企業が「今の優良顧客の声を聞き、儲かる持続的技術に集中する」という合理的な判断をするがゆえに、小さく利益も薄い破壊的技術を見送り、それが育ったときには手遅れになる。ジレンマの説明として適切である。
よって ア。
なぜこの論点を予想したか
H25・R04の2回の出題で、直近はR04でありそろそろ出題される時期にあたる。技術経営はほぼ毎年複数問が出る稼ぎ頭の分野であり、R04第9問では破壊的技術の初期段階の3つの特徴(性能が低い・市場が小さい・利益率が低い)がそのまま正誤問題として問われた。この3点セットは繰り返し狙われる。