予想問題 企業経営理論 令和8年度予想 第2問

この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。

第2問

論点:ポーターの3つの基本戦略(スタック・イン・ザ・ミドル)

M. ポーターが示したコスト・リーダーシップ、差別化、集中という3つの基本戦略に関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. コスト・リーダーシップは、業界で最も低いコストの地位を築いて勝つ戦略であり、規模の経済が主たる武器となる。ただしそのコスト優位は、単一の事業の内部ではなく、複数の事業を併せ営むことで生じる範囲の経済から得られる。
  2. ブランド・ロイヤルティを高めて製品の付加価値を明確にすることは、差別化ではなくコスト・リーダーシップの中心的な課題である。
  3. 集中戦略は特定の狭いセグメントに資源を集中する戦略であるが、絞り込みさえすれば、好業績を長期にわたり維持できる。
  4. コスト・リーダーシップと差別化を中途半端に併せ追うと、どちらの優位も築けない。ポーターはこれをスタック・イン・ザ・ミドルと呼んだ。
  5. 集中戦略とは、広いターゲットを対象に、低コストと独自の価値を同時に満たす戦略である。
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正解:

解答:エ

ポーターは、競争優位の築き方は「広く狙うか・狭く狙うか」と「安さで勝つか・違いで勝つか」の組み合わせで、コスト・リーダーシップ・差別化・集中の3つに整理できるとした。基本的にはこのどれか1つを明確に選ぶべきであり、中途半端な両取りを戒めたのがスタック・イン・ザ・ミドルである。

  • ア(×):前半は正しく、コスト・リーダーシップは業界で最も低いコストの地位を築いて勝つ戦略で、規模の経済が主たる武器となる。誤りは後半で、この戦略が扱うのは単一の事業のなかでコストを下げる話である。複数事業を併せ営むことで生じる範囲の経済は多角化のシナジーの論理であり、両者は別物である。
  • イ(×):担い手が入れ替えられている。ブランド・ロイヤルティを高めて製品の付加価値を明確にすることは、買い手が認める独自の価値で勝とうとする差別化の中心的な課題であって、コスト・リーダーシップの課題ではない。
  • ウ(×):前半は正しく、集中戦略は特定の狭いセグメントに資源を集中する戦略である。誤りは後半で、ニッチ市場でも業界大手の参入や環境変化のリスクは残るため、「絞り込みさえすれば好業績を長期に維持できる」と楽観的に断定することはできない。
  • エ(○):ポーターは、コスト・リーダーシップと差別化を中途半端に両取りしようとすると、どちらでも勝てずかえって業績が悪化すると警告し、これをスタック・イン・ザ・ミドル(中間に立ち往生する)と呼んだ。3つの基本戦略のどれか1つを明確に選ぶべきというのが彼の主張であり、記述は正しい。
  • オ(×):集中戦略の定義が正反対である。集中戦略は狭いターゲットに絞り込む戦略であって、広いターゲットを対象とするものではない。また低コストと独自の価値を同時に満たすという記述は、ポーターが戒めたスタック・イン・ザ・ミドルそのものである。

よって

なぜこの論点を予想したか

過去19年で8回出題。H22、H24、H25、H28、H29、R01、R03、R06と定番の頻出論点でありながらR07は未出題であり、出題される可能性が高い。とりわけスタック・イン・ザ・ミドル(中途半端の罠)は、3つの基本戦略のどれか1つを明確に選ぶべきというポーターの主張の核心であり、繰り返し狙われている。集中戦略の絞り込みすぎのリスク、コスト・リーダーシップと範囲の経済の混同も定番の引っかけである。

#競争戦略

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