経済学・経済政策 H26年度 第22問

第22問

下表は標準的な囚人のジレンマの状況を示す利得表である。下表で企業A と企 業B の両者は合理的主体であり、両者による取引において「協力する」か「裏切る」 かを選択することができる。表中のカッコ内の数字は、 度の取引で得られる利得 を示すもので、左側が企業A の取り分、右側が企業B の取り分である。ただし、 相手の「裏切る」に対してはトリガー戦略を採用するものと考える。この利得表に関 する説明として最も適切なものを下記の解答群から選べ。 協力する 10,10 ,12 協力する 裏切る 企業B 企業A 裏切る 12, , V解答群X

  1. 将来利得の割引因子の値が十分に に近いただし 未満 状況下で、両者の 取引が無限に繰り返されるのであれば、両者がともに「裏切る」ことがパレート 最適になるというのがフォーク定理の示唆するところである。
  2. 将来利得の割引因子の値が十分に に近いただし 未満 状況下で、両者の 取引が無限に繰り返されるのであれば、両者がともに「協力する」を選択すると いうのがフォーク定理の示唆するところである。
  3. 両者の取引が 回限りであれば、企業A は、企業B が「裏切る」と予想して も、「協力する」ことで自分の利得を最大化できるというのがフォーク定理の示 唆するところである。
  4. 両者の取引が 回限りであれば、両者がともに「協力する」ことが支配戦略で あるというのがフォーク定理の示唆するところである。 DKJC-1A
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正解:

解答:イ

〔リード〕囚人のジレンマでは、1回限りの取引なら「裏切る」が両者の支配戦略であり、(裏切る、裏切る)がナッシュ均衡になる。しかし取引が無限に繰り返され、将来利得の割引因子が十分に1に近い(ただし1未満)状況では、トリガー戦略(相手が裏切ったら以後ずっと裏切って報復する戦略)の下で、相互に「協力する」ことが均衡として維持できる。これがフォーク定理(繰り返しゲームでは協力的な結果を含む多様な結果が均衡として支持されうる)の含意である。

  • ア(×):割引因子が1に近く無限繰り返しの状況でフォーク定理が示唆するのは「両者がともに協力する」結果が維持できること。「両者がともに裏切ることがパレート最適」とするのは誤り(裏切り合いはパレート最適ではない)。
  • イ(○):割引因子が十分1に近く(1未満)、取引が無限に繰り返されるなら、トリガー戦略の下で両者がともに「協力する」を選択することが均衡として支持される。フォーク定理の含意として正しい。
  • ウ(×):1回限りの取引では「裏切る」が支配戦略であり、相手が裏切ると予想する状況で「協力する」ことが自分の利得を最大化することはない。またこれはフォーク定理(繰り返しゲームの定理)の内容でもない。誤り。
  • エ(×):1回限りの取引では「協力する」は支配戦略ではなく、支配戦略は「裏切る」。またフォーク定理は繰り返しゲームに関する定理であり、1回限りの取引の説明として用いるのは誤り。

よって

#不完全競争・ゲーム理論

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