経営法務 H24年度 第7問

第7問

商標権の効力に関する記述として最も適切なものはどれか。

  1. 指定商品「菓子」についての登録商標「恋人」の商標権者は、「菓子」と「パン」は相 互に類似する商品と見なされているとしても、他人に「パン」について登録商標 「恋人」を使用する権利を許諾することはできない。
  2. 他人の商品「おもちゃ」に係る商標「スター」についての商標登録出願前から、商 標「スター」を周知性を得られないまま善意で商品「おもちゃ」について使用してい た者は、たとえその商標登録出願が商標登録された後でも商標「スター」を商品 「おもちゃ」について継続的に使用することができる。
  3. 他人の著名な漫画の主人公の図柄について商標登録した場合でも、商標権者 は、他人の承諾を受けることなく、漫画の主人公の図柄から成る登録商標をいず れの指定商品についても使用することができる。
  4. 他人の登録商標と同一であっても、自己の氏名であれば、商標として使用する ことができる。
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正解:

解答:ア

〔リード〕商標権の効力は「専用権」と「禁止権」を区別して考える。商標権者は指定商品・役務についての登録商標の使用を独占する(専用権、商標法25条)。これに対し、指定商品に類似する商品・役務や登録商標に類似する商標の範囲では、他人の使用を排除できる(禁止権、37条)にとどまり、自ら使用する独占権は及ばない。したがって、類似範囲について他人に使用権(使用許諾)を設定することはできない。これが正答の鍵。

  • ア(○):指定商品「菓子」の登録商標「恋人」について、「パン」が「菓子」と類似と扱われても、「パン」は指定商品そのものではなく類似範囲(禁止権が及ぶ範囲)にすぎない。専用権は指定商品「菓子」にしか及ばないため、商標権者は他人に「パン」についての使用権(専用使用権・通常使用権)を許諾することはできない。最も適切。
  • イ(×):先使用権(商標法32条)は、他人の出願前から「周知性を得た」状態で善意に使用していた者に認められる。本肢は「周知性を得られないまま」使用していた者なので先使用権の要件を欠き、登録後は継続使用できない。不適切。
  • ウ(×):他人の著名な漫画の主人公の図柄を商標登録しても、その図柄には他人の著作権等が及ぶ。商標権の取得は他人の著作権を消滅させるものではなく、権利の抵触により他人の承諾なしに自由に使用できるわけではない(商標法29条)。不適切。
  • エ(×):自己の氏名等を普通に用いられる方法で表示する商標には商標権の効力が及ばない(商標法26条1項1号)が、「商標として(出所表示として)使用」する場合まで自由に使えるわけではない。他人の登録商標と同一の商標を商標的に使用すれば侵害となり得る。不適切。

よって

#意匠・商標#著作権

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