経済学・経済政策 H19年度 第15問

第15問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

第15問の図

設問1

) いわゆる囚人のジレンマが発生している場合、次の文章中の空欄A~Dに入る 最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。 囚人のジレンマは、 A の利益の最大化が、 B の最適な選択と はならない状況である。どちらの企業にとっても、他社の行動にかかわらず、自 白を選択する方が C である。したがって、共に自白を選択することが D である。

  1. A:個 々 B:全 体 C:支配戦略 D:ナッシュ均衡
  2. A:個 々 B:全 体 C:ナッシュ均衡 D:支配戦略
  3. A:全 体 B:個 々 C:ナッシュ均衡 D:非支配戦略
  4. A:全 体 B:個 々 C:非支配戦略 D:ナッシュ均衡 ― 16― ◇M1(023―18) (

設問2

) 囚人のジレンマが発生している場合の、各パラメーターの大小関係に関して、 最も適切なものはどれか。

  1. a >b >c >d
  2. a >b >d >c
  3. b >a >c >d
  4. b >a >d >c
  5. c >a >d >b (

設問3

) 同じゲームでも無限回の繰り返しゲームになると、協調解が均衡解として成立 することが知られている。この理論を表す最も適切なものはどれか。

  1. 戦略的補完性
  2. パレート最適
  3. フォーク定理
  4. ベイジアン・ナッシュ均衡
  5. ミニマックス原理 ― 17― ◇M1(023―19)
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正解: 設問1 設問2 設問3

解答:設問1=ア、設問2=エ、設問3=ウ

図の利得表は(X の利得, Y の利得)で、両者黙秘=(a, a)、X黙秘・Y自白=(c, b)、X自白・Y黙秘=(b, c)、両者自白=(d, d)。

設問1(正解:ア)

囚人のジレンマは、各プレイヤーが合理的に自己利益を追求した結果、全体として望ましくない結果に陥る状況。

  • A=個々(○):「個々の利益の最大化」が出発点。
  • B=全体(○):個々の最適化が「全体の最適な選択」とはならない。
  • C=支配戦略(○):相手の行動にかかわらず自白する方が有利=自白が「支配戦略」。
  • D=ナッシュ均衡(○):双方が支配戦略(自白)を選ぶ状態は「ナッシュ均衡」。

この組み合わせはアのみ。よって

設問2(正解:エ)

囚人のジレンマが成立する利得の大小関係を求める。プレイヤーXの利得で考えると、相手が黙秘のとき自分が自白すれば b(裏切りの誘惑=最大)、両者黙秘なら a(協調)、両者自白なら d(裏切り合い)、自分だけ黙秘で相手に裏切られると c(最低)。 囚人のジレンマが成立する条件は「裏切りの誘惑 > 相互協調 > 相互裏切り > ただ乗りされた損」、すなわち b > a > d > c

  • ア(a>b>c>d)、イ(a>b>d>c):協調aが誘惑bより大きく、自白が支配戦略にならないため不成立。
  • ウ(b>a>c>d):d>cでなく相互裏切りより最低利得が大きく、条件を満たさない。
  • エ(b>a>d>c)(○):条件を満たす。正しい。
  • オ(c>a>d>b):誘惑bが最低でジレンマ構造にならず誤り。

よって

設問3(正解:ウ)

有限回では各回で自白(裏切り)が支配戦略となり協調は成立しないが、無限回(または終了時点が不確定)の繰り返しゲームでは、将来の報復(トリガー戦略等)を背景に協調解がナッシュ均衡として成立しうる。これを示すのが「フォーク定理」。

  • ア 戦略的補完性、イ パレート最適、エ ベイジアン・ナッシュ均衡、オ ミニマックス原理 はいずれも繰り返しゲームで協調解が成立することを示す定理ではない。
  • **ウ フォーク定理(○)**が該当する。

よって

#不完全競争・ゲーム理論

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