コストプラスプライシングとは
コストプラスプライシング(原価加算方式)とは、製品やサービスの原価(コスト)に一定の利益率(マークアップ)を上乗せして販売価格を決定する、最も伝統的な価格設定手法です。計算が簡単で、確実に利益を確保できるため、製造業、建設業、小売業など幅広い業界で使用されています。価格 = 原価 ×(1 + マークアップ率)で計算されます。
コストプラスプライシングのメリット
①計算が簡単で分かりやすい、②すべてのコストが確実に回収できる、③価格の正当性を顧客に説明しやすい(「原価+適正利益」として理解を得やすい)、④業界の標準的なマークアップ率がある場合、価格競争が起きにくい、⑤製造コストが変動する場合にも柔軟に対応できる。政府調達や公共事業では、コストプラス方式が契約条件として指定されることもあります。
コストプラスプライシングのデメリット
①顧客の支払意思額を考慮しないため、本来得られる利益を逃す可能性がある、②コスト削減へのインセンティブが働きにくい(コストが高いほど利益額も増える構造)、③競合の価格や市場環境を反映しない、④同じ製品でもセグメントごとに価値が異なることを無視してしまう。高い知覚価値を持つ製品では、バリューベースプライシングの方が高い収益を得られます。
コストプラスからの脱却
多くの企業がコストプラスからバリューベースプライシングへの移行を進めています。移行のステップとして、①顧客インタビューによる価値の把握、②競合分析による市場ポジションの確認、③少数のセグメントでのテスト的なバリューベース価格設定、④データに基づく価格の最適化を段階的に実施します。コストの把握は引き続き重要ですが、価格設定の出発点を「コスト」から「顧客価値」に転換することが鍵です。
具体例・事例
原価に一定の利益を上乗せして価格を決める、わかりやすい方式です。
- 製造業:材料費や加工費を積み上げ、目標利益率を乗せて見積価格を出す。
- 建設・工事業:人件費・資材費に経費と利益を加算して請負金額を算定する。
- あるパン屋:1個あたりの材料費と手間賃を計算し、一定の利益を足して売価を決める想定例。
どんなときに使う?(活用シーン)
原価が明確で、確実に利益を確保したい場面に向きます。
- 受注生産やオーダーメイドなど、案件ごとに原価が異なる業務の見積りに使う。
- 赤字を避けたい新商品で、最低限確保すべき価格の目安を出す。
- ある町工場では、原材料費の上昇分を価格にきちんと反映できているかを点検する基準として活用できる。
よくある質問
Q. コストプラスの弱点は何ですか?
A. 顧客が感じる価値や競合価格を考慮しないため、本来もっと高く売れる商品を安く売ってしまったり、逆に割高で売れ残ったりする恐れがあります。市場価格との照らし合わせが欠かせません。
Q. 上乗せする利益率はどう決めればよいですか?
A. 一般に、業界の慣行や自社の固定費・目標利益から逆算して決めます。値引き余地や販売数の見込みも踏まえ、固定費を回収できる水準を下回らないように設定することが大切です。