ケイパビリティとは
ケイパビリティとは、企業が事業活動全体を通じて価値を生み出す組織的能力のことです。BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)のジョージ・ストークらが1990年代に提唱した概念で、バリューチェーン全体にわたるビジネスプロセスの遂行能力を指します。
コアコンピタンスとの違い
コアコンピタンスが「何ができるか(技術・スキル)」に焦点を当てるのに対し、ケイパビリティは「どうやるか(プロセス・組織)」に焦点を当てます。例えば、ウォルマートのケイパビリティは「業界最高水準の物流・在庫管理プロセス」であり、ザラのケイパビリティは「企画から店頭までの高速サプライチェーン」です。
ダイナミック・ケイパビリティ
デイビッド・ティースが提唱した「ダイナミック・ケイパビリティ」は、環境変化に応じて自社の経営資源を再構成する能力です。①感知(Sensing:機会と脅威を察知する)、②捕捉(Seizing:機会を活かす)、③変容(Transforming:組織を変革する)の3つの能力で構成されます。
マーケティング・ケイパビリティ
マーケティング部門のケイパビリティとしては、顧客インサイトの発見力、ブランド構築力、デジタルマーケティングの実行力、データ分析力、クリエイティブの企画力などが挙げられます。これらを組織的に構築・強化していくことが、マーケティングの成果向上につながります。
具体例・事例
個々の技術ではなく、組織として価値を生む一連の力を指して使われます。
- 素早い商品開発力:企画から発売までを短期間で回す、部門を横断した組織能力を指します。
- 高い顧客対応力:受注から納品、アフターまで一貫して質を保つ仕組み全体を指します。
- ある製造業の例:特定の職人技ではなく、品質管理から納期管理までを安定して回せる現場全体の力をケイパビリティと捉えます。
どんなときに使う?(活用シーン)
自社の強みを、属人的な技ではなく組織の力として捉え直したいときに使います。特定の人に頼った状態から脱したいときに有効です。
- 競合に真似されにくい強みの源泉を見極めたいとき
- 事業拡大に向けて、どの能力を強化すべきか考えるとき
- 業務を標準化し、誰がやっても質を保てるようにしたいとき
- ある中小企業では、ベテラン頼みだった業務を仕組み化し、組織全体の能力として残す取り組みを進めています
よくある質問
Q. ケイパビリティとコアコンピタンスはどう違いますか?
A. 一般に、コアコンピタンスは特定の技術やノウハウなど中核的な強みを指すのに対し、ケイパビリティはバリューチェーン全体にわたる業務遂行能力を指すとされます。両者は重なる部分もありますが、ケイパビリティの方がより広い概念です。
Q. 中小企業がケイパビリティを高めるには何から始めればよいですか?
A. まず自社が顧客に評価されている点が、どの業務プロセスから生まれているかを洗い出すことから始めます。特定の人に依存している部分を仕組み化・標準化していくと、組織全体の能力として安定します。