市場規模推計とは
市場規模推計とは、特定の製品やサービスの市場が持つ総需要を金額や数量で推定する分析活動です。新規事業の参入判断、事業計画の策定、投資判断、販売目標の設定など、経営の重要な意思決定に用いられます。既存市場だけでなく、まだ存在しない新市場の潜在的な規模を推定することも含まれます。
TAM・SAM・SOMのフレームワーク
市場規模は3つのレベルで捉えます。①TAM(Total Addressable Market:獲得可能な最大市場規模)ー 当該製品カテゴリの市場全体、②SAM(Serviceable Available Market:実際にアプローチ可能な市場)ー 自社の事業モデルでリーチできる範囲、③SOM(Serviceable Obtainable Market:実際に獲得可能な市場)ー 現実的に獲得できるシェア。スタートアップの資金調達や新規事業計画では、この3段階で市場機会を説明することが求められます。
市場規模の推計方法
①トップダウンアプローチ(マクロデータから推計)ー 業界統計、政府統計、調査レポートの数値をベースに市場全体から絞り込む方法。②ボトムアップアプローチ(積み上げ推計)ー 顧客単価×顧客数、販売店舗数×店舗当たり売上など、個別の要素を積み上げて推計する方法。③フェルミ推定 ー 限られた情報から論理的に概算する方法。両アプローチを併用してクロスチェックすることが推奨されます。
市場規模推計の実務ポイント
①データソースの信頼性確認(官公庁統計、業界団体データ、調査会社レポートなど)、②前提条件の明確化と感度分析(前提が変わった場合の影響を確認)、③成長率の根拠の明示、④隣接市場や代替市場の考慮、⑤為替レートや人口動態など外部要因の反映。市場規模の推計は「正確な数字」を出すことよりも、「妥当な根拠に基づく推定プロセス」を示すことが重要です。
具体例・事例
市場規模推計は、ある製品やサービスの総需要を金額や数量で見積もる分析です。
- 積み上げ法:対象人口×利用率×単価などを掛け合わせ、市場規模を算出します。
- 公的統計の活用:人口や世帯数、消費支出のデータを土台に推定します。
- 商圏ベースの推計:店舗周辺の人口から見込み客の規模を見積もります。ある飲食店の想定では、商圏内の人口と外食頻度の一般的な目安から、潜在的な来店需要を概算しました。
どんなときに使う?(活用シーン)
新規事業や出店、投資の判断、販売目標の設定など重要な意思決定に使われます。
- 参入判断:市場の大きさから、事業として成り立つかを見極めます。
- 事業計画づくり:売上見込みの根拠として計画に組み込みます。
- 目標設定:市場全体に対する自社のシェア目標を考えます。中小企業では、出店前に商圏人口と想定利用率から見込み客数を試算し、採算の見通しを立てるのに役立ちます。
よくある質問
Q. 正確な市場規模は分からないのではないですか?
A. 市場規模は推計であり、ぴったり正確な数字を出すものではありません。複数の方法で算出して幅を持って捉えること、前提条件を明確にすることが大切です。おおよその規模感がつかめれば、判断の材料として十分役立ちます。
Q. 中小企業でも市場規模の推計はできますか?
A. 商圏内の人口や世帯数といった公的統計に、利用率や単価の一般的な目安を掛け合わせれば、おおよその規模は試算できます。完璧を目指さず、出店や新規事業の判断に使える概算をつかむことが目的です。