エキスパートシステムとは
エキスパートシステム(Expert System)は、特定の専門分野における人間の専門家の知識と推論能力をコンピュータプログラムとして再現するAIシステムです。1970年代に登場し、1980年代の第2次AIブームの中核技術となりました。
構成要素
エキスパートシステムは主に3つの要素で構成されます。専門知識を「if-then」ルールとして格納する「知識ベース」、知識ベースのルールを適用して結論を導き出す「推論エンジン」、そしてユーザーとのやり取りを行う「ユーザーインターフェース」です。一部のシステムは推論過程を説明する機能も備えていました。
代表的なシステム
MYCIN(血液感染症の診断)、DENDRAL(化学物質の構造推定)、XCON/R1(コンピュータの構成設計)などが代表例です。特にXCONはDEC社で実運用され、年間4000万ドル以上のコスト削減を実現したとされています。
限界と遺産
エキスパートシステムの最大の課題は「知識獲得のボトルネック」でした。専門家の暗黙知をルール化する作業は膨大で、メンテナンスも困難でした。また、学習能力がなく、想定外の状況に対応できないという根本的な制約もありました。しかし、ルールベースの推論という考え方は現代のビジネスルールエンジンやAI説明可能性の議論に受け継がれています。