事例Ⅳ|財務・会計

令和4年度 第2次試験問題 事例Ⅳ

中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ / 試験時間 16:00〜17:20 / 配点100点

与件文

1D社は、1990年代半ばに中古タイヤ・アルミホイールの販売によって創業した会社であり、現在は廃車・事故車の引取り・買取りのほか中古自動車パーツの販売や再生資源の回収など総合自動車リサイクル業者として幅広く事業活動を行っている。D社の資本金は1,500万円で直近の売上高は約10億3,000万円である。

2創業当初D社は本社を置く地方都市を中心に事業を行っていたが、近年の環境問題や循環型社会に対する関心の高まりに伴って順調にビジネスを拡大し、今では海外販売網の展開やさらなる事業多角化を目指している。

3D社の事業はこれまで廃車・事故車から回収される中古パーツのリユース・リサイクルによる販売が中心であった。しかし、ここ数年海外における日本車の中古車市場が拡大し、それらに対する中古パーツの需要も急増していることから、現在D社では積層造形3Dプリンターを使用した自動車パーツの製造・販売に着手しようとしている。また上記事業と並行してD社は、これまで行ってきた廃車・事故車からのパーツ回収のほかに、より良質な中古車の買取りと再整備を通じた中古車販売事業も新たな事業として検討している。

4中古車販売事業については、日本車の需要が高い海外中古車市場だけでなく、わが国でも中古車に対する抵抗感の低下によって国内市場も拡大してきており、中古車販売に事業のウエイトを置く同業他社も近年大きく業績を伸ばしているといった状況である。D社は中古車市場が今後も堅調に成長するものと予測しており、中古車販売事業に進出することによって新たな収益源を確保するだけでなく、現在の中古パーツ販売事業にもプラスの相乗効果をもたらすと考えている。従って、D社では中古車販売事業に関して、当面は海外市場をメインターゲットにしつつも、将来的には国内市場への進出も見据えた当該事業の展開を目指している。

5しかしD社は、中古車販売事業が当面、海外市場を中心とすることや当該事業のノウハウが不足していることなどからリスクマネジメントが重要であると判断しており、この点について外部コンサルタントを加えて検討を重ねている。

6D社と同業他社の要約財務諸表は以下のとおりである。なお、従業員数はD社53名、同業他社23名である。

財務諸表

貸借対照表(令和4年3月31日現在) (単位:万円)
科目D社同業他社科目D社同業他社
〈資産の部〉〈負債の部〉
流動資産33,44129,701流動負債9,06713,209
現金預金25,65718,212固定負債21,50611,285
売掛金4,3655,297
たな卸資産3,0975,215負債合計30,57324,494
その他流動資産322977〈純資産の部〉
固定資産27,60020,999資本金1,5004,500
有形固定資産16,8968,395利益剰余金28,96821,706
無形固定資産208959
投資その他の資産10,49611,645純資産合計30,46826,206
資産合計61,04150,700負債・純資産合計61,04150,700
損益計算書(自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) (単位:万円)
科目D社同業他社
売上高103,465115,138
売上原価41,81378,543
売上総利益61,65236,595
販売費及び一般管理費
人件費22,30710,799
広告宣伝費5,3053,685
減価償却費2,367425
地代家賃3,1144,428
租税公課679559
外注費3,0951,124
その他9,7834,248
販売費及び一般管理費合計46,65025,268
営業利益15,00211,327
営業外収益1,810247
営業外費用302170
経常利益16,51011,404
特別損失54
税引前当期純利益16,51011,350
法人税等4,9533,405
当期純利益11,5577,945

設問

第1問 配点 25点
(設問1) D社と同業他社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比較してD社が優れていると考えられる財務指標を2つ、D社の課題を示すと考えられる財務指標を1つ取り上げ、それぞれについて、名称を(a)欄に、その値を(b)欄に記入せよ。なお、優れていると考えられる指標を①、②の欄に、課題を示すと考えられる指標を③の欄に記入し、(b)欄の値については、小数点第3位を四捨五入し、単位をカッコ内に明記すること。また、解答においては生産性に関する指標を少なくとも1つ入れ、当該指標の計算においては「販売費及び一般管理費」の「その他」は含めない。
(設問2) D社が同業他社と比べて明らかに劣っている点を指摘し、その要因について財務指標から読み取れる問題を80字以内で述べよ。
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解答例

設問1

① 優れている指標:売上高総利益率 (b) 59.59(%)

② 優れている指標:売上高経常利益率 (b) 15.96(%)

③ 課題を示す指標:労働生産性 (b) 978.66(万円)

設問2明らかに劣るのは労働生産性である。付加価値率は高いが、従業員数が多く人件費も大きい労働集約的な事業構造のため、従業員一人当たりの付加価値が低い。(72字)

解説(考え方・プロセス)

設問の制約:優れる指標を2つ(①②)、課題を示す指標を1つ(③)、しかも生産性指標を必ず1つ以上含める。(b)は小数点第3位を四捨五入(=小数第2位まで)単位をカッコ内に明記。生産性の計算では「販管費のその他」を含めない。

① 収益性(優れる):売上高総利益率

売上高総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高 ×100 D社 : 61,652 ÷ 103,465 ×100 = 59.59% 同業 : 36,595 ÷ 115,138 ×100 = 31.78% → D社が優れる

リユース・リサイクル品中心で売上原価が低く、総利益率が突出して高い。

② 収益性(優れる):売上高経常利益率

売上高経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 ×100 D社 : 16,510 ÷ 103,465 ×100 = 15.96% 同業 : 11,404 ÷ 115,138 ×100 = 9.90% → D社が優れる (売上高営業利益率 14.50%>同業 9.84% でも可)

③ 生産性(課題):労働生産性

付加価値は加算法で算出し、指示どおり販管費の「その他」を除外する。付加価値=営業利益+人件費+広告宣伝費+減価償却費+地代家賃+租税公課+外注費。従業員数はD社53名・同業他社23名。

付加価値(D社)= 15,002 +22,307 +5,305 +2,367 +3,114 +679 +3,095 = 51,869(万円) 付加価値(同業)= 11,327 +10,799 +3,685 +425 +4,428 +559 +1,124 = 32,347(万円) 労働生産性 = 付加価値 ÷ 従業員数 D社 : 51,869 ÷ 53 = 978.66 万円/人 同業 : 32,347 ÷ 23 = 1,406.39 万円/人 → D社が劣る(課題)

従業員一人当たり売上高(D社1,952<同業5,006)からも、D社は労働集約的で生産性が低いことが読み取れる。

設問2の組み立て:明らかに劣る点」=③で選んだ労働生産性を指摘し、要因を述べる。総利益率は高い(付加価値率は高い)が、解体・整備など人手のかかる労働集約的な事業で従業員数・人件費が多いため、一人当たり付加価値が低い、という因果で80字にまとめる。

第2問 配点 20点

D社は、海外における中古自動車パーツの需要が旺盛であることから、大型の金属積層造形3Dプリンターを導入した自動車パーツの製造・販売を計画している。この事業においてD社は、海外で特に需要の高い駆動系の製品Aと製品Bに特化して製造・販売を行う予定であるが、それぞれの製品には次のような特徴がある。製品Aは駆動系部品としては比較的大型で投入材料が多いものの、構造が単純で人手による研磨・仕上げにさほど手間がかからない。一方、製品Bは小型駆動系部品であり投入材料は少ないが、構造が複雑であるため人手による研磨・仕上げに時間がかかる。また、製品A、製品Bともに原材料はアルミニウムである。
製品Aおよび製品Bに関するデータが次のように予測されているとき、以下の設問に答えよ。

〈製品データ〉
製品A製品B
販売価格7,800円/個10,000円/個
直接材料(400円/kg)4kg/個2kg/個
直接作業時間(1,200円/h)2h/個4h/個
共通固定費(年間)4,000,000円
(設問1) D社では、労働時間が週40時間を超えないことや週休二日制などをモットーとしており、当該業務において年間最大直接作業時間は3,600時間とする予定である。このとき上記のデータにもとづいて利益を最大にするセールスミックスを計算し、その利益額を求め(a)欄に答えよ(単位:円)。また、(b)欄には計算過程を示すこと。
(設問2) 最近の国際情勢の不安定化によって原材料であるアルミニウム価格が高騰しているため、D社では当面、アルミニウムに関して消費量の上限を年間6,000kgとすることにした。設問1の条件とこの条件のもとで、利益を最大にするセールスミックスを計算し、その利益額を求め(a)欄に答えよ(単位:円)。また、(b)欄には計算過程を示すこと。
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解答例

設問1製品A = 1,800個、製品B = 0個 利益額 = 2,840,000円

設問2製品A = 1,400個、製品B = 200個 利益額 = 2,200,000円

解説(考え方・プロセス)

前提:1個当たり限界利益を求める

変動費 = 直接材料費 + 直接労務費 製品A : 材料 4kg×400 + 労務 2h×1,200 = 1,600 + 2,400 = 4,000 円 限界利益 = 7,800 − 4,000 = 3,800 円/個 製品B : 材料 2kg×400 + 労務 4h×1,200 = 800 + 4,800 = 5,600 円 限界利益 = 10,000 − 5,600 = 4,400 円/個 共通固定費 = 4,000,000 円

設問1:制約は直接作業時間 ≦ 3,600h のみ

制約資源(時間)1単位当たりの限界利益で優先順位を決める。

時間当たり限界利益 製品A : 3,800 ÷ 2h = 1,900 円/h 製品B : 4,400 ÷ 4h = 1,100 円/h → 製品Aを優先 製品Aのみ生産:3,600h ÷ 2h = 1,800個 利益 = 3,800×1,800 − 4,000,000 = 6,840,000 − 4,000,000 = 2,840,000 円

設問2:制約が2つ(時間 ≦ 3,600h、材料 ≦ 6,000kg)

制約が2本になるため線形計画問題。製品Aの個数をa、製品Bの個数をbとする。

制約① 作業時間 : 2a + 4b ≦ 3,600 制約② 材料 : 4a + 2b ≦ 6,000 目的:限界利益 3,800a + 4,400b を最大化

設問1の最適(A=1,800個)は材料 4×1,800=7,200kg > 6,000kg で不可能。よって最適点は2つの制約の交点になる。両制約を等号で連立:

2a + 4b = 3,600 …① 4a + 2b = 6,000 …② ①×2 − ②:(4a+8b) − (4a+2b) = 7,200 − 6,000 6b = 1,200 → b = 200 ①へ代入:2a + 800 = 3,600 → a = 1,400 ∴ 製品A = 1,400個、製品B = 200個 利益 = 3,800×1,400 + 4,400×200 − 4,000,000 = 5,320,000 + 880,000 − 4,000,000 = 2,200,000 円

検算:時間 2×1,400+4×200=3,600h(上限ぴったり)、材料 4×1,400+2×200=6,000kg(上限ぴったり)。両制約とも使い切っており最適。

第3問 配点 35点

D社は新規事業として、中古車の現金買取りを行い、それらに点検整備を施したうえで海外向けに販売する中古車販売事業について検討している。この事業では、取引先である現地販売店が中古車販売業務を行うため、当該事業のための追加的な販売スタッフなどは必要としない。
D社が現地で需要の高い車種についてわが国での中古車買取価格の相場を調査したところ、諸経費を含めたそれらの取得原価は1台あたり平均50万円であった。それらの中古車は、現地販売店に聞き取り調査をしたところ、輸送コスト等を含めてD社の追加的なコスト負担なしに1台あたり60万円(4,800ドル、想定レート:1ドル=125円)で現地販売店が買い取ると予測される。また、同業他社等の状況から中古車販売事業においては期首に中古車販売台数1か月分の在庫投資が必要であることもわかった。
D社はこの事業において、初年度については月間30台の販売を計画している。
以下の設問に答えよ。

(設問1) D社は買い取った中古車の点検整備について、既存の廃車・事故車解体用工場に余裕があるため月間30台までは臨時整備工を雇い、自社で行うことができると考えている。こうした中、D社の近隣で営業している自動車整備会社から、D社による中古車買取価格の2%の料金で点検整備業務を請け負う旨の提案があった。点検整備を自社で行う場合の費用データは以下のとおりである。
〈点検整備のための費用データ(1台あたり)〉
直接労務費6,000円
間接費7,500円
*なお、間接費のうち、30%は変動費、70%は固定費の配賦額である。
このときD社は、中古車の買取価格がいくらまでなら点検整備を他社に業務委託すべきか計算し(a)欄に答えよ(単位:円)。また、(b)欄には計算過程を示すこと。なお、本設問では在庫に関連する費用は考慮しないものとする。
(設問2) D社が海外向け中古車販売事業の将来性について調査していたところ、現地販売店よりD社が販売を計画している中古車種が当地で人気があり、将来的にも十分な需要が見込めるとの連絡があった。こうした情報を受けてD社は、初年度においては月間30台の販売からスタートするが、2年目以降は5年間にわたって月間販売台数50台を維持する計画を立てた。
この計画においてD社は、月間50台の販売台数が既存工場の余裕キャパシティを超えることから、中古車販売事業2年目期首に稼働可能となる工場の拡張について検討を始めた。D社がこの拡張について情報を収集したところ、余裕キャパシティを超える20台の点検整備を行うためには、建物および付属設備について設備投資額7,200万円の投資が必要になることがわかった。また、これに加えて今後拡張される工場での点検整備のために、新たな整備工を正規雇用することにした。この結果、工場拡張によって増加する20台の中古車にかかる1台あたりの点検整備費用は、直接労務費が10,000円、間接費が4,500円(現金支出費用であり、工場拡張によって増加する減価償却費は含まない)になる。
この工場拡張に関する投資案について、D社はまず回収期間(年)を検討することにした。回収期間を求めるにあたってD社は、中古車の買取りと販売は現金でなされ、平均仕入価格や販売価格は今後も一定であると仮定した。なお、設備投資額と在庫投資の増加額は新規の工場が稼働する2年目期首にまとめて支出されることとなっている。また、D社の全社的利益(課税所得)は今後も黒字であることが予測されており、税率は30%とする。
上記の条件と下記の設備投資に関するデータにもとづいて、この投資案の年間キャッシュフロー(初期投資額は含まない)を計算し(a)欄に答えよ(単位:円)。また、(b)欄には計算過程を示すこと。さらに、(c)欄には(a)欄で求めた年間キャッシュフローを前提とした回収期間を計算し、記入せよ(単位:年)。なお、解答においては小数点第3位を四捨五入すること。
〈設備投資に関するデータ〉
設備投資額7,200万円
耐用年数15年
減価償却法定額法
残存価額初期投資額の10%
(設問3) D社は、工場拡張に関する投資案について回収期間に加えて正味現在価値法によっても採否の検討を行うことにした。当該投資案の正味現在価値を計算するにあたり、当初5年間は月間50台を販売し、その後は既存工場の収益性に鑑みて、当該拡張分において年間150万円のキャッシュフローが継続的に発生するものとする。また、5年間の販売期間終了後には増加した在庫分がすべて取り崩される。この条件のもとで当該投資案の投資時点における正味現在価値を計算し(a)欄に答えよ(単位:円)。また、(b)欄には計算過程を示すこと。
なお、毎期のキャッシュフロー(初期投資額は含まない)は期末に一括して発生するものと仮定し、割引率は6%で以下の係数を用いて計算すること。また、解答においては小数点以下を四捨五入すること。
複利現価係数(5年)0.7473
年金現価係数(5年)4.2124
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解答例

設問1業務委託すべき買取価格 = 412,500円(これ以下なら委託)

設問2年間キャッシュフロー = 15,660,000円 / 回収期間 = 5.24年

設問3正味現在価値 = 10,121,684円 → NPV>0のため投資を採用すべき

解説(考え方・プロセス)

設問1:内製か業務委託か(差額原価分析)

判断は回避可能原価と委託料の比較。間接費のうち固定費(70%)は委託しても発生する配賦額なので回避できず、比較から除外する。

内製の回避可能原価(1台)= 直接労務費 + 間接費の変動費分 = 6,000 + 7,500×30% = 6,000 + 2,250 = 8,250 円 委託料 = 買取価格P × 2% = 0.02P 委託が有利となる条件:0.02P < 8,250 → P < 412,500 円 ∴ 買取価格が 412,500円までなら委託すべき(境界 412,500円)

検算:P=412,500円のとき委託料=412,500×2%=8,250円=回避可能原価と一致(無差別点)。

設問2:工場拡張投資の年間CFと回収期間

対象は拡張で増える月20台(年240台)の増分。1台当たり粗利=販売60万−仕入50万=10万円。減価償却費は定額法・残存価額10%で計算。

減価償却費 = (7,200万 − 7,200万×10%) ÷ 15年 = 6,480万 ÷ 15 = 432万円/年 増加台数 = 20台 × 12か月 = 240台/年 増分の点検整備費(1台)= 直接労務費10,000 + 間接費4,500 = 14,500円 = 1.45万円 税引前利益 = 240×(粗利10万 − 整備費1.45万) − 減価償却432万 = 240×8.55万 − 432万 = 2,052万 − 432万 = 1,620万円 税金 = 1,620万×30% = 486万円 年間CF = 税引後利益 + 減価償却 = (1,620万−486万) + 432万 = 1,134万 + 432万 = 1,566万円 = 15,660,000円
初期投資 = 設備7,200万 + 在庫投資増(20台×1か月×買取50万=1,000万)= 8,200万円 回収期間 = 8,200万 ÷ 1,566万 = 5.236… → 5.24年

設問3:正味現在価値(投資時点=2年目期首)

当初5年間は年間CF1,566万円。6年目以降は年150万円のCFが永続=5年末時点で 150÷6%=2,500万円の価値。在庫増分1,000万円は5年末に回収。これらを現在価値に割り引く。

① 1〜5年のCF現価 = 1,566万 × 年金現価係数4.2124 = 6,596.62万円 ② 在庫回収(5年末)現価 = 1,000万 × 0.7473 = 747.30万円 ③ 6年目以降の永続CF:5年末価値 = 150万 ÷ 0.06 = 2,500万円 現価 = 2,500万 × 0.7473 = 1,868.25万円 NPV = −初期投資8,200万 + 6,596.62 + 747.30 + 1,868.25 = −8,200万 + 9,212.17万 = 1,012.17万円 ≒ 10,121,684円

判定:NPV>0 のため、この投資案は採用すべき(回収期間5.24年も妥当)。

ポイント:①固定間接費は回避不能(差額分析から除外)、②残存価額10%を引いてから定額償却、③初期投資に在庫投資の増加を含める、④永続CFは5年末で資本還元(÷割引率)してから割り引く——この4点が論点。

第4問 配点 20点 100字以内

D社が中古車販売事業を実行する際に考えられるリスクを財務的観点から2点指摘し、それらのマネジメントについて100字以内で助言せよ。

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解答例(100字)

①海外販売による為替変動リスク。為替予約や通貨オプションでヘッジし円建て契約も活用する。②現金買取・在庫投資による資金繰りや在庫滞留リスク。需要予測で適正在庫を保ち販売店と連携して回転を高め回避する。

解説(考え方・プロセス)

設問の制約:財務的観点」のリスクを2点挙げ、それぞれマネジメント(対処)とセットで書く。リスク+対処を1対1で対応させる。

与件からリスクを特定:

  • 為替変動リスク…第3〜5段落。中古車販売事業は当面、海外市場が中心でドル建て取引(第3問でも1ドル=125円)。円高で為替差損=財務的リスク。対処は為替予約・通貨オプション・円建て契約
  • 資金繰り・在庫リスク…第3問の前提どおり中古車を現金で買い取り、1か月分の在庫投資が必要。販売不振なら在庫滞留・資金固定化。対処は需要予測に基づく適正在庫管理、現地販売店との連携で在庫回転を高める

その他の候補:事業ノウハウ不足による回収不能・貸倒リスク(第5段落「リスクマネジメントが重要」)なども可。いずれも「財務的」リスクに限定し、生産・組織面のリスクに逃げない点に注意。

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