事例Ⅳ|財務・会計

令和3年度 第2次試験問題 事例Ⅳ

中小企業の診断及び助言に関する実務の事例Ⅳ / 試験時間 16:00〜17:20 / 配点100点

与件文

1D社は地方都市に本社を置き、食品スーパーマーケット事業を中核として展開する企業である。D社の資本金は4,500万円、従業員数1,200名(パート、アルバイト含む)で、本社のある地方都市を中心に15店舗のチェーン展開を行っている。D社は創業90年以上の歴史の中で、常に地元産の商品にこだわり、地元密着をセールスポイントとして経営を行ってきた。またこうした経営スタイルによって、D社は本社を置く地方都市の住民を中心に一定数の固定客を取り込み、経営状況も安定していた。ところが2000年代に入ってからは地元住民の高齢化や人口減少に加え、コンビニエンスストアの増加、郊外型ショッピングセンターの進出のほか、大手資本と提携した同業他社による低価格・大量販売の影響によって顧客獲得競争に苦戦を強いられ、徐々に収益性も圧迫されてきている。

2こうした中でD社は、レジ待ち時間の解消による顧客サービスの向上と業務効率化による人件費削減のため、さらには昨今の新型コロナウイルス感染症の影響による非接触型レジに対する要望の高まりから、代金支払いのみを顧客が行うセミセルフレジについて、2022年度期首にフルセルフレジへ更新することを検討している。しかし、セミセルフレジの耐用年数が残っていることもあり、更新のタイミングについて慎重に判断したいと考えている。なお、D社は現在、全店舗合計で150台のレジを保有しており、その内訳は有人レジが30台、セミセルフレジが100台、フルセルフレジが20台である。

3さらにD社は、地元への地域貢献と自社ブランドによる商品開発を兼ねた新事業に着手している。この事業はD社が本社を置く自治体との共同事業として、廃校となった旧小学校の校舎をリノベーションして魚種Xの陸上養殖を行うものである。D社では、この新規事業の収益性について検討を重ねている。

4また、D社は現在、主な事業であるスーパーマーケット事業のほか、外食事業、ネット通販事業、移動販売事業という3つの事業を行っている。これらの事業は、主な事業との親和性やシナジー効果などを勘案して展開されてきたものであるが、移動販売事業は期待された成果が出せず現状として不採算事業となっている。当該事業は、D社が事業活動を行っている地方都市において高齢化が進行していることから、自身で買い物に出かけることができない高齢者に対する小型トラックによる移動販売を行うものである。販売される商品は日常生活に必要な食品および日用品で、トラックのキャパシティから品目を絞っており、また販売用のトラックはすべてD社が保有する車両である。さらに、移動販売事業は高齢化が進んでいるエリアを担当する店舗の従業員が運転および販売業務を担っている。こうした状況から、D社では当該事業への対処も重要な経営課題となっている。

5D社と同業他社の2020年度の財務諸表は以下のとおりである。

財務諸表

貸借対照表(2021年2月28日現在) (単位:万円)
科目D社同業他社科目D社同業他社
〈資産の部〉〈負債の部〉
流動資産221,600424,720流動負債172,500258,210
現金預金46,90043,250仕入債務86,300108,450
売掛金61,60034,080短期借入金10,0000
有価証券4,4000その他の流動負債76,200149,760
商品64,200112,120固定負債376,700109,990
その他の流動資産44,500235,270長期借入金353,5000
固定資産463,6001,002,950その他の固定負債23,200109,990
有形固定資産363,200646,770負債合計549,200368,200
無形固定資産17,7008,780〈純資産の部〉
投資その他の資産82,700347,400資本金4,50074,150
利益剰余金131,000625,100
その他の純資産500360,220
純資産合計136,0001,059,470
資産合計685,2001,427,670負債・純資産合計685,2001,427,670
損益計算書(自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) (単位:万円)
科目D社同業他社
売上高1,655,5002,358,740
売上原価1,195,6001,751,140
売上総利益459,900607,600
販売費及び一般管理費454,600560,100
営業利益5,30047,500
営業外収益4,9001,610
営業外費用2,0001,420
経常利益8,20047,690
特別損失1,7007,820
税引前当期純利益6,50039,870
法人税等1,90011,960
当期純利益4,60027,910

設問

第1問 配点 30点
(設問1) D社と同業他社の財務諸表を用いて経営分析を行い、同業他社と比較してD社が優れていると考えられる財務指標とD社の課題を示すと考えられる財務指標を2つずつ取り上げ、それぞれについて、名称を(a)欄に、その値を(b)欄に記入せよ。なお、優れていると考えられる指標を①、②の欄に、課題を示すと考えられる指標を③、④の欄に記入し、(b)欄の値については、小数点第3位を四捨五入し、単位をカッコ内に明記すること。
(設問2) D社の財務的特徴と課題について、同業他社と比較しながら財務指標から読み取れる点を80字以内で述べよ。
解答例・解説を見る
解答例

設問1

① 優れている指標:売上高総利益率 (b) 27.78(%)

② 優れている指標:総資本回転率 (b) 2.42(回)

③ 課題を示す指標:売上高営業利益率 (b) 0.32(%)

④ 課題を示す指標:自己資本比率 (b) 19.85(%)

設問2地元密着の高い粗利と資産効率が強みだが、多角化で販管費がかさみ営業利益率が低い。長期借入金が多く自己資本比率が低いため、収益性改善と財務体質の強化が課題。(77字)

解説(考え方・プロセス)

手順:収益性・効率性・安全性の3視点で主要指標をD社/同業他社で計算し、差が大きいものを選ぶ。優れる2つ・課題2つを、視点が偏らないよう選定する。※(b)欄は小数点第3位を四捨五入、単位をカッコ内に明記。

① 収益性(D社が優れる):売上高総利益率

売上高総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高 ×100 D社 : 459,900 ÷ 1,655,500 ×100 = 27.78% 同業 : 607,600 ÷ 2,358,740 ×100 = 25.76% → D社が優れる

地元産・地元密着の差別化で粗利率はやや高い。

② 効率性(D社が優れる):総資本回転率

総資本回転率 = 売上高 ÷ 総資本(資産合計) D社 : 1,655,500 ÷ 685,200 = 2.42回 同業 : 2,358,740 ÷ 1,427,670 = 1.65回 → D社が優れる

少ない資産で売上を上げており資産効率は高い(有形固定資産回転率 D 4.56回>同業 3.65回 でも可)。

③ 収益性(D社が劣る):売上高営業利益率

売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 ×100 D社 : 5,300 ÷ 1,655,500 ×100 = 0.32% 同業 : 47,500 ÷ 2,358,740 ×100 = 2.01% → D社が劣る

粗利は高いのに営業利益率が低い=販管費率が高い(D 27.46%>同業 23.75%)。多角化・移動販売の不採算が要因。

④ 安全性(D社が劣る):自己資本比率

自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資本 ×100 D社 : 136,000 ÷ 685,200 ×100 = 19.85% 同業 : 1,059,470 ÷ 1,427,670 ×100 = 74.21% → D社が劣る

長期借入金353,500万円が重く、自己資本が薄い。流動比率(D 128.46%<同業 164.49%)でも可。

設問2の組み立て:優れる点(粗利・資産効率)+課題(営業利益率の低さ=販管費過大、低い自己資本比率)」を、与件の多角化・不採算の移動販売・借入過多と結びつけ80字に圧縮する。

第2問 配点 30点

D社はこれまで、各店舗のレジを法定耐用年数に従って5年ごとに更新してきたが、現在保有しているセミセルフレジ100台を2022年度期首にフルセルフレジへと取り替えることを検討している。またD社は、この検討において取替投資を行わないという結論に至った場合には、現在使用しているセミセルフレジと取得原価および耐用期間が等しいセミセルフレジへ2023年度期首に更新する予定である。
現在使用中のセミセルフレジは、2018年度期首に1台につき100万円で購入し有人レジから更新したもので、定額法で減価償却(耐用年数5年、残存価額0円)されており、2022年度期首に取り替える場合には耐用年数を1年残すことになる。一方、更新を検討しているフルセルフレジは付随費用込みで1台当たり210万円の価格であるが、耐用期間が6年と既存レジの耐用年数より1年長く使用できる。D社はフルセルフレジに更新した場合、減価償却においては法定耐用年数にかかわらず耐用期間に合わせて耐用年数6年、残存価額0円の定額法で処理する予定である。また、レジ更新に際して現在保有しているセミセルフレジは1台当たり8万円で下取りされ、フルセルフレジの代価から差し引かれることになっている。
D社ではフルセルフレジへと更新することにより、D社全体で人件費が毎年2,500万円削減されると見込んでいる。なお、D社の全社的利益(課税所得)は今後も黒字であることが予測されており、利益に対する税率は30%である。

(設問1) D社が2023年度期首でのセミセルフレジの更新ではなく、2022年度期首にフルセルフレジへと取替投資を行った場合の、初期投資額を除いた2022年度中のキャッシュフローを計算し、(a)欄に答えよ(単位:円)。なお、(b)欄には計算過程を示すこと。ただし、レジの取替は2022年度期首に全店舗一斉更新を予定している。また、初期投資額は期首に支出し、それ以外のキャッシュフローは年度末に一括して生じるものとする。
(設問2) 当該取替投資案の採否を現在価値法に従って判定せよ。計算過程も示して、計算結果とともに判定結果を答えよ。なお、割引率は6%であり、以下の現価係数を使用して計算すること。
1年2年3年4年5年6年
現価係数0.9430.8900.8400.7920.7470.705
(設問3) 当該取替投資案を検討する中で、D社の主要顧客が高齢化していることやレジが有人であることのメリットなどが話題となり、フルセルフレジの普及を待って更新を行うべきとの意見があがった。今回購入予定のフルセルフレジを1年延期した場合の影響について調べたところ、使用期間が1年短くなってしまうものの基本的な性能に大きな陳腐化はなく、人件費の削減も同等の2,500万円が見込まれることが分かった。また、フルセルフレジの導入を遅らせることについて業者と交渉を行った結果、更新を1年遅らせた場合には現在保有するセミセルフレジの下取り価格が0円となるものの、フルセルフレジを値引きしてくれることになった。
取替投資を1年延期し2023年度期首に更新する場合、フルセルフレジが1台当たりいくら(付随費用込み)で購入できれば1年延期しない場合より有利になるか計算し、(a)欄に答えよ(単位:円)。なお、(b)欄には計算過程を示すこと。ただし、更新されるフルセルフレジは耐用年数5年、残存価額0円、定額法で減価償却する予定である。また、最終的な解答では小数点以下を切り捨てすること。
解答例・解説を見る
解答例

設問12022年度のキャッシュフロー(初期投資除く)= 22,000,000円

設問2正味現在価値 ≒ +4,074,000円(+407.4万円) → 取替投資を「採用する

設問31台当たり 1,929,246円 以下で購入できれば、1年延期する方が有利になる。

解説(考え方・プロセス)

論点整理(全社100台、税率30%、単位は万円で計算し最後に円換算):

  • フルセルフ:1台210万円 × 100台 = 21,000万円、耐用6年・残存0 → 償却 35万円/台・年 ×100=3,500万円/年
  • 既存セミセルフ:取得100万円・耐用5年・残存0、2018期首取得で2022期首に4年償却済→簿価20万円/台(×100=2,000万円)、償却2,000万円/年。
  • 下取り:8万円/台×100=800万円。
  • 人件費削減:2,500万円/年(全社)。
  • 「取替えない場合」は2023年度期首に同じセミセルフへ更新(100万円/台=10,000万円)する前提=この支出を回避できるのが取替案のメリット。

設問1:2022年度CF(初期投資を除く・取替えない案との差額)

減価償却の差額 = フル3,500 − 既存セミ2,000 = 1,500万円 2022年度CF = 人件費削減×(1−税) + 減価償却差額×税 = 2,500×0.7 + 1,500×0.3 = 1,750 + 450 = 2,200万円 = 22,000,000円

※下取り・除却損は期首(初期投資)の項目なので設問1からは除く。

設問2:差額キャッシュフローとNPV

「取替える案」−「取替えず2023期首にセミ更新する案」の差額で評価する。

■ 初期投資(2022期首) フル取得 −21,000 + 下取り +800 既存セミ除却損 =(下取り800 − 簿価2,000)= −1,200 → 節税 +1,200×0.3=+360 初期CF = −21,000 + 800 + 360 = −19,840万円 ■ 1年目末(2022年度末) 営業差額CF 2,200(設問1) + 取替えない案が払うはずだったセミ更新 10,000 を回避 → +10,000 計 12,200万円 ■ 2〜6年目末(各年) 人件費削減2,500×0.7 + (フル3,500−セミ2,000)×0.3 = 1,750 + 450 = 2,200万円/年(5年) ■ NPV(割引率6%) NPV = −19,840 + 12,200×0.943 + 2,200×(0.890+0.840+0.792+0.747+0.705) = −19,840 + 11,504.6 + 2,200×3.974 = −19,840 + 11,504.6 + 8,742.8 = +407.4万円 ≒ +4,074,000円

NPV>0 のため取替投資を採用する

設問3:1年延期が有利になるフルセルフ単価P(万円/台)

延期案(2023期首にフル取替・下取り0・耐用5年)も「取替えない案」との差額で評価し、そのNPVが設問2のNPV(+407.4万円)以上になるPを求める。

延期案の差額CF: 1年目末 : セミ更新回避+10,000 − フル取得(100P) → (10,000 − 100P) 2〜6年目末 : 人件費削減2,500×0.7 + (フル償却20P − セミ償却2,000)×0.3 − 0 = 1,750 + 6P − 600 = 1,150 + 6P(5年) 延期案NPV = (10,000−100P)×0.943 + (1,150+6P)×3.974 = 9,430 −94.3P + 4,570.1 +23.844P = 14,000.1 − 70.456P 延期が有利 ⇔ 延期案NPV ≧ 設問2のNPV(407.4) 14,000.1 − 70.456P ≧ 407.4 70.456P ≦ 13,592.7 P ≦ 192.9246…万円 ∴ 1台当たり 1,929,246円 以下(小数点以下切り捨て)

ポイント:①取替投資は「取替えない代替案(=セミ再更新)」との差額で考え、回避できる10,000万円を1年目に算入する。②除却損の節税、減価償却のタックスシールド、③設問3は2案のNPVが等しくなる単価を解き、Pが低いほど延期案有利(係数が負)なので「以下」で判定する。

第3問 配点 20点

D社は現在、新規事業として検討している魚種Xの養殖事業について短期の利益計画を策定している。
当該事業では、自治体からの補助金が活用されるため、事業を実施することによるD社の費用は、水槽等の設備や水道光熱費、人件費のほか、稚魚の購入および餌代、薬剤などに限定される。D社は当面スタートアップ期間として最大年間養殖量が50,000kgである水槽を設置することを計画しており、当該水槽で魚種Xを50,000kg生産した場合の総経費は3,000万円である。また、この総経費に占める変動費の割合は60%、固定費の割合は40%と見積もられている。D社がわが国における魚種Xの販売実績を調査したところ、1kg当たり平均1,200円で販売されていることが分かった。

(設問1) D社は、当該事業をスタートするに当たり、年間1,500万円の利益を達成したいと考えている。この目標利益を達成するための年間販売数量を求めよ(単位:kg)。なお、魚種Xの1kg当たり販売単価は1,200円とし、小数点以下を切り上げて解答すること。
(設問2) D社は最適な養殖量を検討するため、D社の顧客層に対して魚種Xの購買行動に関するマーケティングリサーチを行った。その結果、魚種Xの味については好評を得たものの魚種Xがわが国においてあまりなじみのないことから、それが必ずしも購買行動につながらないことが分かった。そこでD社は魚種Xの販売に当たり、D社の商圏においては販売数量に応じた適切な価格設定が重要であると判断し、下表のように目標販売数量に応じた魚種Xの1kg当たり販売単価を設定することにした。
この販売計画のもとで、年間1,500万円の利益を達成するための年間販売数量を計算し、(a)欄に答えよ(単位:kg)。また、(b)欄には計算過程を示すこと。なお、最終的な解答では小数点以下を切り上げすること。
表 魚種Xの販売計画
目標販売数量販売単価
0kg〜20,000kg以下販売数量すべてを1kg当たり1,400円で販売
20,000kg超〜30,000kg以下販売数量すべてを1kg当たり1,240円で販売
30,000kg超〜40,000kg以下販売数量すべてを1kg当たり1,060円で販売
40,000kg超〜50,000kg以下販売数量すべてを1kg当たり860円で販売

注) たとえば目標販売数量が25,000kgである場合、25,000kgすべてが1kg当たり1,240円で販売される。

解答例・解説を見る
解答例

設問1目標利益達成の年間販売数量 = 32,143kg

設問2目標利益達成の年間販売数量 = 38,572kg(販売単価1,060円のケース)

解説(考え方・プロセス)

前提:変動費・固定費の分解

50,000kg生産時の総経費3,000万円のうち変動費60%・固定費40%。変動費は数量に比例する。

変動費総額 = 3,000万 ×60% = 1,800万円(@50,000kg) 1kg当たり変動費 = 18,000,000 ÷ 50,000 = 360円/kg 固定費 = 3,000万 ×40% = 1,200万円(=12,000,000円)

設問1:販売単価1,200円で目標利益1,500万円

1kg当たり限界利益 = 1,200 − 360 = 840円 必要数量 = (固定費 + 目標利益) ÷ 限界利益 = (12,000,000 + 15,000,000) ÷ 840 = 27,000,000 ÷ 840 = 32,142.85…kg → 小数点以下切り上げ 32,143kg

設問2:数量段階別の単価の下で目標利益1,500万円

単価が階段状に変わるので、各単価帯で必要数量を計算し、その数量が当該帯の範囲に収まるかを確認する(変動費360円・固定費1,200万円は不変)。

単価1,400円(0〜20,000): 限界利益1,040 → 27,000,000÷1,040=25,962kg → 範囲外× 単価1,240円(20,000超〜30,000): 限界利益880 → 30,682kg → 範囲外× 単価1,060円(30,000超〜40,000): 限界利益700 → 27,000,000÷700=38,571.4kg → 範囲内○ 単価 860円(40,000超〜50,000): 限界利益500 → 54,000kg → 最大養殖量50,000超で不可×

範囲に整合するのは単価1,060円のケースのみ

必要数量 = (12,000,000 + 15,000,000) ÷ (1,060 − 360) = 27,000,000 ÷ 700 = 38,571.42…kg → 小数点以下切り上げ 38,572kg

ポイント:段階価格は「全量がその単価」で計算する点に注意(注記)。各帯で機械的に解いて自帯の数量範囲に入る解だけが妥当。1,400・1,240円帯は計算値が帯を超え、860円帯は能力超過のため、唯一成立する1,060円帯が答え。

第4問 配点 20点

D社は現在不採算事業となっている移動販売事業への対処として、当該事業を廃止しネット通販事業に一本化することを検討している。

(設問1) 移動販売事業をネット通販事業に一本化することによる短期的なメリットについて、財務指標をあげながら40字以内で述べよ。
(設問2) D社の経営者は移動販売事業を継続することが必ずしも企業価値を低下させるとは考えていない。その理由を推測して40字以内で述べよ。
解答例・解説を見る
解答例

設問1不採算事業の廃止で費用が減り、売上高営業利益率など収益性が改善する。(34字)

設問2高齢者の集客や固定客維持で他事業に貢献し、将来CFを生む可能性があるから。(37字)

解説(考え方・プロセス)

設問1:一本化の「短期的メリット」を財務指標で

設問の指示どおり財務指標を挙げる。移動販売は不採算事業(第4段落)なので、廃止すれば赤字事業のコストが消え、第1問で課題だった売上高営業利益率(収益性)が改善する。短期的なので投資回収などではなく費用削減→利益率改善の即効性に焦点を当てる。

設問2:継続が企業価値を下げない理由

企業価値=将来CFの現在価値。会計上は不採算でも、移動販売は…

  • 第1・4段落…高齢者という固定客の維持・地域密着に寄与し、スーパー本業や他事業への送客・シナジーを生む。
  • 従業員が店舗業務と兼務=追加コストが限定的で、撤退で失う顧客基盤の方が大きい。

=単体損益では赤字でも全社の将来CFにプラスに働くため、企業価値を必ずしも下げない、という論理で40字にまとめる。

■ 目次(年度一覧)に戻る