この問題は本試験の過去問ではありません。当サイトが出題傾向の分析に基づいて作成したオリジナル問題です。
第24問
論点:価格設定の方法とプライシング
価格設定に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- ア 上澄み吸収価格は、導入時にあえて高い価格を設定し、価格に敏感でない層から早期に開発費を回収する戦略である。高価格でも十分な数の買い手が存在し、参入が困難で模倣されにくいことが前提となる。
- イ 市場浸透価格が成功する条件には、経験効果によるコスト低下が大きいことや、需要の価格弾力性が高いことがある。
- ウ 実勢価格設定は、業界の平均的・実勢的な価格に合わせて自社の価格を決める方法であり、顧客が感じる価値を推定して価格を決める知覚価値価格設定とともに、需要志向型の価格設定に分類される。
- エ コスト・プラス法は、製品の原価に一定のマージンを上乗せする最も伝統的な手法であり、原価だけを基準とするため、需要の状況も競争の状況も反映されていない。
- オ プライス・ライニングは、多数の製品をいくつかの段階的な価格点に集約し、同一の価格ライン内はバリエーションがあっても同一価格に揃える。
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正解:ウ
解答:ウ
価格戦略は、対になる用語の定義と分類を正確に押さえられるかが勝負となる。価格の決め方には、自社の原価を手がかりとするコスト志向型、顧客が感じる価値を手がかりとする需要志向型、ライバルの価格を手がかりとする競争志向型という3つの土台があり、どの方法がどの土台に属するかのすり替えが繰り返し狙われる。
- ア(○):上澄み吸収価格(スキミング・プライス)は、導入時にあえて高い価格を設定し、価格に敏感でない層から早期に開発費を回収する戦略である。高価格でも利益を期待できる十分な需要があること、初期投資が大きいなどの理由で潜在的な競合の参入が困難であること、模倣されにくく差別性が高いことが前提条件となる。記述は正しい。
- イ(○):市場浸透価格(ペネトレーション・プライス)は低価格でシェアを最大化する戦略で、経験効果による生産・流通費用の低減が大きいこと、コスト低下が速いこと、需要の価格弾力性が高いことが成功条件である。記述は正しい。
- ウ(×):前半は正しく、実勢価格設定は業界の平均的・実勢的な価格に合わせて価格を決める方法であり、横並びを重視する業界で用いられる。誤りは後半の分類で、実勢価格設定はライバルの価格を手がかりにする以上、競争志向型に分類される。需要志向型に属するのは、顧客の知覚価値から価格を決める知覚価値価格設定や、セグメントごとの需要の価格弾力性の差を利用する需要差別価格のほうである。分類を取り違えており、本問の正解。
- エ(○):コスト・プラス法(原価加算法)は原価に一定のマージンを上乗せする最も伝統的な手法であり、原価だけを基準とするため、顧客の価格感度(需要)も競争の状況も織り込まれない。目標売価を先に決めて設計段階で原価を作り込むターゲット・コスティングとは、発想が正反対である。記述は正しい。
- オ(○):プライス・ライニング(価格ライン別の価格設定)は、多数の製品をいくつかの段階的な価格点(プライス・ポイント)に集約する手法であり、ライン内にバリエーションがあっても同一価格に揃える。記述は正しい。
よって ウ。
なぜこの論点を予想したか
過去19年で15回出題の鉄板論点で、R07でも第30問で出題された。スキミングとペネトレーション、コスト志向・需要志向・競争志向の3アプローチ、コスト・プラス法とターゲット・コスティングなど、対になる用語や分類の取り違えが定番の狙われ方である。なお、キャプティブ・プライシングの定義はR06第37問の正解肢で正面から問われており、本問では外した。