事案の概要データ
| 公表日 | 2026年11月6日(2件を公表) |
|---|---|
| 事案(1)球団公式サイト | PLMが管理する球団公式サイトの一部が2026年10月30日に第三者からの不正アクセスを受ける |
| 事案(1)の件数 | 千葉ロッテマリーンズ公式スマートフォンサイト有料会員登録者のメールアドレス11,875件、ニックネーム37,070件 |
| 事案(1)の対象外 | 氏名、決済情報 |
| 事案(2)メール配信 | 5球団がメール配信に利用するアララ「アララメッセージ」への不正アクセス |
| 事案(2)の件数 | 試合速報メルマガの配信先メールアドレス13,711件 |
| 事案(2)の対象外球団 | オリックス・バファローズは同サービスを使用していない |
| 公表の形 | パシフィックリーグマーケティングとパ・リーグ6球団の連名 |
| 状態 | 調査中 |
図解:この事故の構造
- 球団公式サイト:ニックネーム 37,070件(千葉ロッテ公式スマホサイト)
- メール配信(アララ経由) 13,711件(試合速報メルマガ・5球団)
- 球団公式サイト:メールアドレス 11,875件(有料会員登録者)
何が起きたのか
パシフィックリーグマーケティング株式会社(PLM)とパ・リーグ6球団は2026年11月6日、2つの事案を公表しました。
(1)球団公式サイトへの不正アクセス。 PLMが管理する球団公式サイトの一部が2026年10月30日に不正アクセスを受け、千葉ロッテマリーンズ公式スマートフォンサイトの有料会員登録者のメールアドレス11,875件とニックネーム37,070件が流出しました。氏名や決済情報の流出はないとしています。
(2)メール配信サービス経由の流出。 5球団がメール配信に利用するアララ株式会社の「アララメッセージ」への不正アクセスで、試合速報メルマガの配信先メールアドレス13,711件が流出したとの報告を受けました。オリックス・バファローズは同サービスを使用していないとされています。
「使っていない球団」を名指しで書いた意味
この公表で、実務として学ぶ価値があるのは、「オリックス・バファローズは同サービスを使用していない」と明記したことです。
一見、当たり前のことに見えます。しかし、これがないと何が起きるか。
「パ・リーグで情報漏えい」という見出しだけが広がり、6球団すべてのファンが不安になります。 問い合わせは6球団すべてに来ます。
「どこは無事か」を書くのは、「どこが対象か」を書くのと同じくらい重要です。本サイトでは、同じ11月のノジマの公表(「店頭のノジマモバイル会員は影響を受けておらず、流出は一切ない」)も、同じ良い例として記録しています。
中小企業が公表文を書くときの型として、覚えておいてください。
①対象:○○サービスをご利用のお客様、△△件。
②対象外:□□サービス、××店舗。影響はありません。
③調査中:まだ分かっていないこと。
②を書くだけで、問い合わせの電話が目に見えて減ります。 事故対応で最も人手を取られるのは問い合わせ対応です。文章で先回りするのが、いちばん安い対策です。
「ニックネーム37,070件」という項目をどう見るか
流出項目に、ニックネーム37,070件があります。メールアドレス11,875件より数が多いのも特徴です。
ニックネームは、氏名ではありません。「個人情報として軽い」と思われがちです。
ただし、2つの点で注意が必要です。
①ニックネームは、他のサービスでも同じものを使っている人が多い。 SNS、ゲーム、掲示板。同じニックネームで検索すると、その人の他の活動が見つかることがあります。 これを「名寄せ」と言います。
②ニックネームは本人確認の材料になる。 「○○さん(ニックネーム)ですね、いつもご利用ありがとうございます」と言われると、相手を信じやすくなります。
ファンの方への呼びかけはこうです。球団やチケットサービスを名乗るメールで、ニックネームが合っていても、リンクからログインしない。 公式アプリかブックマークから入ってください。
そして、どのサービスでも同じニックネームを使っている方は、少なくとも重要なサービス(金融・買い物)では変えることをおすすめします。
事業者側としては、「ニックネームだけだから軽い」とは考えないでください。 公表文でも、本サイトの記載でも、項目として明記する価値があります。
時系列で見る経過
- 2026年10月28日〜31日アララのメール配信基盤が侵害される(事案2の発端)
- 2026年10月30日PLMが管理する球団公式サイトの一部が第三者からの不正アクセスを受ける(事案1)
- 2026年11月6日PLMとパ・リーグ6球団が、2つの事案を連名で公表
中小企業が学ぶべきポイント
- 同じ日に、自社サイトへの不正アクセスと委託先経由の流出という2つの事案を公表した。
- 「オリックス・バファローズは同サービスを使用していない」と明記した。「どこは無事か」を書く価値は大きい。
- 対象外を書くだけで問い合わせの電話が減る。事故対応で最も人手を取られるのは問い合わせ対応。
- 公表文は「対象」「対象外」「調査中」の3つに分けて書く。
- ニックネームは他のサービスでも同じものを使う人が多く、名寄せに使われる。
- ニックネームが合っていても、メールのリンクからログインしない。公式アプリから入る。
- 重要なサービス(金融・買い物)では、他と同じニックネームを使わない。
出典・参考
本記事は、各組織の公表資料および報道をもとに、要点をわかりやすく整理したものです。 被害件数は「漏えいした可能性のある最大件数」として公表されている場合があり、実際に漏えいが確定した件数とは異なることがあります。 また、調査の進展により内容が変わる場合があります。正確な情報は必ず出典元の公式発表をご確認ください。