情報セキュリティマネジメント試験 科目A 重要キーワード解説
標的型攻撃とは、不特定多数ではなく特定の組織や個人を狙い撃ちにして、機密情報の窃取やシステム破壊を目的に行われるサイバー攻撃です。攻撃者は事前に標的の業務内容・取引先・組織図などを徹底的に調査し、その相手だけに通用する巧妙な「だまし」を仕掛けてきます。
不特定多数にばらまく従来型のばらまき型攻撃と異なり、標的に合わせてカスタマイズされるため、受信者が攻撃と気づきにくいのが最大の特徴です。長期間にわたって潜伏し執拗に攻撃を続けるものはAPT(Advanced Persistent Threat:高度標的型攻撃)と呼ばれます。
| 手口 | 内容 |
|---|---|
| 標的型攻撃メール | 取引先や上司、実在の業務を装ったメールで、ウイルス付き添付ファイルや不正リンクを開かせる。最も多い侵入経路。 |
| 水飲み場型攻撃 | 標的がよく閲覧するWebサイトを改ざんし、訪問しただけで感染させる(肉食動物が水飲み場で獲物を待つ様子が由来)。 |
| やり取り型攻撃 | 問い合わせを装って何度かメールを往復し、信頼させてからウイルスを送りつける。 |
| サプライチェーン攻撃 | セキュリティの弱い取引先や委託先を踏み台にして本来の標的に侵入する。 |
標的型攻撃は「100%防ぐ」ことが難しいため、侵入を前提とした多層防御(入口・内部・出口対策)が基本となります。
職員宛の標的型攻撃メールの添付ファイルを開いたことでマルウェアに感染し、約125万件の年金個人情報が流出した国内を代表する事例です。「業務に関係しそうな件名のメール」「組織内での感染拡大」「対応の遅れ」という標的型攻撃の典型を示し、組織のメール訓練やネットワーク分離の重要性が広く認識されるきっかけになりました。
国家が背後にいるとされるAPT攻撃グループが、防衛・技術・インフラ関連企業を長期にわたり狙い、機微情報を窃取しようとする事例が報告されています。サプライチェーンの弱い部分を起点にする傾向が強まっています。