図書館と市民館の利用

中原図書館1館で、市の貸出の4分の1を占めます。

出典は川崎市統計書です:図書館・市民館の利用状況は e-Stat(政府統計の総合窓口)にはありません。川崎市統計書 令和7年(2025年)版の第14章に掲載された、川崎市教育委員会の数値をもとにしています。収録は令和2〜6年度(2020〜2024年度)の5年分です。

このページの要点

① 図書館14館の貸出冊数は年573万9,665冊(2024年度)。市民1人あたり3.7冊にあたります。

② 中原図書館だけで147万2,487冊。市全体の25.7%を1館で占めます。2位の宮前図書館(74万5,205冊)の2.0倍です。

③ 市民館の利用件数は5年で61.8%増えました。4万5,472件から7万3,557件へ。コロナ禍で止まっていた活動が戻り、それ以上に伸びています。

どの図書館が使われているか

図書館別の貸出冊数(2024年度)

市立図書館7館・分館5館・閲覧所1か所・県立川崎図書館

読み方:1位は中原図書館の147万2,487冊。市全体573万9,665冊の25.7%を1館で占めます。
2位は宮前図書館74万5,205冊、3位麻生図書館73万6,500冊、4位多摩図書館61万7,326冊。
中原図書館は2位の2.0倍。他館とは規模が違います。中原図書館は武蔵小杉駅前の複合施設にあり、「駅別 乗車人員ランキング」のページで見たとおり、武蔵小杉は単独の駅として市内最大(21万4,188人)です。人が集まる場所の図書館が、突出して使われるということです。
県立川崎図書館の2万131冊は、専門図書館としての性格によるものです。

出典:川崎市「川崎市統計書 令和7年(2025年)版」第14章 ⅩⅣ-13その2をもとに作成

貸出冊数の推移(2020〜2024年度)

14館の合計/棒が貸出冊数、折れ線が市民1人あたりの冊数

読み方:2020年度548万8,875冊、2021年度665万7,111冊、2022年度628万4,692冊、2023年度566万4,393冊、2024年度573万9,665冊。
2021年度がピークでした。コロナ禍で外出が制限され、本を借りる人が増えた時期にあたります。
その後は減少に転じ、2023年度は2020年度の水準に戻りました。2024年度はわずかに持ち直しています。
市民1人あたりでは2020年度3.6冊、2021年度4.4冊、2024年度3.7冊。「巣ごもり需要」がはっきり出て、そして引いたことがわかります。

出典:川崎市「川崎市統計書 令和7年(2025年)版」第14章 ⅩⅣ-13その2、住民基本台帳をもとに作成

1人の利用者が何冊借りているか(2024年度)

貸出冊数 ÷ 貸出者数/図書館ごとの1回あたり冊数

読み方:どの館も1回の貸出で2.0〜2.7冊と、狭い範囲に収まります。
もっとも多いのは田島分館の2.65冊、もっとも少ないのは中原図書館の2.04冊。いちばん規模の大きい中原図書館が、いちばん冊数が少ないという結果です。
差はわずか0.61冊。館ごとの貸出冊数の差は、ほぼそのまま「何人が来たか」の差だということになります。

出典:川崎市「川崎市統計書 令和7年(2025年)版」第14章 ⅩⅣ-13その2をもとに作成

市民館は5年で6割増えた

教育文化会館・市民館の利用件数(2020〜2024年度)

総数と主な施設別

読み方:総数は4万5,472件から7万3,557件へ、5年で61.8%増。
2020年度はコロナ禍で施設の利用が大きく制限された年です。そこからの回復ですが、2023年度以降は7万3,000件台で高止まりしています。
もっとも利用が多いのは高津市民館の1万1,027件、次いで中原市民館1万274件。この2館で市全体の29.0%を占めます。
図書館が中原に集中しているのに対し、市民館は高津と中原の2つに分かれている点が違います。

出典:川崎市「川崎市統計書 令和7年(2025年)版」第14章 ⅩⅣ-15をもとに作成

解説:中原に集まる

1館で4分の1

2024年度、川崎市の図書館14館が貸し出した本は573万9,665冊。市民1人あたり3.7冊です。

そのうち中原図書館だけで147万2,487冊。市全体の25.7%を1館で占めています。

2位の宮前図書館は74万5,205冊。中原図書館はその2.0倍です。3位麻生図書館73万6,500冊、4位多摩図書館61万7,326冊、5位高津図書館52万5,385冊、6位川崎図書館50万3,845冊。

中原図書館は武蔵小杉駅前の複合施設内にあります。「駅別 乗車人員ランキング」のページで見たとおり、武蔵小杉はJRと東急を合わせて21万4,188人と、単独の駅として市内最大。「将来推計人口」で見たとおり、中原区は2050年まで市内でもっとも人口が増える区(+9.2%)でもあります。

人が集まる場所にある図書館が、突出して使われる。単純ですが、はっきりした関係です。

借りる冊数は、どの館も同じ

館ごとの差が「1人がたくさん借りるから」なのか「たくさんの人が来るから」なのかを見ると、答えははっきりします。

1回の貸出あたりの冊数は、どの館も2.0〜2.7冊の範囲に収まります。もっとも多い田島分館が2.65冊、もっとも少ない中原図書館が2.04冊。館の規模が20倍違っても、1人が借りる冊数はほとんど変わりません。むしろ規模がいちばん大きい中原図書館が、1回あたりではいちばん少ないのです。

つまり貸出冊数の差は、ほぼそのまま来館者数の差です。中原図書館が多いのは、そこに人がいるからということになります。

コロナ禍で増え、そして戻った

5年の推移を見ると、はっきりした山があります。

2020年度548万8,875冊、2021年度665万7,111冊、2022年度628万4,692冊、2023年度566万4,393冊、2024年度573万9,665冊。

2021年度がピークで、2020年度比21.3%増。市民1人あたりでは3.6冊から4.4冊へ増えました。

外出が制限され、家で過ごす時間が増えた時期です。「巣ごもり需要」が図書館の統計にも出ています。

その後は減少に転じ、2023年度には2020年度とほぼ同じ水準に戻りました。2024年度はわずかに持ち直しています。

「駅別 乗車人員ランキング」のページで見たとおり、市内50駅の乗車人員は2020年から2024年で20.5%回復しました。人が外に出るようになった分、本を借りる人は減ったという関係が見えます。

市民館は逆に増え続けている

図書館とは対照的なのが市民館です。

教育文化会館・市民館の利用件数は、2020年度4万5,472件から2024年度7万3,557件へ、5年で61.8%増。

2020年度は施設の利用が大きく制限された年ですから、そこからの回復という面はあります。ただし2023年度7万3,211件、2024年度7万3,557件と高止まりしており、単なる回復では説明がつきません。

もっとも利用が多いのは高津市民館の1万1,027件、次いで中原市民館1万274件。この2館で市全体の29.0%を占めます。

図書館が中原1館に集中しているのに対し、市民館は高津と中原に分かれているのが違いです。

中小企業への示唆

1. 中原図書館は市内最大の集客施設のひとつ——年147万冊の貸出。その周辺は、人の流れが確実にある立地です。「飲食店の数と密度」のページで見たとおり、中原区の飲食店は956店で市内2位。

2. 市民館の利用が伸びている——5年で61.8%増、年7万3,557件。地域のセミナー、講座、イベントの場として使われているということです。中小企業診断士や士業が地域向けの活動をするなら、この会場が現実的な選択肢になります。

3. 高津・中原に文化施設の需要が集まる——市民館の29.0%がこの2館。地域向けのイベント集客は、この2区が有利です。

4. 図書館の「巣ごもり需要」は終わった——2021年度のピークから13.8%減。在宅時間の増加を前提にした商売は、2021年度が天井だったと考えるべきです。「駅別 乗車人員ランキング」で見たとおり、人は外に戻っています。

データの注意点

収録されているのは令和2〜6年度(2020〜2024年度)の5年分だけです。それ以前にさかのぼるには、川崎市統計書の過去の版を確認する必要があります。

2020年度と2021年度はコロナ禍の影響を強く受けています。臨時休館、入館制限、イベント中止などがあり、通常年との比較はできません。とくに市民館の2020年度4万5,472件は、制限下の数字です。

図書館には県立川崎図書館が含まれます。これは神奈川県が設置する専門図書館(科学技術・産業分野)で、市立図書館とは性格が異なります。

「利用者数」の定義は統計書に明記がありません。貸出冊数と貸出者数を中心にご覧ください。

県立川崎図書館は貸出者数が公表されていません。そのため「1回あたり貸出冊数」のグラフには13館のみ表示しています。

市民1人あたりの冊数は、住民基本台帳人口(外国人を含む総数、各年1月1日現在)で割っています。年度の貸出冊数を年始の人口で割る形になるため、厳密には時点が一致しません。

市民館の利用件数は件数であり、利用人数ではありません。1件が何人の利用にあたるかは、この統計ではわかりません。