川崎市の転入・転出(社会増減)

毎年、市民の6%が入れ替わっています。人口を支えているのはこの流れです。

このページの要点

① 毎年9万7千人が入り、9万人が出ていく。2024年は転入96,281人、転出89,820人。市民の約6%が毎年入れ替わっている計算です。

② 社会増減は2019年の+10,618人がピーク。2022年には+2,209人まで落ち込み、その後2024年は+6,461人へ回復しました。

③ 2022年、自然減を埋めきれなかった。自然増減−2,338人+社会増減+2,209人=−129人。わずかですが、計算上マイナスになった年です。

人の出入り

転入者数と転出者数の推移

住民基本台帳による/単位は人

読み方:転入は年間9万6千〜10万2千人、転出は8万9千〜9万5千人の範囲で動いています。どちらも人口の6%前後という大きな数字です。
156万人の街で、毎年19万人近くが出入りしている。川崎市の人口は「安定して増えている」のではなく、激しい出入りの差し引きで増えているということになります。

出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」(住民基本台帳人口移動報告)をもとに作成

社会増減(転入−転出)の推移

プラスが転入超過/単位は人

読み方:2019年の+10,618人がピークです。そこからコロナ禍で急減し、2022年は+2,209人まで落ちました。テレワークの普及による都心離れが指摘された時期と重なります。
ただし2023年+5,475人、2024年+6,461人と回復しています。都心回帰の揺り戻しと読めますが、ピーク時の水準には戻っていません。

出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」をもとに作成

自然増減と社会増減、2つの力

人口の増減を2つに分けて見る

青が社会増減(転入−転出)、赤が自然増減(出生−死亡)、点が合計

読み方:川崎市の人口を動かしているのは、この2つの力です。
赤い棒(自然増減)は2018年の+2,246人から2023年の−2,555人へ、一貫して下がり続けています。「出生・死亡(自然増減)」のページで見たとおり、2021年にマイナスへ転じました。
青い棒(社会増減)はプラスを保っていますが、2019年の+10,618人から大きく減りました。
2022年は赤−2,338、青+2,209で、合計−129人。わずかですが、計算上マイナスになっています。2023年は+2,920で戻しましたが、この2つの線が示すのは「余裕がなくなってきた」という事実です。

出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」をもとに作成。自然増減は人口動態統計、社会増減は住民基本台帳と、出典が異なる統計を組み合わせた参考値です。

解説:転入が支える人口

毎年6%が入れ替わる街

川崎市では毎年およそ9万7千人が転入し、9万人が転出しています。合計すると年間19万人近くが市境をまたいで移動している計算です。人口156万人に対して、転入だけで6.2%にあたります。

この規模の出入りは、都市の性格を表しています。「通勤・通学の流動」のページで見たとおり、川崎市民の4割は他県で働いています。東京へのアクセスを理由に住み、転職や結婚、子どもの成長にあわせて移っていく。川崎市は「通過する街」としての性格を強く持っています。

事業者にとって、これは無視できない数字です。地域に密着した商売をしていても、顧客の6%は毎年入れ替わる。常連が定着しにくい一方で、新規顧客の母集団は常に供給され続けます。

2019年がピークだった

社会増減(転入−転出)は2019年の+10,618人が最大でした。そこからコロナ禍で急減し、2022年には+2,209人まで落ちています。5分の1です。

この時期に何が起きたかは広く報じられたとおりです。テレワークの普及で「都心に近い」ことの価値が一時的に下がり、より広い住宅を求めて郊外へ移る動きが生まれました。川崎市のように「都心へのアクセス」を最大の売りにしてきた都市は、この影響を受けやすい立場にありました。

ただし2023年+5,475人、2024年+6,461人と戻しています。出社が再開され、通勤利便性の価値が見直されたためでしょう。それでもピーク時の6割程度にとどまっており、完全には戻っていません。

2022年、計算上のマイナス

もっとも注目すべきは2022年です。自然増減は−2,338人、社会増減は+2,209人。足し合わせると−129人になります。

これは「人口の推移」のページで見た国勢調査ベースの数字(2020→2025年で+22,870人、+1.5%)とは異なる話です。国勢調査は5年ごとの断面なので、途中の年の細かい動きは見えません。年ごとに追うと、すでに一度マイナスをつけていたということです。

翌2023年は自然−2,555、社会+5,475で+2,920とプラスに戻りました。ただし構図ははっきりしています。自然減は年々拡大し、社会増はコロナ前の水準に戻っていない。この2つが交差する年が来れば、川崎市の人口は本格的に減少へ向かいます。

中小企業への示唆

1. 顧客は毎年入れ替わる前提で——転入9万7千人は、毎年それだけの「新しい住民」が生まれるということです。地域の店を知らない人が常に供給されます。認知獲得の施策を止めると、シェアは静かに落ちます。

2. 引っ越しに紐づく需要は大きい——年間19万人の移動は、家具、家電、インテリア、カーテン、清掃、不用品処分、鍵交換、ネット回線の巨大な市場です。人口156万人の街としては、移動の絶対量がかなり多い部類に入ります。

3. 転入超過はもう当てにできない——「川崎は人が増えているから商圏も伸びる」という前提は、2019年までのものです。社会増はピークの6割、自然減は拡大中。市場が自動的に広がる時代は終わりつつあります。

4. 定着する層を見極める——「建て方別(共同住宅比率)」のページで見たとおり、南部は借家中心、北部は持ち家中心です。出入りが激しいのは南部、定着するのは北部。リピート前提の商売は北部、回転前提の商売は南部という設計が合理的です。

データの注意点

転入者数・転出者数は住民基本台帳によるもので、収録期間は2018年から2024年の7年分です。それ以前のデータはこのデータベースには収録されていません。

「自然増減と社会増減を足す」グラフは、出典の異なる2つの統計を組み合わせた参考値です。自然増減は人口動態統計(日本人のみ)、社会増減は住民基本台帳(外国人を含む)で、対象範囲が一致しません。実際の人口増減とは差が生じます。厳密な人口増減としてではなく、2つの力の大きさを見比べるための図としてお読みください。

転入・転出には市内での区をまたぐ移動は含まれません。市外との出入りのみの数字です。