川崎市の世帯構成の変化

人口は1.5倍、世帯は2.0倍。増えたのは「人」より「世帯」です。

このページの要点

① 世帯数は40年で1.98倍。1980年の376,690世帯から2020年の747,452世帯へ。同じ期間の人口の伸び(1.48倍)を大きく上回ります。

② 1世帯あたり人員は2.76人→2.06人。40年で0.70人減りました。5年ごとに約0.09人ずつ、途切れることなく縮み続けています。

③ 政令市20市で5番目に小さい。2.06人は大阪市(1.87人)、福岡市(1.94人)、京都市(2.01人)などに次ぐ水準。区別では川崎区1.89人 ↔ 宮前区・麻生区2.28人と差があります。

人口より速く増えた世帯

人口と世帯数の伸び(1980年=100)

1980年を100としたときの指数/両者の差が「世帯の細分化」です

読み方:2本の線が開いていきます。2020年時点で人口は148、世帯は198。50ポイントの差がついています。
この差が意味するのは、同じ人数がより多くの世帯に分かれて暮らすようになったということです。親と同居していた若者が独立し、夫婦だけの世帯が増え、単身の高齢者が増える。人口の伸びだけを見ていると、市場の伸びを見誤ります。

出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」(国勢調査)をもとに作成

世帯数と1世帯あたり人員の推移

棒が世帯数(左軸・世帯)、折れ線が1世帯あたり人員(右軸・人)

読み方:世帯数は一度も減ることなく増え続け、1世帯あたり人員は一度も増えることなく減り続けています。40年間、例外なく同じ方向へ動いてきた指標です。
2.76人(1980年)は「夫婦と子ども1〜2人」が標準的だった時代の数字。2.06人(2020年)は「2人暮らしが平均」という社会です。

出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」をもとに作成

7区と政令市のなかで

区別の1世帯あたり人員(2020年)

点線は市平均(2.06人)

読み方:宮前区・麻生区が2.28人でもっとも大きく、川崎区が1.89人でもっとも小さい。0.39人の差です。
「建て方別(共同住宅比率)」のページで見たとおり、宮前区・麻生区は持ち家・戸建て中心で家族世帯が多い区。川崎区は共同住宅と単身者が多い区です。住まいの形と世帯の大きさは、ほぼ一致します。

出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」をもとに作成

政令指定都市20市の1世帯あたり人員(2020年)

少ない順/川崎市を濃い色で表示

読み方:川崎市は2.06人で少ないほうから5番目。もっとも小さいのは大阪市(1.87人)、大きいのは浜松市など地方の政令市です。
単身世帯が多いのは大都市の中心部に共通する特徴で、川崎市はその傾向を強く持っています。「7区データ図鑑」で見たとおり、川崎区は1.89人と大阪市に近い水準です。

出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」をもとに作成

解説:世帯という単位

50ポイントの差

1980年を100としたとき、2020年の川崎市の人口は148、世帯数は198です。50ポイントの差がついています。

この差は「世帯の細分化」と呼ばれる現象です。同じ人数が、より多くの世帯に分かれて暮らすようになりました。1世帯あたり人員でいえば2.76人から2.06人へ、0.70人の減少です。

注目すべきは一貫性です。40年間、世帯数は一度も減らず、1世帯あたり人員は一度も増えていません。景気の変動や人口増加のペースにかかわらず、この2つの指標は同じ方向へ動き続けてきました。構造的な変化であり、当面反転する見込みはありません。

3つの要因が重なっている

世帯が小さくなる理由は、大きく3つに分けられます。

1. 若者の独立——「人口ピラミッド」のページで見たとおり、多摩区は7区でただひとつ最多年齢層が25〜29歳です。大学が集まり、学生や若手社会人が単身で暮らします。「転入・転出(社会増減)」のページで見た年間9万7千人の転入も、その多くは単身での移動でしょう。

2. 子どもの数の減少——「高齢化率・年少人口比率」のページで見たとおり、年少人口比率は22.9%から12.7%へほぼ半減しました。夫婦と子ども2人の4人世帯が、夫婦と子ども1人の3人世帯になれば、それだけで平均は下がります。

3. 高齢の単身・夫婦世帯——「出生・死亡(自然増減)」のページで見たとおり、川崎市は2021年に自然減へ転じました。高齢化率は20.2%。子どもが独立したあとの夫婦のみ世帯、配偶者を亡くした単身世帯が増えます。

中小企業への示唆

このページの数字は、商売の設計に直接効きます。

1. 「世帯単位で売れるもの」は人口以上に伸びた——住宅、家電、通信回線、保険、電気・ガス、新聞、宅配。これらは1世帯につき1契約が基本です。人口が1.48倍のあいだに、世帯は1.98倍になりました。市場の伸びは人口ではなく世帯数で測るべきものです。

2. 「人単位で売れるもの」は伸びが鈍い——食料品、衣料、理美容、教育。これらは人数に比例します。人口の伸び1.48倍が上限です。同じ川崎市内でも、扱う商材によって市場の伸び方は1.3倍以上違います。

3. 少人数世帯向けの商品設計——1世帯2.06人が平均です。4人家族を想定した容量、サイズ、価格帯は、いまや多数派ではありません。小容量・個包装・少量パックへの需要は、統計的な裏づけがあります。

4. エリアで世帯の性格が違う——宮前区・麻生区(2.28人)は家族世帯、川崎区(1.89人)は単身世帯が中心です。同じ商品でも、訴求すべき内容と容量は区によって変えたほうが合理的です。

データの注意点

数値は国勢調査(5年ごと)によるもので、最新は2020年です。世帯数には一般世帯と施設等の世帯が含まれます。

1世帯あたり人員は「総人口 ÷ 世帯数」で計算しています。施設等の世帯(寮、病院など)を含むため、一般世帯だけで計算した数値よりわずかに大きく出ます。

単独世帯・核家族世帯・高齢単身世帯といった世帯の類型別の内訳は、このデータベースには収録されていないため扱っていません。国勢調査には該当する集計があります。