川崎市の就業者数・失業率・女性就業

20年で増えた働き手は、全員が女性でした。男性は減っています。

このページの要点

① 完全失業率3.26%は政令指定都市20市で最も低い。2位の静岡市(3.46%)、最下位の大阪市(4.93%)と比べても際立っています。2005年の5.45%から大きく改善しました。

② 20年で増えた就業者は、全員が女性。2000年から2020年で女性の就業者は+7万8,387人(+33.0%)。いっぽう男性は−1万436人(−2.5%)と減っています。

③ 就業者に占める女性の割合は36.6%→44.1%へ。20年で7.5ポイント上昇しました。この流れは「保育所の数と在所児数」で見た保育所の急増と、正確に対応しています。

40年間の就業者数と失業率

就業者数と完全失業率の推移(1980年〜2020年)

棒が就業者数(左軸・人)、折れ線が完全失業率(右軸・%)/国勢調査(5年ごと)

読み方:就業者数は1980年の50万2,309人から2020年の71万7,354人へ、21万5,045人増えました。人口の増加とほぼ同じペースです。
失業率は2005年の5.45%がピーク。就職氷河期の影響がここに出ています。そこから2015年3.65%、2020年3.26%へ改善しました。
ただし2020年10月の調査はコロナ禍の初期にあたり、雇用調整が本格化する前の数字である点には注意が必要です。

出典:総務省「社会・人口統計体系(F 労働)」(国勢調査)をもとに作成

増えたのは女性だけ

男女別の就業者数(2000年〜2020年)

積み上げ棒/単位は人

読み方:2000年から2020年の20年間で、女性の就業者は23万7,771人から31万6,158人へ7万8,387人(+33.0%)増えました。
いっぽう男性は41万1,632人から40万1,196人へ1万436人(−2.5%)減っています。
つまりこの20年で川崎市の働き手が6万7,951人増えたのは、すべて女性の就業が増えたからです。男性の就業は増えていません。

出典:総務省「社会・人口統計体系(F 労働)」をもとに作成

就業者に占める女性の割合

女性就業者 ÷ 就業者総数(%)

読み方:2000年の36.6%から2020年の44.1%へ、20年で7.5ポイント上昇しました。5年ごとに約1.9ポイントずつ、着実に上がっています。
この曲線は、「保育所の数と在所児数」のページで見た保育所の急増(113所→300所)と時期がぴったり重なります。保育の受け皿が増えたから女性が働けたのか、女性が働くから保育所が増えたのか——おそらく両方が同時に進みました。

出典:総務省「社会・人口統計体系(F 労働)」をもとに作成

政令指定都市20市のなかで

完全失業率ランキング(2020年・低い順)

完全失業者数 ÷ 労働力人口/川崎市を濃い色で表示

読み方:川崎市は3.26%で20市中もっとも低い。2位の静岡市(3.46%)、3位の広島市(3.51%)を上回ります。最下位の大阪市(4.93%)とは1.67ポイントの差です。
上位には川崎市、静岡市、さいたま市、横浜市と、ベッドタウン型や工業都市が並びます。逆に下位は大阪市、福岡市、札幌市、堺市、京都市——広域の中心都市です。
中心都市は職を求めて人が集まるため、求職中の人も多く計上されます。ベッドタウンは「働いている人が住んでいる街」なので、失業率は低く出ます。失業率の低さは、街の性格を反映した数字でもあります。

出典:総務省「社会・人口統計体系(F 労働)」(令和2年国勢調査)をもとに作成

7区でどう違うか

区別の完全失業率(2020年)

点線は市平均(3.26%)

読み方:もっとも低いのは中原区の2.79%。市平均を0.47ポイント下回ります。「人口ピラミッド」で見たとおり20〜39歳の割合が7区最高(31.9%)で、働き盛りの世代が集まる区です。
もっとも高いのは川崎区の3.74%。それでも政令市の平均的な水準より低く、7区すべてが4%を切っています。

出典:総務省「社会・人口統計体系(F 労働)」をもとに作成

解説:働き手はどこから来たか

失業率が20市で最も低い理由

川崎市の完全失業率3.26%(2020年)は、政令指定都市20市でもっとも低い水準です。2005年には5.45%ありましたから、15年で2.19ポイント改善したことになります。

ただしこの数字は、川崎市の雇用政策が優れているというより、街の性格を反映したものと読むほうが正確です。

ランキングの下位に並ぶのは大阪市(4.93%)、福岡市(4.68%)、札幌市(4.65%)。いずれも広域圏の中心都市です。中心都市には仕事を求めて人が集まるため、求職中の人も多く住みます。いっぽう川崎市は「通勤・通学の流動」のページで見たとおり、市民の4割が他県へ働きに出るベッドタウンです。すでに仕事を持っている人が住む街なので、失業率は構造的に低く出ます。

とはいえ、事業者にとって意味がないわけではありません。失業率が低いということは、採用の競争が厳しいということでもあります。「政令指定都市20市 データ比較」のページで見た高齢化率20市最低(20.2%)と合わせると、川崎市は「働ける人は多いが、すでに仕事に就いている人も多い」市場だといえます。

20年で増えた働き手は、全員が女性

このページでもっとも重要な数字がこれです。2000年から2020年の20年間で、川崎市の就業者は64万9,403人から71万7,354人へ6万7,951人増えました。

その内訳を見ると——
・女性:23万7,771人 → 31万6,158人(+7万8,387人、+33.0%)
・男性:41万1,632人 → 40万1,196人(−1万436人、−2.5%)

男性の就業者は減っています。増えた分を上回る勢いで女性が増えたため、全体としてプラスになったにすぎません。川崎市の労働力を支えてきたのは、この20年間、女性の就業拡大でした。

結果として、就業者に占める女性の割合は36.6%から44.1%へ、7.5ポイント上昇しています。

保育所の急増と、正確に重なる

この変化は、他のページで見た数字と見事に対応します。

「保育所の数と在所児数」のページで見たとおり、川崎市の保育所は2003年の113所から2017年の300所へ2.7倍になり、在所児は1万1,255人から2万3,884人へ2.1倍になりました。急増したのは、まさに女性就業者が増えた時期です。

同時に幼稚園は120園から78園へ、在園者は2万7,044人から1万1,791人へ半減以下になりました。母親が働くようになれば、子どもの預け先は幼稚園から保育所へ移ります。3つのページの数字が、同じひとつの社会変化を別の角度から映しています。

中小企業への示唆

1. 採用の主戦場は女性——20年間で増えた働き手が全員女性だという事実は、そのまま採用戦略の前提になります。時短勤務、急な休みへの対応、通勤時間の短さ、在宅勤務。これらの条件整備は「福利厚生」ではなく、採用できるかどうかを分ける条件です。

2. 失業率が低い=採用は厳しい——3.26%は20市最低です。求職者のプールが小さいということでもあります。給与だけで競うと大企業に勝てません。「通勤・通学の流動」で見たとおり市民の4割が長距離通勤をしている以上、「通勤10分」は強力な差別化要因になります。

3. 男性就業者は減っている——男性の就業者数が20年で1万人以上減った事実は見落とされがちです。男性中心の職場(建設、運輸、製造の現場)は、母集団そのものが縮んでいます。この分野の人手不足は、景気ではなく人口構造の問題です。

4. 区で採用環境が違う——失業率が最も低いのは中原区(2.79%)。働き盛りが多い一方、すでに就業している人ばかりで採用は難しい区です。相対的に川崎区(3.74%)のほうが求職者は多い計算になります。

データの注意点

数値は国勢調査(5年ごと)によるもので、常住地ベースです。川崎市に住む人の就業状態であり、市内で働く人の状態ではありません。市外へ通勤する人も含まれます。

2020年10月の調査は、コロナ禍の初期にあたります。雇用調整助成金などにより休業者が「就業者」として計上されているため、実態より失業率が低く出ている可能性があります。

男女別の内訳は2000年以降のみ収録されています。それ以前の内訳はこのデータからは分かりません。