このページの要点
① 1位は武蔵小杉の58万円/㎡。2位新丸子48万7,000円、3位元住吉44万7,000円。上位3駅はすべて東急東横線です。
② 最下位は読売ランド前の18万4,000円。武蔵小杉との差は3.2倍。同じ市内、電車で30分ほどの範囲でこれだけ開きます。
③ 川崎駅は17地点で32万2,000円と、12位。ただし平均距離が2,235mと市内でもっとも遠く、駅から離れた住宅地まで含んでいるためです。
駅ごとの地価
最寄り駅別の住宅地の中央値(2025年)
地点が2つ以上ある33駅/カッコ内は地点数
4位溝の口41万2,000円、5位高津40万8,000円、6位武蔵中原40万2,500円。
下位は読売ランド前18万4,000円、柿生・栗平19万3,000円、生田19万8,000円。小田急線の西側が並びます。
「駅別 乗車人員ランキング」のページで見たとおり、武蔵小杉は単独の駅として市内最大(21万4,188人)。人が集まる駅の周りが高いという、わかりやすい関係です。
出典:国土交通省「国土数値情報 地価公示データ(L01)」令和7年版をもとに作成
駅からの平均距離を考えると、順位は変わる
横軸が地点の平均距離(m)、縦軸が住宅地の中央値(円/㎡)
川崎駅は右のほうにあります。17地点の平均距離は2,235mと市内でもっとも遠い。それでも32万2,000円あります。駅から2km以上離れてこの値段というのは、実質的にかなり高い水準です。
逆に五月台・津田山・久地は平均距離が600m前後と近いのに、20万〜32万円。近くても安い駅です。
「地価公示の推移(区別)」のページで見たとおり、川崎の地価は駅距離でほぼ決まります。その関係から外れる駅にこそ、割安・割高が表れます。
出典:国土交通省「国土数値情報 地価公示データ(L01)」令和7年版をもとに作成
2025年に上がった駅、上がらなかった駅
その駅を最寄りとする住宅地の対前年変動率の平均(%)
もっとも小さいのは津田山の+2.95%、生田+3.36%、京王稲田堤+3.40%。
すべての駅がプラスです。市内245地点すべてが上昇したためで、上がったかどうかではなくどれだけ上がったかの差になります。
興味深いのは、五月台・栗平のような地価が安い駅でも大きく上がっていること。上昇は高額な駅だけの現象ではありません。
出典:国土交通省「国土数値情報 地価公示データ(L01)」令和7年版をもとに作成
解説:東横線が高い
上位3駅が東急東横線
川崎市内の地価公示地点を最寄り駅ごとにまとめると、住宅地の中央値の順位は次のようになります。
1位武蔵小杉58万円/㎡、2位新丸子48万7,000円、3位元住吉44万7,000円。
上位3駅はすべて東急東横線で、しかも隣り合った3駅です。武蔵小杉—新丸子—元住吉。渋谷から20分前後の距離にあります。
4位以下は溝の口41万2,000円、高津40万8,000円、武蔵中原40万2,500円、登戸38万8,000円、鹿島田37万9,000円。
「駅別 乗車人員ランキング」のページで見たとおり、武蔵小杉はJRと東急を合わせて1日21万4,188人と、単独の駅として市内最大です。「将来推計人口」で見たとおり、中原区は2050年まで市内でもっとも人口が増える区でもあります。
下位は小田急線の西側
もっとも安いのは読売ランド前の18万4,000円。次いで柿生・栗平19万3,000円、生田19万8,000円、百合ヶ丘21万2,000円。
小田急線の登戸より西側が並びます。多摩区・麻生区にあたる地域です。
武蔵小杉との差は3.2倍。電車でせいぜい30分の範囲で、土地の値段が3倍違います。
「昼間人口と夜間人口」のページで見たとおり、麻生区の昼夜間人口比率は81.3%、多摩区は79.1%。「通勤・通学の流動」で見たとおり、この地域から都心までは1時間近くかかります。通勤時間の差が、そのまま地価の差になっています。
川崎駅は「遠くても高い」
順位だけを見ると意外なのが川崎駅の12位(32万2,000円)です。市内最大のターミナルなのに、武蔵小杉の55%しかありません。
理由は対象地点の平均距離にあります。川崎駅を最寄りとする住宅地は17地点あり、その平均距離は2,235m。市内33駅でもっとも遠い数字です。
川崎駅の周辺は商業地・工業地が多く、住宅地の標準地は駅から離れた場所に設定されます。「駅から2km以上離れて32万2,000円」と読み直すと、実質的にはかなり高い水準です。
実際、「地価公示の推移(区別)」のページで見たとおり、川崎市内でもっとも高い地点は川崎駅前本町の630万円/㎡(商業地)です。
近いのに安い駅、遠いのに高い駅
平均距離と地価を並べると、関係から外れる駅が見えてきます。
五月台は平均距離550mと市内でもっとも近いのに、22万1,500円。津田山も575mで31万500円。久地は667mで31万9,000円。近くても安いグループです。
逆に鷺沼は平均距離1,530mで32万7,000円、新百合ヶ丘は1,556mで23万7,000円。遠いわりに保っているグループになります。
「地価公示の推移(区別)」のページで見たとおり、川崎の地価は駅距離でほぼ決まります。その関係から外れる駅にこそ、路線の格や街の性格が表れます。
安い駅ほど上がっている面もある
2025年の変動率を見ると、意外な傾向があります。
もっとも上がったのは五月台の+6.75%。次いで高津+6.05%、武蔵小杉+5.80%、栗平+5.75%。
五月台(22万1,500円)と栗平(19万3,000円)は、地価では下位グループです。安い駅でも大きく上がっているということになります。
もっとも上昇が小さいのは津田山+2.95%、生田+3.36%、京王稲田堤+3.40%。
すべての駅がプラスです。「地価公示の推移(区別)」のページで見たとおり、市内245地点すべてが上昇しました。上がったかどうかではなく、どれだけ上がったかの差だけがあります。
中小企業への示唆
1. 賃料の相場は駅で3倍違う——武蔵小杉58万円と読売ランド前18万4,000円。同じ市内でも、駅を変えれば固定費が3分の1になります。「通勤の交通手段とクルマ離れ」で見たとおり、川崎の商圏は駅で切るべきです。
2. 事務所・倉庫は西側が有利——生田・柿生・栗平・読売ランド前は20万円前後。顧客が直接来ない業態なら、コストを大きく下げられます。
3. 東横線沿線は高いが、集客力もある——武蔵小杉・新丸子・元住吉。賃料が高いぶん、通行量と購買力がある立地です。「家計収支」のページで見たとおり、川崎の消費支出は月32万8,314円です。
4. 川崎駅前は別格——商業地で630万円/㎡、変動率も+16.0%と市内最大。この立地の賃料上昇は今後も続くと考えるべきです。
5. 安い駅も上がっている——五月台+6.75%、栗平+5.75%。「安いから据え置き」ではありません。更新時の値上げは市内全域で起こります。
データの注意点
「駅の地価」ではありません。地価公示の各地点に記録されている最寄り駅名でグループ分けし、その住宅地の中央値を計算したものです。駅前の値段ではなく、その駅を最寄りとする住宅地全体の水準を示します。
地点が2つ以上ある駅だけを載せています(33駅)。1地点しかない駅が7つありますが、中央値の意味がないため除いています。
地点数は駅によって大きく異なります。川崎17地点、新百合ヶ丘16地点、生田11地点に対し、高津・平間・津田山などは2地点。地点数が少ない駅の数値は、たまたまその2地点がどこにあるかに強く左右されます。
平均距離は地点の単純平均です。川崎駅の2,235mのように、対象地点が駅から遠い場所に設定されている駅では、中央値が実際の駅前の相場より低く出ます。
住宅地のみを対象にしています。商業地・工業地は除いています。
地価公示は各年1月1日時点の価格で、実際の取引価格ではありません。