川崎市の住宅数・空き家率・持ち家率

3軒に2軒がマンション。持ち家は半分以下。川崎の住まいは、かなり特殊です。

このページの要点

① 3軒に2軒が共同住宅。川崎市の住宅83万6,900戸のうち、共同住宅(マンション・アパート)は67.0%。政令指定都市20市で福岡市(71.7%)に次ぐ2位です。

② 持ち家率は48.4%で20市中18位。半分以上が借家です。横浜市(61.1%)やさいたま市(63.3%)といった近隣の政令市とは10ポイント以上の差があります。

③ 空き家率9.0%は20市で5番目に低い。全国的に空き家が増えるなか、川崎市は2013年の10.4%から低下しています。住宅が余っていない街です。

住宅は20年で23万戸増えた

総住宅数と空き家数の推移(2003年〜2023年)

棒が総住宅数(左軸・戸)、折れ線が空き家率(右軸・%)/住宅・土地統計調査(5年ごと)

読み方:総住宅数は2003年の60万2,180戸から2023年の83万6,900戸へ、23万4,720戸(+39.0%)増えました。同じ期間に人口は約24万人増えているので、住宅の供給が人口増にきちんと追いついてきたことがわかります。
空き家率は2013年の10.4%をピークに、2018年9.5%、2023年9.0%と下がっています。空き家の数自体は7万5,100戸と増えていますが、それ以上に住宅全体が増えているためです。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」(住宅・土地統計調査)をもとに作成

建て方別の住宅数(2003年〜2023年)

一戸建と共同住宅の推移/単位は戸

読み方:共同住宅は2003年の38万2,290戸から2023年の56万500戸へ、17万8,210戸増えました。同じ期間に一戸建は14万3,030戸から18万3,200戸へ4万170戸の増加。
増えた住宅の8割以上が共同住宅です。「人口の推移」のページで見た中原区の急増は、この共同住宅の供給によるものでした。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成

政令指定都市20市のなかで

共同住宅の割合(2023年)

共同住宅数 ÷ 総住宅数/川崎市を濃い色で表示

読み方:川崎市は67.0%で20市中2位。1位の福岡市(71.7%)に次ぎます。3位は大阪市(62.5%)。
大都市ほど共同住宅の比率が高くなるのは自然ですが、川崎市は人口規模6位でありながら2位につけています。市域が142.96km²と狭く、そこに156万人が住むという条件が、そのまま建て方に表れています。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成

持ち家率(2023年)

持ち家数 ÷(持ち家数+借家数)/川崎市を濃い色で表示

読み方:川崎市は48.4%で20市中18位。半分以上の世帯が借家に住んでいます。
同じ神奈川県の横浜市は61.1%、相模原市は64.2%。近隣の政令市と比べても10ポイント以上低く、大阪市に次ぐ「借家の街」です。
ビジネスへの示唆:借家世帯が多いということは、入れ替わりが多く、耐久財の買い替えサイクルが短いということでもあります。引越し、家具・家電、インテリア、クリーニング、不動産関連——転居に伴う需要は、持ち家中心の街より厚いはずです。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成

空き家率(2023年・低い順)

空き家数 ÷ 総住宅数/川崎市を濃い色で表示

読み方:川崎市は9.0%で、20市のなかで5番目に低い水準です。相模原市(8.2%)、福岡市(8.4%)、さいたま市(8.6%)、横浜市(8.7%)に次ぎます。
全国の空き家率が13.8%(2023年)であることを考えると、川崎市はかなり低い。建てれば埋まる街だということです。人口が増え続けてきたことの裏づけでもあります。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成

7区でどう違うか

区別の住宅の建て方(最新年)

100%積み上げ/一戸建・共同住宅・その他の割合

読み方:共同住宅の比率がもっとも高いのは中原区と幸区。武蔵小杉・新川崎の再開発でタワーマンションが林立するエリアです。
逆に一戸建の比率が高いのは麻生区・宮前区。丘陵の住宅地として開発された北部の区です。「人口ピラミッド」で見た区ごとの年齢構成の違いは、住まいの形の違いとほぼ重なります。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成

解説:借りて住む街

3軒に2軒がマンション

川崎市の住宅83万6,900戸のうち、共同住宅が56万500戸で67.0%。一戸建は18万3,200戸で21.9%にすぎません。政令指定都市20市のなかでは福岡市に次ぐ2位です。

この構造は市域の狭さから来ています。川崎市の面積は142.96km²で、人口156万人。人口密度は1万920人/km²で、大阪市に次ぐ20市中2位です。限られた土地に多くの人が住むには、上に積むしかありません。

そして20年間で増えた住宅23万4,720戸のうち、17万8,210戸(76%)が共同住宅でした。川崎の人口増は、マンション供給そのものだったと言えます。

持ち家率48.4%という低さ

持ち家率は48.4%で20市中18位。下には大阪市と福岡市しかいません。半数以上の世帯が借家に住んでいます。

近隣と比べると差は明確です。横浜市61.1%、さいたま市63.3%、相模原市64.2%。同じ東京圏のベッドタウンでありながら、川崎市だけが借家中心です。

理由はいくつか考えられます。ひとつは民営借家の多さ(31万9,200戸)。もうひとつは、単身・少人数世帯の多さです。「人口の推移」のページで見たとおり、川崎市の1世帯あたり人員は2.06人で20市中5番目に少ない。世帯が小さいほど、借家に住む傾向は強くなります。

そしてもうひとつ、「通勤・通学の流動」のページで見た構造も効いています。市民の4割が東京へ通勤する街では、住まいは「東京への近さ」で選ばれ、腰を据えて買うより借りて住むという選択が合理的になります。

空き家は増えているが、率は下がっている

空き家数は2003年の6万2,000戸から2023年の7万5,100戸へ、1万3,100戸増えました。数だけを見れば増加です。

ところが空き家「率」は10.3%から9.0%へ下がっています。総住宅数がそれ以上に増えたためです。2013年の10.4%をピークに、2018年9.5%、2023年9.0%と一貫した低下傾向にあります。

全国の空き家率は2023年で13.8%。川崎市の9.0%はこれを大きく下回り、20市中5番目に低い水準です。空き家問題が全国の課題になるなか、川崎はまだその段階にありません。

ただし「人口の推移」のページで見たとおり、2020年から2025年の人口増加率は+1.5%まで鈍化しています。住宅供給が続く一方で人口増が止まれば、空き家率は上昇に転じます。この指標は今後5年、注意して見る価値があります。

中小企業への示唆

1. 転居需要が厚い——借家率51.6%は、それだけ入居・退去のサイクルが速いということです。引越し、ハウスクリーニング、不用品回収、家具・家電、カーテン・照明——転居に伴う商売は、持ち家中心の街より市場が厚くなります。

2. マンション向けサービスの市場が大きい——共同住宅56万500戸。管理、修繕、リフォーム、宅配ボックス、インターネット回線。集合住宅特有のニーズが、市内住宅の3分の2に存在します。

3. 戸建て向けは北部に集中——一戸建の比率が高いのは麻生区・宮前区です。外構、造園、屋根・外壁塗装、シロアリ、給湯器——戸建て向けの商売は、営業エリアを北部に寄せたほうが効率的です。

4. 空き家ビジネスはまだ早い——空き家率9.0%は全国平均を大きく下回ります。空き家活用・管理を主力にするには、川崎市内の市場はまだ小さい。近隣自治体と組み合わせた広域展開が現実的でしょう。

データの注意点

数値は総務省「住宅・土地統計調査」によるもので、5年ごとの調査です。この調査は標本調査(一部の世帯を抽出して全体を推計する方式)のため、数値は推計値です。100戸単位で丸められている年もあります。

「空き家」には、賃貸・売却用の物件や別荘も含まれます。いわゆる「放置された空き家」だけを指すものではない点にご注意ください。

持ち家率は「持ち家数 ÷(持ち家数+借家数)」で計算しています。分母に住宅総数を使う定義もあり、その場合は数値がやや低く出ます。