このページの要点
① ピークは2005年の24,947戸。2024年は14,259戸で、ピーク比42.8%減です。
② 1戸あたり床面積は85.9m²→67.0m²。24年で18.9m²、率にして22%縮みました。戸数が減っただけでなく、1戸も小さくなっています。
③ 2024年の内訳は分譲50.2%、貸家41.3%、持家8.1%。注文住宅(持家)はわずか1,154戸。川崎で家を建てる人は、もうほとんどいません。
25年間の推移
新設住宅着工戸数の推移(2000年〜2024年)
建築着工統計調査による/単位は戸
その後は1万1千〜1万7千戸のレンジで上下し、2020年には11,412戸まで落ちました(コロナ禍)。2024年は14,259戸へ戻していますが、ピーク水準には遠く及びません。
出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」(建築着工統計調査)をもとに作成
種類別の内訳
積み上げ棒/持家・貸家・分譲住宅・給与住宅
いっぽう持家(注文住宅)はわずか1,154戸・8.1%。2000年の2,091戸から45%減りました。
「建て方別(共同住宅比率)」のページで見たとおり、川崎市の住宅の67.0%は共同住宅です。土地を買って家を建てるのではなく、マンションを買うか借りるか——供給の側から見ても、同じ構図が確認できます。
出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成
1戸あたりの床面積
着工新設住宅床面積 ÷ 着工新設住宅戸数(m²)
もっとも小さかったのは2015年の59.9m²。そこからやや戻していますが、2000年代前半の水準には戻っていません。
この曲線が意味するのは、供給される住宅が小さくなったということです。「世帯構成の変化」のページで見たとおり、1世帯あたり人員は2.76人から2.06人へ縮みました。世帯が小さくなり、住宅も小さくなる——2つの統計は同じことを示しています。
出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成
7区でどう違うか
区別の新設住宅着工戸数(2024年)
単位は戸
いっぽう麻生区は965戸、宮前区は1,034戸と少ない。「建て方別(共同住宅比率)」のページで見たとおり、この2区は戸建て中心で、すでに開発が一巡した住宅地です。
川崎市の住宅供給は、いまも南部と武蔵小杉周辺に集中しています。
出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成
解説:供給が細るということ
ピークから4割減
川崎市の新設住宅着工戸数は、2005年の24,947戸をピークに、2024年は14,259戸。42.8%減です。
急落したのは2005年から2009年にかけて。24,947戸から12,682戸へ、4年で半減しました。リーマンショックと、それに先立つ2007年の改正建築基準法(構造計算適合性判定の導入)による着工の停滞が重なった時期です。
その後は1万1千〜1万7千戸のレンジで推移しています。2020年に11,412戸まで落ちたのはコロナ禍の影響、2024年の14,259戸は回復基調です。ただしピーク水準に戻る気配はありません。
戸数だけでなく、面積も縮んだ
もうひとつ見落とせないのが、1戸あたりの床面積です。2000年の85.9m²から2024年の67.0m²へ、18.9m²縮みました。
85.9m²は3LDKの標準的な広さ、67.0m²は2LDK〜3LDKのコンパクトな間取りにあたります。供給される住宅の中身そのものが変わったということです。
この変化は需要側の統計と一致します。「世帯構成の変化」のページで見たとおり、川崎市の1世帯あたり人員は1980年の2.76人から2020年の2.06人へ縮みました。世帯が小さくなれば、必要な住宅も小さくなります。供給と需要が、同じ方向へ同時に動いてきました。
注文住宅は8.1%しかない
2024年の内訳を見ると、分譲住宅7,153戸(50.2%)、貸家5,883戸(41.3%)、持家1,154戸(8.1%)、給与住宅69戸。
持家——つまり自分の土地に注文住宅を建てるケース——は、市内の住宅供給の1割に届きません。2000年の2,091戸(10.7%)からさらに減っています。
「7区別 人口と人口密度」のページで見たとおり、川崎市の人口密度は1万920人/km²で政令市20市の2位です。土地が高く、まとまった宅地が出にくい。個人が土地を買って家を建てるという選択肢は、川崎ではすでに例外的なものになっています。
中小企業への示唆
1. 新築市場は縮小、リフォーム市場は拡大——着工がピーク比4割減ということは、新築に関わる仕事(建材、設備、内装、外構)の総量が減っているということです。いっぽう「住宅数・空き家率・持ち家率」のページで見たとおり、市内には83万7千戸の住宅ストックがあります。仕事の重心は新築から既存住宅の改修へ移っています。
2. 注文住宅は市外へ——持家着工1,154戸という規模では、注文住宅を主軸にする工務店が川崎市内だけで成り立つのは難しい。市外(相模原、横浜北部、多摩地域)へ商圏を広げるか、リフォームへ軸足を移すかの判断が要ります。
3. マンション関連は依然として大きい——分譲7,153戸+貸家5,883戸で年間1万3千戸。管理、内装、設備、引っ越し、家具家電——マンション供給に紐づく市場は健在です。
4. エリアは中原・川崎・多摩——2024年の着工3,899戸のうち27.3%が中原区。上位3区で市全体の63%を占めます。新築関連の営業は、この3区に絞るのが効率的です。
データの注意点
数値は建築着工統計調査によるもので、着工ベースです。完成・入居のタイミングとは1〜2年のずれがあります。
収録期間は2000年から2024年です。それ以前のデータはこのデータベースには収録されていません。バブル期の水準との比較はできません。
1戸あたり床面積は「着工新設住宅床面積 ÷ 着工新設住宅戸数」で計算しています。持家・貸家・分譲の平均なので、種類別の面積とは異なります。一般に貸家は小さく、持家は大きいため、貸家の比率が上がると平均は下がります。