このページの要点
① 2000年から2020年で、職員は2,382人減りました。9,219人 → 6,837人、25.8%の減少です。市の人口はこの間に約25万人増えていますから、実質的な「行政のスリム化」はもっと大きいことになります。
② 人口1万人あたりでは74.9人 → 46.3人。20年で38.2%の減少。ひとりの職員が担当する市民の数は、134人から216人に増えました。
③ ところが2021年から増加に転じました。6,837人 → 7,065人、4年で228人の増加。20年続いた削減の流れが止まったのがこのデータの一番の発見です。
25年でどう変わったか
一般行政部門職員数の推移(2000年〜2024年)
棒が職員数、折れ線が人口1万人あたりの職員数
減り方がとくに急なのは2000年〜2008年で、8年間で1,577人減りました。年200人近いペースです。
折れ線(人口1万人あたり)はもっと急に下がっています。職員が減るのと同時に人口が増えたため、2つの効果が重なりました。
出典:総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」(原典:総務省「地方公共団体定員管理調査」、住民基本台帳)をもとに作成
職員1人が担当する市民の数
住民基本台帳人口(日本人)÷ 一般行政部門職員数
2020年をピークに、2024年は209人まで戻りました。職員数の増加と、日本人人口の伸びが鈍ったことの両方が効いています。
この数字はあくまで単純な割り算です。実際には業務のIT化、外部委託、指定管理者制度の活用によって、職員1人あたりの実務量がそのまま1.6倍になったわけではありません。
出典:総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」をもとに作成
政令指定都市20市のなかで
人口1万人あたりの職員数(2024年)
少ないほど「少ない職員で回している」/川崎市を濃い色で表示
もっとも少ないのは福岡市の38.5人、次いで札幌市39.3人、浜松市40.5人。もっとも多いのは大阪市の58.7人、名古屋市56.3人。
上位と下位の差は20.2人。1.5倍の開きがあります。ただしこの数字は、市が直接雇う職員の数です。外部委託や指定管理者の活用度合いによって見え方が変わる点には注意が必要です。
出典:総務省「社会・人口統計体系 市区町村データ」(原典:地方公共団体定員管理調査、住民基本台帳)をもとに作成
解説:削減が止まった年
20年で4分の1減らした
2000年、川崎市の一般行政部門職員は9,219人いました。2020年には6,837人。2,382人、25.8%の減少です。
この間、川崎市の人口は約25万人増えています。市民が増えるなかで職員を4分の1減らした——これが2000年代から2010年代の川崎市の姿でした。
人口1万人あたりで見ると、74.9人から46.3人へ38.2%の減少。職員1人が担当する市民は134人から216人へ、1.6倍になりました。
とくに削減が急だったのは2000年から2008年です。8年間で1,577人減、年平均197人。「歳出決算の推移」のページで見たとおり、この時期の川崎市は財政再建に取り組んでいました。職員数の削減はその中心にありました。
2021年、流れが変わった
ところが2020年の6,837人を底に、職員数は増加に転じます。2021年6,872人、2022年7,004人、2023年7,062人、2024年7,065人。4年で228人の増加です。
20年続いた削減の流れが止まった。これがこのデータのもっとも重要な発見です。
背景として考えられるのは、児童相談所の体制強化、保育・子育て支援の拡充、感染症対応、そしてデジタル化の推進です。「減らす」から「必要なところに配置する」へ、行政の考え方が変わったことを示しています。
人口1万人あたりで見ると、2020年の46.3人から2024年の47.8人へ1.5人増えました。ただし2000年の74.9人と比べれば、依然として大幅に少ない水準です。
20市では中位
2024年の人口1万人あたり職員数を政令指定都市20市で比べると、川崎市は47.8人で9位。少ないほうから数えて9番目、ちょうど真ん中です。
もっとも少ないのは福岡市38.5人、次いで札幌市39.3人、浜松市40.5人、横浜市42.6人。もっとも多いのは大阪市58.7人、名古屋市56.3人、神戸市53.4人、京都市53.3人。
ここで注意したいのは、この数字が「効率の良さ」をそのまま表すわけではないということです。市が直接雇う職員の数ですから、外部委託や指定管理者制度をどれだけ使っているかで見え方が変わります。また、市が運営する病院・交通・上下水道などの規模によっても差が出ます。
「政令指定都市20市 データ比較」のページで見たとおり、川崎市の財政力指数は0.99〜1.0前後で20市の上位。職員数は中位でも、財政の健全性は上位という組み合わせです。
中小企業への示唆
1. 行政の外部委託は今後も続く——職員数は増加に転じましたが、2000年の水準には遠く及びません。公共施設の管理、窓口業務、システム運用、専門的な調査・分析。市の業務を担う民間の役割は縮まりません。指定管理者や業務委託の入札情報を追う価値があります。
2. 増えている分野に商機がある——増員の背景にあるのは子育て・福祉・デジタル。この3分野は市の予算も人も増えている領域です。「歳出決算の推移」のページで見た民生費の伸びと合わせて読むと、方向がはっきりします。
3. 職員1人あたり209人という現実——市の窓口や担当者は、20年前より4割以上多くの市民を相手にしています。補助金や許認可の相談は、余裕をもった日程で。締切間際の駆け込みは通りにくくなっています。
データの注意点
「一般行政部門」の職員数です。教育部門(教職員)、消防、公営企業(上下水道・交通・病院)の職員は含みません。2018年度に県費負担教職員が神奈川県から川崎市へ移管されましたが、これは教育部門のため、このグラフには表れません。
調査は毎年4月1日現在です。会計年度任用職員(いわゆる非常勤)の扱いは調査年によって変わっている可能性があるため、長期の比較は目安として見てください。
人口1万人あたりの計算には住民基本台帳人口(日本人)を使っています。外国人を含む総数は2012年以降しか遡れないため、2000年から一貫して比較できる日本人人口を採用しました。2024年の外国人人口は5万5,850人で、これを含めると1万人あたり職員数は46.0人になります。
職員数は市が直接雇用する人数です。外部委託や指定管理者のもとで市の業務にあたる人は含まれません。都市間の比較では、この点が結果を大きく左右します。