このページの要点
① 川崎市長選挙の投票率は、2021年57.7%、2025年32.9%。4年で24.8ポイント下がりました。候補者や争点が変わったからではありません。
② 2017年と2021年の市長選は、衆議院議員選挙と同じ日でした。2013年(単独)32.8%、2017年(同日)52.3%、2021年(同日)57.7%、2025年(単独)32.9%。同日かどうかで、ほぼ決まっています。
③ もっとも高いのは2025年の参議院議員選挙で62.2%。もっとも低いのは市長選挙の32.8%(2013年)。国政と地方で、20ポイント以上の開きがあります。
選挙によって、これだけ違う
選挙種別ごとの投票率(2013年〜2025年)
衆議院・参議院は小選挙区/選挙区の投票率/点線は市の全選挙の平均
もっとも低いのは2013年の市長選挙32.8%と2025年の市長選挙32.9%。どちらも単独開催の市長選です。
県知事・県議会議員はいずれも41〜43%で安定しています。統一地方選として4年ごとに同じ日に行われるためです。
国政選挙(衆院・参院)は49〜62%、地方選挙は32〜58%。地方選のほうが振れ幅が大きくなっています。
出典:川崎市「川崎市統計書 令和7年(2025年)版」第19章 XⅨ-3(原資料:川崎市選挙管理委員会事務局)をもとに作成
市長選挙は、同じ日に何をやるかで決まる
川崎市長選挙の投票率/赤が衆議院議員選挙との同日開催
単独開催の2回はどちらも32%台、同日開催の2回は52〜58%。その差は約25ポイントです。
市長選そのものへの関心が4年で急に下がったわけではありません。「ついでに投票する人」がいるかいないかで決まっています。
2025年の市長選の投票者は41万4,622人。2021年は71万5,772人でした。30万1,150人が投票所に来なかったことになります。
出典:川崎市「川崎市統計書 令和7年(2025年)版」第19章 XⅨ-3をもとに作成
7区でどう違うか
区別の投票率(2025年10月26日 市長選挙)
当日有権者数に対する投票者数の割合
差は4.6ポイント。市全体は32.9%です。
「住民基本台帳の人口・世帯数」のページで見たとおり、川崎区は外国人比率8.52%と市内で突出しています。外国人は有権者に含まれないため、この差の説明にはなりません。有権者数そのもので割った数字です。
出典:川崎市「川崎市統計書 令和7年(2025年)版」第19章 XⅨ-4その3をもとに作成
区別の投票率(2023年4月9日 統一地方選)
市議会議員・県議会議員・県知事の3つの選挙/同じ日に投票
区別では麻生区が46.2%(市議)でトップ、川崎区が38.5%で最下位。差は7.7ポイントです。
2025年の市長選(差4.6ポイント)より開きが大きくなっています。投票率が高い選挙ほど、区による差も大きくなる傾向が見えます。
順位は2025年とほぼ同じです。麻生区・中原区・幸区が高く、川崎区・高津区が低いという構図は変わりません。
出典:川崎市「川崎市統計書 令和7年(2025年)版」第19章 XⅨ-4その1をもとに作成
解説:ついでに投票する人
25ポイントの差
2025年10月26日、川崎市長選挙が行われました。投票率は32.9%。有権者125万8,970人のうち、投票したのは41万4,622人です。
4年前の2021年10月31日は57.7%でした。24.8ポイントの低下です。
ここで、この差を「市政への関心が下がった」と読むのは正しくありません。2021年の市長選は、衆議院議員総選挙と同じ日に行われました。
4回の市長選を並べると、はっきりします。
2013年10月27日32.8%(単独)、2017年10月22日52.3%(衆院選と同日)、2021年10月31日57.7%(衆院選と同日)、2025年10月26日32.9%(単独)。
単独開催の2回はどちらも32%台。同日開催の2回は52〜58%。12年で候補者も争点も変わっているのに、投票率は「同じ日に国政選挙があるかどうか」でほぼ決まっています。
2021年と2025年の投票者数を比べると、30万1,150人の差があります。この30万人は、市長選のために投票所へ行ったのではなく、衆院選のついでに市長選の票も入れた人たちだということになります。
国政と地方で20ポイント
選挙の種類ごとに見ると、水準がはっきり分かれます。
参議院議員選挙は2016年55.8%、2019年49.4%、2022年55.6%、2025年62.2%。衆議院議員選挙は2014年53.7%、2017年51.7%、2021年57.0%、2024年55.4%。国政選挙は50〜62%です。
県知事選挙は2015年41.8%、2019年41.3%、2023年42.7%。県議会議員選挙も2015年42.3%、2019年41.3%、2023年42.6%。いずれも41〜43%で安定しています。統一地方選として4年ごとに同じ日に行われるためです。
そして単独開催の市長選挙は32%台。
国政と、単独開催の地方選で、20ポイント以上の開きがあります。もっとも身近な選挙が、もっとも投票されていないということになります。
なお2025年の参議院議員選挙62.2%は、この12年で最高の投票率でした。
麻生区と川崎区で7.7ポイント
区別に見ると、投票率には一貫した差があります。
2023年4月の統一地方選(市議・県議・県知事)では、麻生区が46.2%(市議)でトップ、川崎区が38.5%で最下位。差は7.7ポイントです。
2025年の市長選でも、麻生区35.3%、中原区34.8%、幸区34.6%に対し、川崎区30.7%、宮前区30.9%。順位はほぼ同じです。
ただし差の大きさは違います。2023年は7.7ポイント、2025年は4.6ポイント。投票率が高い選挙ほど、区による差も大きくなるという関係が見えます。
投票率が低いときは、どの区でも「必ず行く層」しか投票しません。投票率が上がるときに、区による上積みの差が出るということです。
「7区データ図鑑」のページで見たとおり、麻生区は持ち家率と1世帯人員が7区でもっとも高い区。「職業構成と雇用形態」で見たとおり、管理的職業の比率も麻生区が最高(2.48%)です。定住性の高さが投票率に出ていると読めます。
中小企業への示唆
1. 市政は「3人に1人」で決まっている——単独開催の市長選は32%台。有権者の3分の1しか投票していません。補助金、規制、都市計画。事業に直結する決定が、この規模の民意で動いています。
2. 業界団体の票は相対的に重い——投票率が低いほど、組織票の比重が上がります。商工会議所や業界団体を通じた政策要望は、投票率32%の市長選では実効性が高いということになります。
3. 選挙の日程は事前にわかる——市長選は4年に1度、10月下旬。同日選になるかどうかで、街の人出も広告効果もまったく違います。2021年は投票者71万人、2025年は41万人でした。
4. 麻生区・中原区は「動く」エリア——投票率が上がるときに上積みが大きい区です。地域向けの働きかけをするなら、反応が返ってきやすい層がいます。
データの注意点
投票率は当日有権者数に対する投票者数の割合です。期日前投票を含みます。
補欠選挙は除いています。市議会議員選挙には2017年・2021年・2025年に区単位の補欠選挙がありましたが、有権者が1つの区に限られ、通常の選挙と比較できないためです。
2015年の県議会議員選挙は、有権者数が84万6,111人と他の年より少なくなっています。無投票となった選挙区があったためです。投票率42.3%は、投票が行われた選挙区だけの数字です。
衆議院議員選挙・参議院議員選挙の投票率は、小選挙区(選挙区)のものです。比例代表の投票率もほぼ同じですが、わずかに異なります。
区別のデータは開票区別で、行政区と一致します。2023年4月9日と2025年10月26日の2回ぶんだけが統計書に収録されています。
外国人住民は有権者に含まれません。投票率の分母は日本国籍の有権者数です。