川崎市のごみ排出量とリサイクル率

1人1日727グラム。政令指定都市で最も少ない街です。

このページの要点

① 1人1日あたり727gは政令市20市で1位(最少)。2位の京都市(734g)、3位の横浜市(766g)を上回ります。最下位の北九州市(1,144g)とは417gの差です。

② ピークから24.7%減った。総排出量は2006年の542,326tから2023年の408,364tへ。同じ期間に人口は約20万人増えているので、1人あたりの減り方はさらに大きいことになります。

③ ただしリサイクル率は18.8%で11位。1位の千葉市(34.6%)とは15.8ポイント差。「出す量は少ないが、再生する割合は中位」というのが川崎の現在地です。

25年間の推移

ごみ総排出量とリサイクル率の推移(1999年〜2023年)

棒が総排出量(左軸・t)、折れ線がリサイクル率(右軸・%)

読み方:排出量は2006年の542,326tがピークです。そこから2023年の408,364tへ、17年で24.7%減りました。
減り始めたのは2000年代後半から。分別区分の細分化や有料化の議論が進んだ時期にあたります。
リサイクル率は15.3%(1999年)から18.8%(2023年)へ3.5ポイント上昇。排出量の減り方に比べると、こちらの伸びは緩やかです。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」(一般廃棄物処理事業実態調査)をもとに作成

市民1人1日あたりの排出量

ごみ総排出量 ÷ 人口 ÷ 365日(g)

読み方:2000年の1,124gから2020年の800gへ。20年で324g、29%減りました。
人口が増え続けるなかで総量が減ったので、1人あたりで見るとさらに大きな改善になります。「人口の推移(1980年〜)」のページで見たとおり、この間に市の人口は約29万人増えました。1人ひとりの行動が変わらなければ、総量は増えていたはずです。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住/A 人口・世帯)」をもとに作成

政令指定都市20市のなかで

1人1日あたりごみ排出量(少ない順)

川崎市を濃い色で表示/少ないほど良い指標です

読み方:川崎市が727gで1位(最少)。2位京都市734g、3位横浜市766gと僅差ですが、20市のトップに立っています。
最下位の北九州市(1,144g)とは417gの差。1日1人あたり417g、市民156万人で1年に換算すると約23万トンの違いになります。
「政令指定都市20市 データ比較」のページで見たとおり、川崎市は高齢化率20市最低・所得20市2位という都市です。単身世帯が多く自炊が少ない、あるいは集合住宅中心で分別が徹底しやすい——複数の要因が考えられます。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成

リサイクル率(高い順)

川崎市を濃い色で表示/高いほど良い指標です

読み方:川崎市は18.8%で11位と中位です。1位の千葉市(34.6%)とは15.8ポイントの差があります。
興味深いのは、排出量とリサイクル率が連動していないことです。排出量20市最少の川崎市がリサイクル率では11位、排出量最下位の北九州市がリサイクル率25%で上位——という関係になっています。
「そもそも出さない」と「出したものを再生する」は、別の課題だということです。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成

排出量とリサイクル率の関係

横軸が1人1日あたり排出量(g)、縦軸がリサイクル率(%)/左上にあるほど「出さず・再生する」都市

読み方:理想は左上(排出量が少なく、リサイクル率が高い)です。川崎市(赤い点)は左端にありますが、高さは中ほど。「出さないが、再生率は平均並み」という位置づけになります。
2つの指標に明確な相関は見られません。減量とリサイクルは、それぞれ別の努力を要する課題だということが図からも読み取れます。

出典:総務省「社会・人口統計体系(H 居住)」をもとに作成

解説:出さない街

20市で最も少ない727グラム

川崎市の市民1人が1日に出すごみは727グラムです。政令指定都市20市のなかで最も少ない水準にあります。

この数字は長い改善の結果です。2000年には1,124gありました。20年で324g、29%減っています。総排出量で見ても、ピークの2006年(542,326t)から2023年(408,364t)へ24.7%減りました。

特筆すべきは、この間に人口が増え続けていたことです。「人口の推移(1980年〜)」のページで見たとおり、川崎市の人口は2000年の125万人から2020年の154万人へ、約29万人増えました。人口が23%増えるなかで総排出量を24.7%減らしたのですから、1人あたりの行動変化は数字以上に大きかったことになります。

川崎公害の記憶

川崎市が環境政策に力を入れてきた背景には、歴史があります。1960年代から70年代にかけて、川崎は日本を代表する公害の街でした。臨海部のコンビナートが排出する大気汚染は深刻な健康被害を生み、公害訴訟の舞台にもなりました。

「製造品出荷額等の推移」のページで見たとおり、川崎市の製造品出荷額は1986年の8.61兆円をピークに減少しました。産業構造の転換とあわせて、環境への取り組みが市政の柱のひとつになっていきます。ごみの減量も、その流れのなかに位置づけられます。

ただしリサイクル率は11位

いっぽうで、リサイクル率18.8%は20市中11位と中位にとどまります。1位の千葉市(34.6%)、2位の名古屋市(27.4%)とは大きな差があります。

散布図に置いてみると、排出量とリサイクル率のあいだに明確な相関はありません。排出量が最少の川崎市がリサイクル率11位、排出量が最下位の北九州市がリサイクル率25%(上位)——むしろ逆の関係にすら見えます。

これは考えてみれば自然なことです。「そもそも出さない」ことと「出したものを再生する」ことは、別の課題です。ごみを減らせば、リサイクルできる資源の量も減ります。分母が小さくなれば、率は上がりにくい。川崎市の18.8%という数字は、そういう文脈で読む必要があります。

中小企業への示唆

1. 事業系ごみの削減は競争力になる——市民1人あたりの排出量が20市最少という土地柄です。行政も市民も、ごみの削減に関心が高い。事業所として排出量を減らす取り組みは、地域での評価につながりやすい環境にあります。

2. リサイクル関連には伸びしろ——リサイクル率11位という数字は、裏を返せば改善の余地があるということです。資源回収、再生資材、リユース、修理——この分野の事業には、行政の後押しが得られる可能性があります。

3. 「清掃費」は市の歳出の一部——「歳出の内訳(何に使っているか)」のページで見たとおり、衛生費は965億円(歳出の12.1%)です。ごみの収集・処理はこのなかに含まれます。ごみが減れば、この費用も抑えられます。川崎市の資料では、ふるさと納税による流出額142億円が「市の全世帯の約95%分のごみ収集・処理費に相当する」と説明されています。

4. 包装・容器の設計——小売・飲食業にとって、容器包装の削減はコスト削減と環境対応を同時に満たします。市民の意識が高い地域では、この取り組みは伝わりやすいといえます。

データの注意点

数値は一般廃棄物処理事業実態調査によるもので、家庭ごみと事業系一般廃棄物の合計です。産業廃棄物は含みません。

1人1日あたりの排出量は「総排出量 ÷ 人口 ÷ 365日」で計算しています。人口は国勢調査の値を使っており、5年ごとの断面です。政令市の比較では2020年の人口を用いています。

リサイクル率の定義は「直接資源化量+中間処理後再生利用量+集団回収量 ÷ ごみ総排出量+集団回収量」ですが、自治体によって集計の細部が異なる場合があります。都市間の比較は目安としてお読みください。

区別のごみ排出量は、このデータベースには収録されていません。市全体の数値のみを扱っています。