政令指定都市20市 データ比較

川崎市は、20の政令市のなかで何位なのか。5つの指標で確かめます。

このページの要点

① 財政力指数は20市で唯一の1.0超(1.02)。川崎市は20市中1位。標準的な行政サービスに必要なお金を、自前の税収でまかなえる水準にある唯一の政令市です。2位は名古屋市の0.98。

② 高齢化率20.2%は20市で最も低い。2位の福岡市(22.1%)に1.9ポイント差をつけての1位。最高の北九州市(31.8%)とは11.6ポイントの開きがあります。

③ 2020→2025年に人口が増えたのは20市中7市だけ。川崎市は+1.5%で5位。同じ神奈川の横浜市は−0.6%、相模原市は−1.8%と減少に転じています。「増加率が鈍った」とはいえ、増えていること自体が例外的です。

人口はどう動いたか

人口増減率ランキング(2020年→2025年)

2020年国勢調査と2025年国勢調査 速報集計の比較/川崎市を濃い色で表示

読み方:20市のうちプラスは7市だけで、残る13市は人口が減っています。人口減少は地方だけの話ではなく、政令指定都市の多数派がすでに減少局面に入っています。
川崎市は+1.5%で5位。市単体で見れば「増加率が3分の1に鈍った」という話ですが、20市のなかに置くと依然として数少ない成長組です。同じ神奈川県内でも横浜市(−0.6%)、相模原市(−1.8%)は減少しています。

出典:総務省「令和2年国勢調査」「令和7年国勢調査 速報集計」をもとに作成

人口密度ランキング(2025年)

2025年人口 ÷ 総面積

読み方:川崎市は1km²あたり10,920人で20市中2位。1位の大阪市(12,464人)に次ぐ密度です。3位の横浜市(8,568人)とは2,352人の差があります。
市域が142.96km²と狭いところに156万人が住むため、密度が高くなります。密度が高いということは、それだけ移動効率のよい商圏だということでもあります。

出典:総務省「令和7年国勢調査 速報集計」/「社会・人口統計体系」をもとに作成

年齢と所得

高齢化率ランキング(2020年・低い順)

65歳以上人口 ÷ 年齢3区分の合計

読み方:川崎市は20.2%で20市中もっとも低い水準です。全国平均(2020年で28.6%)を8.4ポイント下回ります。
ビジネスへの示唆:これは人手不足に悩む事業者にとって、川崎で商売をする数少ない有利な条件です。働き手の確保という点で、北九州市(31.8%)や静岡市(30.7%)と比べれば明らかに条件がよい。採用に苦しむ企業が拠点を検討するとき、この差は無視できません。

出典:総務省「社会・人口統計体系(A 人口・世帯)」2020年値をもとに作成

納税者1人あたりの課税対象所得(2024年度)

課税対象所得 ÷ 納税義務者数(所得割)/単位は万円

読み方:川崎市は459.3万円で20市中2位。1位の横浜市(463.0万円)とはわずか3.7万円差です。最下位の新潟市(338.9万円)とは120万円以上の開きがあります。
これは市民の所得水準を示す代表的な指標で、東京都心へ通う給与所得者が多い都市ほど高くなります。ビジネスへの示唆:単価の高い商品・サービスが成立しやすい市場だということです。価格競争ではなく、品質や利便性で選ばれる商売のほうが川崎には合っています。

出典:総務省「社会・人口統計体系(C 経済基盤)」をもとに作成

財政力指数ランキング(2022年度)

1.0を超えると、標準的な行政サービスを自前の税収でまかなえる水準

読み方:川崎市は1.02で20市唯一の1.0超です。財政力指数とは、その自治体が標準的な行政サービスを行うのに必要な費用のうち、どれだけを自前の税収でまかなえるかを示す数字で、1.0を超えると国からの普通交付税を受けない「不交付団体」になるのが通例です。
この高さを支えているのは、上のグラフで見た高い市民所得(個人市民税)と、臨海部の大規模事業所(法人市民税・固定資産税)の両輪です。
ただし財政に余裕があることと、市民サービスが手厚いことは別の話です。財政の中身については「行財政」カテゴリで詳しく扱う予定です。

出典:総務省「社会・人口統計体系(D 行政基盤)」をもとに作成

20市の一覧表

見出しをクリックすると、その項目で並べ替えできます。川崎市の行は色をつけています。

市 人口
2025年
人口増減率
2020→2025
人口密度
人/km²
面積
km²
高齢化率
2020年
1人あたり所得
万円・2024年度
財政力指数
2022年度
経常収支比率
%・2022年度
1世帯人員
人・2020年
外国人比率
%・2020年

解説:数字で見る川崎市の立ち位置

「6番目に大きい政令市」ではもったいない

川崎市の人口は156万1,132人(2025年)で、政令指定都市20市のなかで6番目です。上には横浜市、大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市が並びます。人口だけを見れば「中堅の政令市」という位置づけになります。

ところが指標を変えると、川崎市の姿はまったく違って見えます。財政力指数は20市で1位。高齢化率の低さも1位。納税者1人あたり所得は2位。人口密度も2位。規模ではなく質を測る指標に切り替えると、川崎市はほぼすべてで上位に来ます。

なぜ財政力指数が20市で唯一1.0を超えるのか

財政力指数1.02という数字は、地方財政のなかではかなり特別です。20市のうち19市が1.0未満で、国からの普通交付税を受けています。川崎市だけがそれを必要としない水準にあります。

理由は2つあります。1つは市民の所得の高さです。納税者1人あたりの課税対象所得は459.3万円で20市中2位。東京都心に通う給与所得者が多く、個人市民税の収入が厚くなります。もう1つは臨海部の産業集積です。石油・化学・鉄鋼などの大規模事業所が固定資産税と法人市民税をもたらします。「住む街」と「働く街」の両方の顔を持つことが、財政の二本柱になっています。

中小企業の経営者にとって、これは間接的ながら意味のある情報です。財政に余裕がある自治体は、独自の補助金や制度融資、創業支援メニューを維持しやすい。国の制度に上乗せする形の市独自の支援が使える可能性は、財政の弱い自治体より高いといえます。

「若い」ことの価値

高齢化率20.2%は、20市でもっとも低い数字です。北九州市(31.8%)、静岡市(30.7%)、新潟市(29.9%)といった上位と比べると、10ポイント以上の差があります。

この差が直接効いてくるのが人材の確保です。生産年齢人口の比率が高いということは、単純に働ける人が多いということです。全国的な人手不足のなかで、この条件は事業所の立地選択に効きます。人材確保に苦しんでいる企業が拠点を移す、あるいは新しい拠点を置くとき、川崎は合理的な選択肢になります。

もちろん、若いことは永続しません。「人口ピラミッド」のページで見たとおり、川崎市でもっとも人数が多いのは45〜49歳の層で、この塊が20年後には65〜69歳になります。いまの優位は、時間とともに縮んでいく性質のものです。

減っていく政令市、増えている政令市

今回のデータでもっとも印象的なのは、2020年から2025年にかけて20市のうち13市で人口が減ったという事実です。増えたのは福岡市(+3.2%)、千葉市(+2.1%)、大阪市(+2.0%)、さいたま市(+1.6%)、川崎市(+1.5%)、名古屋市(+0.6%)、仙台市(+0.0%)の7市だけ。政令指定都市という、日本のなかでもっとも人が集まるはずの都市群でさえ、多数派はすでに減少に転じています。

川崎市の増加率+1.5%は、市の歴史のなかでは過去最低の伸びです。しかし20市のなかに置き直せば5位で、成長組の一角です。同じ数字でも、比べる相手によって意味が反転する——統計を経営判断に使うときに、いちばん気をつけるべき点です。

この表の使い方

上の一覧表は、見出しをクリックすれば任意の指標で並べ替えられます。事業の性質に応じて、見るべき指標は変わります。

単価の高い商材を扱うなら「1人あたり所得」。訪問型・配送型のサービスなら「人口密度」。採用が課題なら「高齢化率」。行政の支援制度を当てにするなら「財政力指数」。市場の将来性を見るなら「人口増減率」。ひとつの指標で都市を序列化しても意味はありません。自社にとって効く指標を選んで並べ替えてください。

このページのデータについて

出典
総務省「社会・人口統計体系(市区町村データ 基礎データ)」A人口・世帯(0000020101)/B自然環境(0000020102)/C経済基盤(0000020103)/D行政基盤(0000020104)
総務省「令和7年国勢調査 速報集計」(0004050397)/「令和2年国勢調査」

・指標によって年が違います。総人口は2025年、高齢化率・外国人比率・1世帯人員は2020年、所得は2024年度、財政力指数・経常収支比率は2022年度です。表の見出しに年を書いています。

・2025年の人口は速報値です。確定値で変わる場合があります。

・面積は2024年の値です。埋立などで変動しますが、比較に影響する規模ではありません。

・「納税者1人あたり所得」は市民の平均年収ではありません。課税対象所得を納税義務者数(所得割)で割ったもので、所得のある人だけを分母にしています。市民全体の平均より高く出ます。都市どうしの比較には使えますが、絶対値としては読まないでください。