事案の概要データ
| 公表日 | 2026年11月5日 |
|---|---|
| 対象(東京海上ダイレクト) | 契約者向け「マイページ」等のWebサービス |
| 件数 | 漏えいした可能性のある件数は現時点で74件 |
| 漏えいした情報 | 契約者の氏名、住所、生年月日、契約内容などの個人情報 |
| 対応 | Webサイトでの手続きを一時停止。原因と影響範囲を調査中 |
| 同日の別事案(三井ダイレクト損保) | 2026年11月5日。三井ダイレクト損保アプリに対する第三者からの不審なアクセスを検知し、情報の保護と影響調査のためアプリのサービスを一時停止 |
| 関連する同時期の事案 | あいおいニッセイ同和損保「ご契約者さま専用ページ」約44万4,000件(11月6日公表・本サイト掲載)、損保ジャパン(委託先PCS・約6.5万件) |
図解:この事故の構造
何が起きたのか
東京海上ダイレクト損害保険株式会社は2026年11月5日、契約者向け「マイページ」等のWebサービスに第三者による不正アクセスがあり、契約者の氏名・住所・生年月日・契約内容などの個人情報が漏えいしたと公表しました。漏えいした可能性のある件数は、現時点で74件です。
同社はWebサイトでの手続きを一時停止し、原因と影響範囲を調査中としています。
同じ11月5日、三井ダイレクト損害保険も、三井ダイレクト損保アプリに対する第三者からの不審なアクセスを検知したため、情報の保護と影響調査のためアプリのサービスを一時停止したと公表しました。
74件でも公表する——件数の大小と公表の要否は別
本サイトが扱う事案のなかで、74件は最も小さい部類です。同じ時期に、280万人、550万件、8,133万件という数字が並んでいます。
それでも、この事案を記録する理由があります。件数が小さくても公表したことです。
個人情報保護法では、漏えいが起きたときの報告義務に基準があります。たとえば、要配慮個人情報が含まれる場合、財産的被害のおそれがある場合、不正の目的によるおそれがある場合は、件数にかかわらず(1件でも)報告が必要です。そして、1,000人を超える場合も対象になります。
本件は「第三者による不正アクセス」ですから、不正の目的によるおそれに当たります。74件でも報告と通知の対象です。
中小企業の経営者が誤解しやすいのが、ここです。「数件だから、大ごとにしなくていい」は通りません。
判断の目安を、簡単に整理しておきます。
①不正アクセスや盗難など、悪意によるものか。 → 1件でも報告対象。
②病歴などの要配慮個人情報が含まれるか。 → 1件でも報告対象。
③カード番号など、財産的被害のおそれがあるか。 → 1件でも報告対象。
④1,000人を超えるか。 → 報告対象。
⑤単なる誤送信・紛失で、上のどれにも当たらない。 → 報告義務はないが、本人への連絡は検討する。
迷ったときは、個人情報保護委員会の相談ダイヤルに電話してください。 無料で、事業者からの相談を受け付けています。
損害保険会社が、同じ週に3社
2026年11月の第1週、損害保険会社の公表が続きました。
11月5日:東京海上ダイレクト損保(マイページ・74件)、三井ダイレクト損保(アプリを一時停止)、損保ジャパン(委託先PCS・約6.5万件)。
11月6日:あいおいニッセイ同和損保(ご契約者さま専用ページ・約44万4,000件)、三井住友海上あいおい生命(約5,300件)。
なぜ保険会社が続くのか。理由は2つ考えられます。
①保険の契約情報は、個人情報の密度が高い。 氏名・住所・生年月日に加えて、車両情報、家族構成、健康状態、資産の情報。攻撃者にとって価値があります。
②契約者向けのWebサービスが、どの会社にもある。 「マイページ」「ご契約者さま専用ページ」「公式アプリ」。入口の形が似ています。
契約者としてできる備えは、1つに絞れます。保険会社を名乗る連絡で、証券番号・口座番号・カード番号・パスワードを伝えない。 保険証券に書かれた番号か、担当の代理店に、自分からかけ直してください。
そして、複数の保険に入っている方は、どの会社の事案なのかを確認してください。 同じ週に複数社が公表しているため、「自分の保険会社の話だ」と思い込みやすくなっています。それ自体が、詐欺に使われる状況です。
時系列で見る経過
- (時期は未公表)東京海上ダイレクト損保の契約者向け「マイページ」等に第三者による不正アクセス
- 2026年11月5日東京海上ダイレクト損保が公表。漏えいの可能性 74件。Webサイトでの手続きを一時停止
- 2026年11月5日三井ダイレクト損保が、アプリへの不審なアクセスを検知しサービスを一時停止したと公表
中小企業が学ぶべきポイント
- 74件でも公表した。件数の大小と、公表・報告の要否は別の話。
- 不正アクセスによる漏えいは「不正の目的によるおそれ」に当たり、1件でも報告対象になる。
- 要配慮個人情報が含まれる場合、財産的被害のおそれがある場合も、1件から報告対象。
- 1,000人を超える場合も報告対象。単なる誤送信・紛失で上に当たらなければ報告義務はない。
- 迷ったら個人情報保護委員会の相談ダイヤルに電話する。無料で事業者の相談を受け付けている。
- 2026年11月第1週に損害保険会社の公表が5件続いた。契約情報は個人情報の密度が高い。
- 保険会社を名乗る連絡で、証券番号・口座番号・カード番号・パスワードを伝えない。
- 複数社が同時期に公表しているため「自分の保険会社の話だ」と思い込みやすい。それ自体が詐欺に使われる状況。
出典・参考
本記事は、各組織の公表資料および報道をもとに、要点をわかりやすく整理したものです。 被害件数は「漏えいした可能性のある最大件数」として公表されている場合があり、実際に漏えいが確定した件数とは異なることがあります。 また、調査の進展により内容が変わる場合があります。正確な情報は必ず出典元の公式発表をご確認ください。