2026年10月30日 公表 不正アクセス 調査中 影響度:特大

良品計画「MUJIアプリ」に不正アクセス、最大約2,726万件 第二報でクレジットカード番号(全桁)約109万件も判明

対象組織:株式会社良品計画(無印良品) / 規模:最大約2,726万件/クレジットカード番号(全桁)約109万件(第二報)
// WHAT HAPPENED

公式アプリ「MUJIアプリ」で、最大約2,726万件のメールアドレス・生年月日・性別が外部に流出した可能性があると公表しました。11月4日の第二報では、対象がネットストア利用者にも広がり、約52万件には氏名・住所・電話番号も含まれること、さらに「MUJI Card」会員 約109万件のクレジットカード番号(全桁)にもアクセスされた可能性があることが判明しています。

事案の概要データ

第一報2026年10月30日「無印良品の公式アプリ「MUJIアプリ」におけるお客さま情報流出の可能性について(第一報)」
第二報2026年11月4日(同タイトル・第二報)
会社株式会社良品計画(東京都文京区/代表取締役社長 清水智)
対象者①MUJIアプリおよび無印良品ネットストアをご利用のお客さま(退会者を含む)
件数①〈1〉最大約2,726万件。メールアドレス、生年月日、性別、会員ID
件数①〈2〉約2,726万件のうち約52万件(現時点)。〈1〉に加えて氏名、住所、電話番号
対象者②クレジットカード「MUJI Card」会員(クレディセゾン発行)。2021年7月までに入会した顧客
件数②約109万件。クレジットカード番号(全桁)、MUJI Card ID、生年月日
②の内訳「うち現時点で有効なクレジットカードは約34.5万件、残りはすでに失効・解約済みのクレジットカード」
②の注記(1)「カード名義、有効期限、セキュリティコードは、含まれていません」
②の注記(2)有効なカード約34.5万件のうち約16.8万件は①〈1〉の情報と、さらにそのうち約2.5万件は①〈2〉の情報と、それぞれ閲覧が可能な状態だった
対象者③MUJIアプリまたは無印良品ネットストアでクレジットカード情報を登録した顧客
件数③約120件。クレジットカード番号の先頭6桁+下2桁、カード名義(有効期限・セキュリティコードは含まれない)
カード番号が残っていた理由「2021年7月以前は、当社独自の特典を付与するために、クレディセゾンが発行する「MUJI Card」に入会されたお客さまのカード番号とMUJI Card ID、生年月日を取得しており、その情報(②)が当社のシステム上に残っていたことを確認しました」(第二報)
第一報からの変更対象がMUJIアプリ利用者だけでなく、無印良品ネットストア利用者(アプリ非利用者を含む)にも及ぶことが判明
不正アクセスの時期・発覚日時公表文に記載なし
原因・侵入経路公表文に記載なし
対応「外部からの不正なアクセスを検知し、該当箇所へのアクセスの遮断および修正の適用を行いました」(第一報)
二次被害「現時点では、ダークウェブ等への当該お客さま情報の流出、および当該情報を悪用した被害は確認されておりません」(第一報)
サービスの状態「現在MUJIアプリや無印良品ネットストアは、正常にご利用いただけます」(第一報)
対象者への連絡メールもしくは郵送で個別に順次連絡。MUJI Card会員のうち良品計画が連絡先を把握していない人にはクレディセゾンから連絡
再発防止策「開発会社・関係会社のご協力のもと、セキュリティ対策と監視体制のさらなる強化を実施してまいります」
別事案(参考)同社は2026年11月2日に、オーダーカーテン業務の委託先(株式会社ナノテック)への不正アクセスによる19,933件の流出の可能性も公表している(本サイト別記事)
ネットストアの再停止2026年11月6日、無印良品ネットストアを再び全面停止(適時開示)。Webサイトは全サービス・機能を停止し、MUJIアプリも会員証以外は利用不可。顧客情報保護のための追加対策として
カード会社の公表2026年11月4日、クレディセゾンがMUJI Cardのカード番号(全桁)・生年月日など 退会者を含め約109万件へのアクセスの可能性を公表(本サイト掲載)

図解:この事故の構造

図:第二報で判明した内訳。やめた運用のカード番号が残っていた分が、②の約109万件。
第二報で示された対象(①の内数として②③が重なる部分がある):最大約2,726万件+クレジットカード番号 約109万件
  • ①〈1〉メールアドレス・生年月日・性別・会員ID 最大約2,726万件 MUJIアプリおよび無印良品ネットストアの利用者(退会者を含む)
  • ②MUJI Card会員のカード番号(全桁)等 約109万件 2021年7月までに入会した顧客。うち現在有効なカードは約34.5万件。名義・有効期限・セキュリティコードは含まれない
  • ①〈2〉氏名・住所・電話番号も含む分 約52万件 ①の約2,726万件の内数(現時点)

何が起きたのか

良品計画は2026年10月30日、公式アプリ「MUJIアプリ」で顧客情報の一部が外部に流出した可能性があると公表しました。第一報での内容は、メールアドレス・生年月日・性別、最大約2,726万件(退会者の情報を含む)。クレジットカード情報、氏名、住所、電話番号は含まれないとされていました。

5日後の11月4日、第二報で話が大きく変わります。

①対象が広がった。 「無印良品ネットストア(MUJIアプリを利用されていない方も含む)をご利用のお客さまも含まれる」。さらに、約2,726万件のうち約52万件には、氏名・住所・電話番号も含まれていました。

②クレジットカード番号が含まれていた。 クレディセゾンが発行する「MUJI Card」会員について、クレジットカード番号(全桁)、MUJI Card ID、生年月日が約109万件。このうち現時点で有効なカードは約34.5万件で、残りは失効・解約済みです。カード名義、有効期限、セキュリティコードは含まれていません。

③さらに約120件。 MUJIアプリまたはネットストアでカード情報を登録した顧客について、カード番号の先頭6桁+下2桁とカード名義です。

不正アクセスの時期、発覚の日時、原因、侵入経路は、第一報・第二報とも公表されていません。

2021年7月までに取得したカード番号が、2026年まで残っていた

第二報で最も重い一文は、「今回判明した経緯」に書かれています。

「2021年7月以前は、当社独自の特典を付与するために、クレディセゾンが発行する「MUJI Card」に入会されたお客さまのカード番号とMUJI Card ID、生年月日を取得しており、その情報(②)が当社のシステム上に残っていたことを確認しました」

整理するとこうです。2021年7月で、カード番号を取得する運用はやめていました。それでも、それ以前に取得した番号は、2026年までシステムに残っていました。 そして今回、全桁のカード番号として約109万件が流出した可能性があります。

やめた運用のデータが、5年以上残っていた。 これが、この事案の核心です。

本サイトでは最近、同じ構造の事案を続けて扱っています。佐川急便は、送り状データの保管期間が約100日だったので被害が100日分で止まりました。株式会社Sallyは、使うのをやめたサービスにデータが残っていて漏れました。

そして今回は、やめた運用のデータです。方向は同じです。持っているデータの量が、漏えいの上限を決めます。

中小企業に置き換えてください。運用をやめたのに、データだけ残っているものはありませんか。

終了したポイントカードの会員データ。やめたサービスの申込書。使わなくなった顧客管理ソフトのデータベース。昔の販売管理システムから移行したときの「念のため」のバックアップ。退職者が使っていた共有フォルダ。

どれも、業務では使っていないのに、漏れれば謝ることになります。

とくにクレジットカード番号は、原則として自社で保持しないのが鉄則です。決済代行会社を使えば、カード番号は自社を通りません。もし過去に保持していた時期があるなら、その当時のデータが残っていないかを確認してください。 「いまは持っていない」と「昔の分も消えている」は、別の話です。

今日できることを1つ挙げるなら、これです。「もう使っていないのに残っているデータ」を、思いつくだけ紙に書き出す。 1時間もかかりません。

第一報と第二報で、内容がここまで変わった

この事案は、第一報と第二報の差そのものが記録に値します。並べてみます。

第一報(10月30日): 対象はMUJIアプリ利用者。情報はメールアドレス・生年月日・性別。「クレジットカード情報、氏名、住所、電話番号等の情報は含まれません」と明記。

第二報(11月4日): 対象はネットストア利用者にも拡大。約52万件には氏名・住所・電話番号も含まれる。クレジットカード番号(全桁)約109万件。

「含まれません」と書いた情報が、5日後に「含まれていました」になりました。

これをどう評価するか。第一報を出したこと自体は正しいと考えます。分かった時点で出さなければ、顧客は何も知らないまま過ごします。調査が終わるまで黙っていれば、その間に不審なメールが届いても、顧客は理由が分かりません。

一方で、第一報の書き方には学ぶところがあります。 「含まれません」と言い切るのは、調査が終わっていない段階では危険です。「現時点の調査では確認されていません」と書いていれば、第二報での印象はかなり違ったはずです。

実際、第一報の冒頭には「現時点で、外部に流出した可能性がある情報は以下のとおりです」とあり、調査中であることは示されていました。しかし項目の注記は「含まれません」と断定形でした。同じ文書の中で、断定と留保が混ざっています。

中小企業が第一報を書くときの、実務的なルールを1つにまとめます。「ない」と書くときは、必ず「現時点の調査では」を付ける。 7文字です。これがあるかないかで、第二報を出すときの説明のしやすさが変わります。

もう1つ。第一報から第二報まで5日です。これは早いほうです。調査が進むたびに出す、という姿勢は保たれています。

「有効なカードが34.5万件」という書き方

第二報の件数の書き方には、丁寧なところもあります。クレジットカードの約109万件について、こう分けています。

「うち現時点で有効なクレジットカードは約34.5万件、残りはすでに失効・解約済みのクレジットカード」

さらに踏み込んで、組み合わせまで書いています。有効なカード約34.5万件のうち約16.8万件は①〈1〉の情報(メールアドレス・生年月日・性別・会員ID)と、そのうち約2.5万件は①〈2〉の情報(氏名・住所・電話番号)と、それぞれ閲覧が可能な状態だった、と。

なぜこの書き方が重要なのか。カード番号だけでは、不正利用は難しいからです。多くの場合、名義・有効期限・セキュリティコードのどれかが必要になります。今回それらは含まれていません。

しかし、カード番号と氏名と生年月日と住所がそろうと、話が変わります。 カード会社を装った電話で「本人確認」を求められたとき、相手が自分の住所と生年月日とカード番号の下4桁を言えたら、多くの人は信じてしまいます。

だから「約2.5万件は氏名・住所・電話番号とあわせて閲覧可能だった」という一文は、その2.5万人にとって最も警戒レベルが高いことを示しています。会社はそれを隠さずに書きました。

中小企業への示唆は、「項目を単品で評価しない」ということです。「メールアドレスだけだから軽い」「電話番号だけだから軽い」と考えがちですが、漏れた項目は組み合わさって使われます。

自社が持っている顧客データについて、一度こう問うてみてください。「この表の1行をまるごと見られたら、その人になりすませるか」。 なりすませるなら、その表は暗号化と、アクセスできる人の絞り込みが必要です。

なお良品計画は、第一報時点で「MUJIアプリや無印良品ネットストアは、正常にご利用いただけます」としています。サイトを止めずに済んだのは、侵入箇所を特定して遮断と修正ができたからです。アイリスプラザが6日以上止まったケース(本サイト掲載)と対照的です。

時系列で見る経過

中小企業が学ぶべきポイント

  1. 2021年7月にやめた運用のカード番号が、2026年までシステムに残っていた。
  2. 「もう使っていないのに残っているデータ」を紙に書き出す。1時間もかからない。
  3. クレジットカード番号は自社で保持しない。決済代行を使えば自社を通らない。
  4. 「いまは持っていない」と「昔の分も消えている」は別の話。過去の分を確認する。
  5. 第一報で「含まれません」と断定しない。「現時点の調査では確認されていません」と書く。
  6. その7文字があるかないかで、第二報を出すときの説明のしやすさが変わる。
  7. 漏れた項目は単品ではなく組み合わさって使われる。カード番号+氏名+住所+生年月日は特に危険。
  8. 自社の顧客データの1行を見て「これでその人になりすませるか」と問う。
  9. 侵入箇所を特定して遮断・修正できれば、サービスを止めずに済むこともある。

出典・参考

ご注意
本記事は、各組織の公表資料および報道をもとに、要点をわかりやすく整理したものです。 被害件数は「漏えいした可能性のある最大件数」として公表されている場合があり、実際に漏えいが確定した件数とは異なることがあります。 また、調査の進展により内容が変わる場合があります。正確な情報は必ず出典元の公式発表をご確認ください。

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