2026年11月4日 公表 脆弱性の悪用 調査中 影響度:大

採用サービスApplyNow、39万6,920人分が確定 公表済みの脆弱性に気づかず修正が遅れる

対象組織:株式会社ApplyNow(Interview Cloud/ApplyNow/ApplyNow Sign) / 規模:39万6,920人(うち3万67人はApplyNow Signで雇用契約を締結した人)
// WHAT HAPPENED

採用関連サービスのApplyNowは2026年11月4日、9月9日に公表した不正アクセスについて、39万6,920人の個人情報が漏えいしたと発表しました。一部ではマイナンバー・基礎年金番号・口座情報も流出しています。原因は、社内で使っていたデータ分析ツールについて提供元が公表していた脆弱性情報を把握しておらず、修正版の適用が遅れたことでした。契約終了後のデータも削除されずに残っていました。

事案の概要データ

初報2026年9月9日
件数の更新2026年10月9日に約39万人 → 2026年11月4日に39万6,920人で確定
対象サービス面接関連「Interview Cloud」、録画選考「ApplyNow」、電子雇用契約「ApplyNow Sign」
件数合計39万6,920人。うち3万67人分はApplyNow Signで雇用契約を締結した人
3サービス共通で漏えいした情報企業ユーザーの氏名、メールアドレス、ハッシュ化されたパスワード、権限情報
Interview Cloud応募者の氏名、フリガナ、電話番号、メールアドレス。一部は選考情報、生年月日、性別、職業
ApplyNow Sign契約者の氏名、フリガナ、電話番号、メールアドレス等。一部はマイナンバー、金融機関名・口座情報、基礎年金番号、在留カード番号、雇用保険被保険者番号、扶養控除に関する情報、生年月日、性別、住所
対象外の情報クレジットカード情報、本人確認書類の画像、面接動画
侵入の経緯2026年8月9日にデータ分析ツールの脆弱性を悪用して侵入 → 管理者権限を取得 → 8月23日・26日にデータベースの一部を閲覧 → 9月7日に情報を一括取得
検知2026年9月7日。ツールの停止をきっかけに異常を検知
原因ツールの提供元が公表していた脆弱性情報を把握しておらず、修正版の適用が遅れた。接続元の制限がなく検知にも時間がかかった。分析ツールから個人情報を参照できる構成だった。データの保管期間を定めておらず、契約終了後の情報も残っていた
二次被害2026年11月4日時点で確認されていない
利用企業の公表例吉野家ホールディングス(アルバイト応募者 5,366件/報道により5,784件とするものもある。契約終了後もデータが残存)

図解:この事故の構造

図:8月9日の侵入から9月7日の一括取得まで約1か月。検知は一括取得と同じ日だった。
  • 2026年8月9日データ分析ツールの脆弱性を悪用して侵入し、管理者権限を取得
  • 2026年8月23日・26日データベースの一部を閲覧
  • ↓ 侵入から約1か月、気づかなかった
  • 2026年9月7日情報を一括取得。同日、ツールの停止をきっかけに異常を検知
  • 2026年9月9日不正アクセスを公表
  • ↓ 初報から約2か月
  • 2026年11月4日39万6,920人で件数を確定。マイナンバー・口座情報の流出も判明

何が起きたのか

採用関連サービスを手掛ける株式会社ApplyNow(東京都港区)は2026年11月4日、9月9日に公表した同社サービスへの不正アクセスについて、39万6,920人の個人情報が漏えいしたと発表しました。10月9日の発表では約39万人分としていた件数が、調査によって確定しました。

対象は3つのサービス(Interview Cloud/ApplyNow/ApplyNow Sign)の利用者情報で、このうち3万67人分は、電子雇用契約サービスApplyNow Signで雇用契約を締結した人の情報です。

深刻なのは項目です。ApplyNow Signでは一部について、マイナンバー、金融機関名・口座情報、基礎年金番号、在留カード番号、雇用保険被保険者番号、扶養控除に関する情報まで流出しています。クレジットカード情報、本人確認書類の画像、面接動画は対象外とされています。

攻撃の経緯も公表されています。2026年8月9日にデータ分析ツールの脆弱性を悪用して侵入し、管理者権限を取得。8月23日と26日にデータベースの一部を閲覧し、9月7日に情報を一括取得しました。同日、ツールの停止をきっかけに異常を検知しています。

「公表されていた脆弱性を知らなかった」という原因

同社が挙げた原因の第一は、これです。ツールの提供元が公表していた脆弱性情報を把握しておらず、修正版の適用が遅れた。

つまり、直す方法はすでに世に出ていたのです。知らなかったから直せなかった。

これは中小企業にとって、最も身近で、最も見過ごされている原因です。本サイトでも繰り返し出てきます。

なぜ気づけないのか。理由は3つあります。①そのツールを入れた担当者が異動・退職した。②自動更新ではないツールだった。③そもそも何を使っているかの一覧がない。

やるべきことは、派手な投資ではありません。使っているソフト・ツール・サービスの一覧を作ることです。

一覧に入れる項目は4つで足ります。①名前 ②用途 ③提供元 ④更新の仕組み(自動/手動)。

そして④が「手動」のものだけ、提供元のお知らせメールを受け取る設定にする。これで「知らなかった」の多くは防げます。Excel1枚、半日の作業です。

もう1つ。同社は「接続元の制限がなかったことから、不正な操作の検知にも時間がかかった」としています。社内用の分析ツールが、どこからでもアクセスできる状態だったということです。再発防止策では特定のIPアドレスに限定したとしています。社内用のツールは社内からだけ。これも費用のかからない対策です。

「契約が終わったのにデータが残っていた」という二つ目の原因

同社が挙げたもう1つの原因が重いです。データの保管期間を定めておらず、契約終了後の企業・団体の情報も削除されずに残っていた。

これが何を生んだか。すでに取引を終えた企業の応募者データまで流出したのです。

実例があります。吉野家ホールディングスは、アルバイト応募者の情報が漏えいしたと公表し、契約終了後もデータが削除されずに残っていたと説明しています。

採用データは、この問題が特に出やすい領域です。考えてみてください。不採用になった人の履歴書・応募情報を、いつまで持っていますか。

多くの会社は決めていません。「また応募があったときの参考に」「何かあったときのため」。そうして残り続けます。

決め方の目安はこうです。①採用した人:在職中+退職後の法定保存期間(労働者名簿等は原則3年)。②不採用の人:選考終了後○か月で削除(6か月や1年が一般的)。③応募を辞退した人:すぐ削除。

そして、サービスを解約するときに「データを消してください」と書面で依頼する。これを忘れると、本件のように他社のシステムに残り続けます。

解約時のチェックリストに、この1行を入れてください。「預けたデータの削除を依頼し、削除完了の連絡をもらう」。

時系列で見る経過

中小企業が学ぶべきポイント

  1. 原因は「公表されていた脆弱性を知らなかった」こと。直す方法はすでに世に出ていた。
  2. 使っているソフト・ツールの一覧を作る。名前・用途・提供元・更新の仕組み(自動/手動)の4項目で足りる。
  3. 手動更新のものだけ、提供元のお知らせメールを受け取る設定にする。Excel1枚、半日の作業。
  4. 社内用の分析ツールが、どこからでもアクセスできる状態だった。接続元を社内のIPに限定する。
  5. 保管期間を決めていなかったため、契約終了後の企業の応募者データまで流出した。
  6. 不採用者の応募情報は、選考終了後○か月で削除と数字で決める。応募辞退者はすぐ削除。
  7. サービスを解約するとき、預けたデータの削除を書面で依頼し、完了の連絡をもらう。
  8. 電子雇用契約サービスには、マイナンバー・口座情報・基礎年金番号が集まる。扱いは通常の顧客名簿と別にする。

出典・参考

ご注意
本記事は、各組織の公表資料および報道をもとに、要点をわかりやすく整理したものです。 被害件数は「漏えいした可能性のある最大件数」として公表されている場合があり、実際に漏えいが確定した件数とは異なることがあります。 また、調査の進展により内容が変わる場合があります。正確な情報は必ず出典元の公式発表をご確認ください。

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