Cloud Security

Cloud-Native Application Protection Platform

CNAPP(クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム)

Category: Cloud Security / Updated: 2026-05-26

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Overview

CNAPP(Cloud-Native Application Protection Platform:クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム)とは、クラウドネイティブアプリケーションのライフサイクル全体を保護するための統合型セキュリティプラットフォームです。従来別々のツールとして提供されていたCSPM(クラウドセキュリティ態勢管理)、CWPP(クラウドワークロード保護)、CIEM(クラウドインフラ権限管理)などの機能を単一のプラットフォームに統合し、包括的なクラウドセキュリティを実現します。

Gartnerが2021年に提唱したCNAPPの概念は、クラウドセキュリティツールの断片化という課題に対する回答です。多くの組織では、CSPM、CWPP、コンテナセキュリティ、IaCスキャナーなど、複数のポイントソリューションを併用しており、アラートの重複、コンテキストの欠如、運用の複雑さが問題となっていました。CNAPPは、これらを統合することで、開発から本番運用までの一貫したセキュリティ体験を提供します。

CNAPPの最大の強みは、コンテキストの統合にあります。クラウドの設定ミス(CSPM)、ワークロードの脆弱性(CWPP)、過剰なIAM権限(CIEM)、ネットワークの公開状況、機密データの保存場所などの情報を横断的に分析し、本当にリスクの高い問題を特定します。これにより、セキュリティチームは膨大なアラートに埋もれることなく、最も重要な脅威に集中して対処できるようになります。

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Details

CNAPPの構成要素

CNAPPは、複数のセキュリティ機能を統合したプラットフォームであり、以下の主要コンポーネントで構成されています。

  • CSPM(Cloud Security Posture Management):クラウドインフラの設定ミスとコンプライアンス違反の検出・修復
  • CWPP(Cloud Workload Protection Platform):VM、コンテナ、サーバーレスなどのワークロードの脆弱性管理とランタイム保護
  • CIEM(Cloud Infrastructure Entitlement Management):IAM権限の分析と最小権限の原則の徹底
  • IaCスキャン:Terraform、CloudFormationなどのインフラコードのセキュリティチェック
  • SCA(Software Composition Analysis):オープンソースライブラリの脆弱性とライセンスリスクの検出
  • KSPM(Kubernetes Security Posture Management):Kubernetesクラスタの設定とセキュリティポリシーの管理

攻撃パスの分析(Attack Path Analysis)

CNAPPの革新的な機能の一つが攻撃パス分析です。これは、クラウド環境における複数のリスク要因を結びつけ、攻撃者が実際に悪用可能な経路を可視化する機能です。例えば、インターネットに公開されたコンテナに重大な脆弱性があり、そのコンテナが過剰な権限を持つIAMロールを使用しており、そのロールが機密データを含むS3バケットにアクセスできるといった一連のリスクチェーンを特定します。

個別のセキュリティツールでは、これらのリスクはそれぞれ独立した低〜中程度のアラートとして報告されますが、CNAPPの攻撃パス分析はこれらを結びつけて重大な攻撃経路として識別します。これにより、セキュリティチームは個別の脆弱性ではなく、ビジネスに実質的な影響を与える可能性のある脅威に集中できます。

シフトレフトセキュリティの実現

CNAPPは、セキュリティを開発ライフサイクルの早い段階(左側=開発初期)に組み込むシフトレフトアプローチを強力に支援します。IDEプラグインやCI/CDパイプラインとの統合により、開発者がコードを書く段階からセキュリティフィードバックを提供します。

具体的には、IaCテンプレートのセキュリティチェック、コンテナイメージの脆弱性スキャン、オープンソースライブラリのリスク分析、APIセキュリティテストなどを開発ワークフローに統合します。検出された問題は開発者にとって理解しやすい形で提示され、修復ガイダンスやコードレベルの修正提案が提供されます。

エージェントレスとエージェントベースのハイブリッドアプローチ

CNAPPのワークロードスキャンには、エージェントレスエージェントベースの2つのアプローチがあります。エージェントレススキャンは、クラウドプロバイダーのAPIを使用してワークロードのスナップショットを取得し、外部からスキャンする方式です。導入が容易でワークロードのパフォーマンスに影響を与えませんが、ランタイムの脅威検出には限界があります。

エージェントベースのアプローチは、ワークロード内にセキュリティエージェントをインストールし、リアルタイムのランタイム保護やプロセス監視を実現します。多くのCNAPPベンダーは、エージェントレススキャンでカバレッジの広さを確保しつつ、クリティカルなワークロードにはエージェントベースの深い保護を提供するハイブリッドアプローチを推奨しています。

クラウドセキュリティグラフ

CNAPPの中核技術として、クラウド環境のすべてのリソース、設定、関係性をグラフデータベースとして構築する機能があります。クラウドリソース(VM、コンテナ、データベース、ストレージなど)、ネットワーク接続、IAM権限、脆弱性、設定ミスなどの情報をグラフのノードとエッジとして表現します。

このセキュリティグラフにより、従来のルールベースでは発見が困難だった複雑なリスクの関係性を分析できます。例えば、特定の脆弱性が影響する範囲の正確な把握、設定変更の波及効果の予測、コンプライアンス要件への影響評価などが、グラフクエリにより高速かつ正確に実行できます。

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Security Measures

  • 01
    ポイントソリューションの統合評価:現在利用しているCSPM、CWPP、コンテナセキュリティなどのポイントソリューションを棚卸しし、CNAPP統合による運用効率化とコスト最適化の効果を評価してください。ツール間のアラート重複やコンテキスト欠如による対応遅延を定量化することが重要です。
  • 02
    攻撃パス分析の活用による優先度付け:CNAPPの攻撃パス分析機能を活用し、個別の脆弱性やミスコンフィグではなく、実際に攻撃者が悪用可能なリスクチェーンに焦点を当てた優先度付けを実施してください。クリティカルな攻撃パスの遮断を最優先事項として対処しましょう。
  • 03
    開発パイプラインへのセキュリティ統合:CNAPPのシフトレフト機能をCI/CDパイプラインに統合し、IaCスキャン、イメージスキャン、SCAを自動実行してください。開発者が修正しやすい形でフィードバックを提供し、セキュリティを開発ワークフローの自然な一部にすることが重要です。
  • 04
    CIEM機能によるIAM権限の最適化:CNAPPのCIEM機能を活用して、実際の使用状況に基づいたIAM権限の分析を実施してください。未使用の権限の削除、過剰な管理者権限の削減、クロスアカウントのアクセス経路の可視化により、最小権限の原則を徹底しましょう。
  • 05
    エージェントレスとエージェントベースの適切な使い分け:エージェントレススキャンで環境全体のカバレッジを確保しつつ、インターネットに公開されたワークロードや機密データを扱うシステムにはエージェントベースのランタイム保護を導入してください。リスクに応じた段階的な保護レベルを設計することが重要です。
  • 06
    セキュリティ指標の継続的なモニタリング:CNAPPのダッシュボード機能を活用して、平均修復時間(MTTR)、クリティカルな攻撃パスの数、未解決の重大脆弱性数、コンプライアンス準拠率などのKPIを継続的にモニタリングし、セキュリティ態勢の改善を定量的に追跡してください。
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Incidents

📋 SolarWinds サプライチェーン攻撃によるクラウド環境侵害(2020年)

2020年に発覚したSolarWindsのサプライチェーン攻撃では、SolarWinds Orionのアップデートにバックドアが埋め込まれ、米国政府機関を含む約18,000の組織に影響が及びました。攻撃者は侵害した環境から、Azure ADやMicrosoft 365のクラウド環境にラテラルムーブメントを行い、メールやドキュメントにアクセスしました。

CNAPPが提供する統合的な可視性があれば、オンプレミスからクラウドへの異常なアクセスパターン、IAMトークンの不正使用、クラウドリソースへの通常とは異なるアクセス経路を攻撃パス分析で検出できた可能性があります。この事件は、開発段階からランタイムまでの一貫したセキュリティ監視の重要性を示しました。

📋 Codecov サプライチェーン攻撃によるCI/CD環境の侵害(2021年)

2021年、コードカバレッジツールCodecovのBash Uploaderスクリプトが改ざんされ、CI/CDパイプラインで使用する環境変数(APIキー、認証トークン、クラウドクレデンシャルなど)が攻撃者のサーバーに送信される事件が発生しました。影響を受けた組織のCI/CD環境を通じて、クラウドインフラへの不正アクセスが行われました。

CNAPPのシフトレフト機能とSCA(ソフトウェア構成分析)が適切に導入されていれば、CI/CDパイプラインで使用するサードパーティツールの整合性検証や、外部への不審な通信の検知が可能だったと考えられます。またCIEM機能により、漏洩したクレデンシャルで実行可能な操作の範囲を事前に把握し、影響を最小化できた可能性があります。

📋 Uber クラウド環境への不正アクセス(2022年)

2022年、Uberのクラウド環境が攻撃者に侵害される事件が発生しました。攻撃者はソーシャルエンジニアリングで従業員の認証情報を入手し、VPN接続を通じて社内ネットワークにアクセスしました。その後、社内ネットワークスキャンでPowerShellスクリプト内にハードコードされた管理者クレデンシャルを発見し、AWS、GCP、Google Workspace、Slack、SentinelOneなどの複数のクラウドサービスの管理コンソールにアクセスしました。

CNAPPの統合的なアプローチがあれば、ハードコードされたクレデンシャルのIaCスキャンによる検出、過剰なIAM権限のCIEM分析、異常なAPIアクセスパターンのランタイム検知など、複数の防御ポイントで侵害の早期発見と被害の軽減が可能だったと考えられます。

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