レポートの概要
スマートウォッチは、時刻表示だけでなく「スマホの通知確認」「歩数・心拍・睡眠などの健康管理」「電子マネー決済」まで担う、生活密着型のウェアラブル端末です。国内では急拡大の時期を経て、いったん需要が一巡し、いま再び回復に向かう転換点にあります。
本レポートは、MM総研・NTTドコモ モバイル社会研究所・MMD研究所など信頼できる民間調査のデータをもとに、①販売台数の推移と予測、②所有率、③メーカー別シェア、④よく使われる機能、の4つの角度から「いま日本でスマートウォッチがどう使われているか」を整理し、中小企業への示唆を添えました。
1. 国内販売台数の推移と予測
国内のスマートウォッチ販売台数は、コロナ禍の健康志向を追い風に伸びたあと、2023年度・2024年度と2年連続で減少しました(調査開始の2015年度以来はじめて)。ただしMM総研は、2025年度以降は新モデルや健康機能強化により回復・横ばいで推移すると予測しています。
出典:MM総研「スマートウオッチ市場規模の推移・予測」(2025年6月10日発表)/濃色=実績・淡色=予測
2. 所有率 ― 個人の約2割が保有
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査(2024年)では、スマートウォッチの個人所有率は約17%(2割弱)。世代によって差はあるものの、いずれの世代でも1割~2.5割の範囲にあり、とくに若い世代で新規保有が伸びています。
出典:NTTドコモ モバイル社会研究所(2024年2月・15〜79歳・n=7,159)ほか。世代別は各調査の概況にもとづく目安値。
📊 このグラフのポイント
「5人に1人」に届くかどうかという普及率で、スマートフォン(ほぼ全世代に普及)と比べればまだ伸びしろの大きい市場です。
- 数値の読み取り:全体所有率は約17%。20〜50代では概ね2割前後で、若年層ほど直近の新規購入が多い傾向。
- 背景・要因:健康意識の高まりとキャッシュレス決済の普及が保有の後押しに。一方で高齢層は「必要性を感じにくい」ことが普及の壁。
- 中小企業への示唆:健康経営・従業員のヘルスケア施策や、店舗のタッチ決済対応など、"2割の保有者"を前提にした顧客・従業員接点づくりが有効になってきています。
3. メーカー別シェア ― Appleの一強と中国勢の追い上げ
メーカー別ではApple(Apple Watch)が長年トップを維持しています。ただし2024年度はシェアを前年から約7.7ポイント落とし、Huawei・Xiaomiといった中国勢が低価格帯で追い上げる構図が鮮明になっています。
出典:MM総研(2024年度メーカー別シェア、順位・増減)。Appleの構成比は公表値・報道からの推計。競合各社の内訳は非公開のため合算表示。
📊 このグラフのポイント
「高機能・高価格のApple」対「低価格・多機能で攻める中国勢」という二極化が進んでいます。市場全体はApple依存度が高く、Appleの新モデル有無が販売台数を大きく左右します。
- 数値の読み取り:Appleは9年連続でトップを維持するも、2024年度はシェアを約7.7ポイント縮小。2位Huawei、3位Xiaomi。
- 背景・要因:5,000円以下で買えるXiaomiの「Band」シリーズなど、"入門機"の選択肢が広がり、初めての一台の裾野が拡大しました。
- 中小企業への示唆:デバイスが多様化・低価格化するほど、勝負どころは「端末」から「アプリ・サービス・データ活用」へ移ります。健康・勤怠・決済など連携サービス側にチャンスがあります。
4. よく使われる機能 ― 「通知」と「健康管理」が二本柱
実際の使われ方をみると、スマホの通知確認と、歩数・消費カロリーなどの健康管理が中心です。最近は心拍・睡眠・血中酸素などのヘルスケア機能や、タッチ決済(電子マネー)の利用も広がっています。
出典:MMD研究所「スマートウォッチに関する調査」(複数回答)。機能利用の傾向は近年も同様の順位が続いています。
📊 このグラフのポイント
「LINE・メール・電話の通知」が最も使われる機能で、次いで「歩数計」「消費カロリー」が続きます。つまり、通知(時短・利便)とヘルスケア(健康)の2つが購入・継続利用の主な動機です。
- 数値の読み取り:通知が約6割でトップ、歩数計・消費カロリーが4割台で続く(複数回答)。
- 背景・要因:「スマホを取り出さずに済む便利さ」と「毎日の健康記録が自動でたまる手軽さ」が支持されています。
- 中小企業への示唆:健康データや決済との親和性が高く、フィットネス・飲食・小売・保険などでは、スマートウォッチ連携の会員サービスやポイント施策が差別化になり得ます。
5. まとめ ― データが示す3つのポイント
- 市場は「拡大」から「成熟・回復」へ:2年連続減のあと2025年度は回復予測。台数の伸びより"買い替える理由づくり"が焦点。
- 普及率はまだ約2割:スマホほど飽和しておらず、健康志向・キャッシュレスを追い風に中長期では拡大余地。若年層が牽引。
- 主役はデバイスからサービスへ:端末が低価格・多様化するほど、健康・決済・勤怠などの"連携サービス"に中小企業のビジネスチャンスが移る。
📊 このグラフのポイント
2024年度は343.6万台(前年度比8.6%減)と、2年連続で前年を下回りました。伸び続けてきた市場が「一巡(買い替え待ち)」の局面に入ったことを示しています。